人生100年時代では、教育⇒仕事⇒老後といった典型的な3ステージのライフプランでは、どうやら生き抜いていけなくなる!?
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月25日 9時0分
![人生100年時代では、教育⇒仕事⇒老後といった典型的な3ステージのライフプランでは、どうやら生き抜いていけなくなる!?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_29795_0-small.jpg)
人生80年と言われた時代から、人生100年時代へ。100年生きるのがあたり前になる時代が到来しようとしています。 厚生労働省が発表した『平成29年簡易生命表』によると、2017年生まれの男性が90歳まで生きる確率は25.8%、女性は50.2%と試算されています。つまり、女性のほぼ半数が90歳まで生きる時代がやってくるのです。 これまでのライフプランでは、教育⇒仕事⇒老後という画一的なライフステージで一生を過ごすことができる、人生80年時代を念頭に置いていました。日本の高度成長時代を支えた、いわゆる団塊世代以上の方々がたどっている人生が、これに該当するのではないでしょうか。 これから迎える人生100年時代では、教育⇒仕事⇒老後といった典型的な3ステージのライフプランでは、どうやら生き抜いていけなくなるようです。
世代別のリスクを検証する
1.60代半ば以降の世代
いわゆる、バブル時代の高金利の貯蓄や退職金・企業年金などで、老後資金を確保してきた世代です。
この世代では想定以上の長生き、社会保障制度の機能不全によるリスクが存在します。マクロ経済スライド(社会情勢に合わせて年金の給付水準を自動的に調整する仕組み)により、年金額が調整され、受給額は減少することはあっても増加する可能性は低いと考えられます。
2.40代・50代の世代
前出の3ステージモデルが急速にきしみ出した世代と考えられます。現行の社会保障制度下でリタイアすると、公的年金だけでは長い老後をカバーできないため、できるだけ長く働ける環境を見出さなければなりません。
先日、安倍首相は企業の継続雇用について、『70歳への引き上げ』を表明しました。これは年金受給開始年齢の引き上げの布石かもしれません。70歳まで働ける環境が整備されるのが先か、年金受給年齢引き上げが先か。それを考えると、また悲観的要素が増えたように感じます。
3.30代以下の世代
30代以下の世代では、3ステージモデルは全く通用しないと言っても過言ではありません。現在は終身雇用という制度が幻想と化しており、21世紀は“個”の時代とも言われています。100年のライフステージをより独創的にデザインする必要があるでしょう。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/11/c8a0305ac62526260baef24833f7602b-3.jpg)
世代別のライフデザインを考える
1.60代半ば以降の世代
図1のライフステージにおけるタイムテーブルでは、老後に属しており、年金をすでに受給している世帯がほとんどかと思われます。世代別リスクで検証したように、マクロ経済スライドにより、年金受給額が減少するリスクも考えられます。
少しでも長く働くことにより、キャッシュインフローは改善できます。年収200万円でも、5年間働けば1000万円の収入増加になります。キャッシュフロー表を用いてプランニングすると、大きな効果が確認できるでしょう。
2.40代・50代の世代
図1の3ステージのライフデザインでは、人生100年時代に対応するのが難しくなる世代です。社会保障制度の機能不全などにより、より長く働けるライフプランを再考する必要があるでしょう。
図2のライフステージのように学び(教育)の機会を増やし、“個”の力で長く働ける環境を確保しましょう。自分や家族を守るために、実現可能なライフステージのあり方を考えてみてはいかがでしょうか。
3.30代以下の世代
30代以下の世代では、図2のような、より柔軟なライフプランが必要になるでしょう。終身雇用制度の終焉・社会保障制度の機能不全・超高齢化社会の弊害など、難しい問題が山積しています。
近年では、副業を認める企業が増えてきました。より柔軟に自身のライフステージをデザインし、100年生き抜くためのプランを早めに検討するのも手ではないでしょうか。
100年を生き抜くライフデザイン
人生100年時代を想定した場合、それぞれの年代、ライフスタイルにより、考え方に違いがあると思います。しかし、いずれにせよ、これまでの図1のような画一的な3ステージでのライフプランでは、100年生き抜くのは難しいかもしれません。
時代変化のスピードは一昔前とは比べ物にならないくらい早くなっています。世の中の価値観は急速に変化しており、5年後の未来を予測するのも困難です。
その中で、多様かつ柔軟な発想で、不確定な未来にも対応できるライフプランニングを行いましょう。生涯現役くらいの意気込みで人生100年時代に挑んでいきたいものです。
参考・出典
厚生労働省:平成29年簡易生命表の概況(寿命中位数等生命表上の生存状況)
Text:内宮 慶之(うちみや よしゆき)
内宮慶之FP事務所代表
CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング
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