将来の年金が月3万円とか、とても少なくなる可能性ってありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月2日 5時30分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_297799_0-small.jpg)
「貯金は多くないけど、日本では老後に誰でも年金がもらえるから安心」と考えている人も多いでしょう。しかし、老後に受け取れる年金の金額が決まる仕組みを知らなければ、当てにしていた年金がとても少なくて青ざめる事態になる可能性もゼロではありません。 本記事では、老齢年金の金額の計算方法や、現在の制度上一番少ない年金額がいくらなのかなど、年金額と老後資金について考えるヒントを紹介します。
年金が国民年金のみだと年金額は満額でも多くない
現役時代に終始個人事業主だった人など、厚生年金保険の加入期間がない場合には、老後に受け取れる年金は老齢基礎年金(国民年金)のみとなります。
老齢基礎年金の年金額は、満額受給(20歳から60歳になるまでの40年間(480月)一度も欠けることなく、減額措置なども受けずに国民年金保険料を納め続けた場合)でも月額7万円に届かない金額です(令和6年度は月額6万8000円)。老後の生活のための主な資金源と考えると、決して多い金額ではありません。
老齢基礎年金の金額は、その時々の物価水準などによって増減しますが、いくら増えてもそれだけで生活費を全面的にまかなえるほどの金額は期待できないことを覚えておきましょう。
保険料納付期間が短いと年金額は少なくなる
国民年金も厚生年金・共済年金も、年金保険料を納めた期間の長さに応じて、受け取れる老齢年金の金額が決まる仕組みです。老齢基礎年金を例に取ると、満額の国民年金保険料を、加入可能年数の上限である40年間納めた場合に受け取れる年金額が最高額で、保険料納付済期間(保険料納付済月数と保険料免除期間の換算月数の合計)が短くなるにつれて年金額は減少します。
ただし、国民年金の保険料納付済期間や厚生年金・共済年金の加入期間の合計が10年未満の場合は、老齢年金の受給資格を満たさないために、老齢基礎年金も老齢厚生年金も一切支給されません。年金の受給資格がある人の場合、年金額が最も少なくなるのは、厚生年金の加入歴がなく、保険料納付済期間が受給資格期間の下限である10年ギリギリのときです。
国民年金のみ・保険料納付済期間10年の人が受け取れる年金額は、加入可能年数いっぱいの40年国民年金保険料を納めた人の老齢基礎年金の金額の4分の1です。令和6年度は満額が月額6万8000円なので、保険料納付済期間が10年の人は月額1万7000円しか年金をもらえない計算になります。
年金額が月3万円に満たない人は6万人以上
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者のうち、年金額が1万円未満の人は6万1358人です。年金額が3万円未満の人は13万2000人以上います(※)。年金は誰でも「そこそこの額」を受け取れるものではなく、なかにはとても少なくなるケースもあるのです。
年金額が決まる仕組みと自身の年金保険料納付状況を把握して、年金額の見込みがどのくらいあるのかを知っておくことが大切です。
※留意点:受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分支給開始年齢の引き上げにともなう報酬比例部分のみの65歳未満の受給権者を含みます。共済組合等の組合員等たる厚生年金保険の被保険者期間を含む人の年金月額には、共済組合等から支給される分が含まれていません。
年金額をシミュレーションして老後資金の計画を立てよう
自分が将来受け取れる年金の見込み額は、厚生労働省が提供する公的年金シミュレーターを使うと簡単に試算できます。また、50歳以上のねんきん定期便にも年金の見込み額が記載されています。
年金や退職金の見込み額、現在の貯蓄額などをもとに老後を迎えるまでにあとどれだけの資金を準備すればよいかを確認し、資金計画を立てましょう。貯蓄だけでなく、iDeCoやNISAなどの制度を活用した資産運用なども組み合わせて、増やしながら貯めることを検討するのもひとつの方法です。
65歳が間近な場合は、60歳以降も国民年金に加入して保険料納付済期間を増やし(最大480月まで)、年金の受給額を増やせる「任意加入」、年金受給の開始を最大75歳まで繰下げて、繰下げた期間に応じて割り増しされた年金を受け取れる「繰下げ受給」などの利用を検討し、年金額の底上げを図るとよいでしょう。
年金は必ず十分な金額を受け取れる制度ではない
年金は加入していた年金の種類や年金保険料の納付済期間、現役時代の収入などによって受給額が増減します。保険料納付済期間によっては受給資格自体を得られなかったり、受給額が1万円台になったりすることもあり「誰でもそこそこの額を受け取れる」制度ではありません。
自分が受け取る年金の見込み額をチェックし、老後の生活に困らないよう年金以外の資金を計画的に準備することが大切です。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 公的年金シミュレーター使い方ホームページ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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