ゴーン容疑者の逮捕報道で急落した日産株。予測のつかない報道で株価が大きく値を下げたときの考え方とは
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月27日 9時0分
11月19日夕刻に大きく報道された日産自動車会長カルロス・ゴーン容疑者および同社の代表取締役グレッグ・ケリー容疑者の逮捕。 この報道を受けて翌日11月20日の同社株価は前日終値の1,005.5円から950.7円へと大きく値を下げました。 同様に会長を務める三菱自動車の株価も前日終値の730円から50円安の680円と急落。 こういった経営陣の逮捕劇など、投資家としては予測のつかない報道のために株価が大きく値を下げた場合に、どのように考えればよいのでしょうか。
報道による市場の反応は大きい
まずどういう状況だったのかをもう少し詳しく見てみます。
日産自動車の場合、報道発表されたのが11月19日の取引終了後でしたので、翌日11月20日の取引開始からの動きが素直に市場の反応でした。
同日の安値は取引開始時です。
株価チャートに出来高(取引成立の株数)が掲載されているので、ご覧いただくと、前日の751万株から1億4,055万株と大きく膨らんでいることがわかります。
ただ、その多くは取引開始直後に集中しています。
そしてそのタイミングとほぼ同じく、株価も最安値の940円をつけているのが確認できます。
一方の、三菱自動車の年初来最安値は10月25日の670円。
報道発表後11月20日の安値は、その水準に近い673円でした。
出来高は、前日11月19日の464万株から大きく増えて3,466万株まで活発に売られています。
出来高を伴って株価が大きく下げるのは、信用売り(空売り=株をもっていないのに売却してもっと安くなったところで買い戻して利益を得ようとする動き。さらに下がるという思惑が働いたときに出る行動です)を伴っているからだと考えられます。
しかし、両者ともに後場は落ち着いた動きに戻っています。
取引開始前に「これは大変だ! 早く売ってしまわなければ!」という危機感からの狼狽売りが爆発したのでしょう。
なんとしても売り逃げるべきか、様子見にするのか
経営トップの逮捕劇というのは、確かに会社の行く末に大きく影響を及ぼしますが、株価を左右するのは会社の業績です。
同じニュースでも、製品の欠陥が見つかったというように、直接ユーザーが不利益を被る場合と違います。
こちらの場合は、原因の究明や対応策の構築など先の見通しがはっきりするまで売上回復の予測を立てることは難しく、ましてや思わぬコストが膨らむことで予想されるため、最終利益はまったくわかりません。
したがって、このケースでは損失を計上することになったとしても、覚悟の売りを選択するしかないと思われます。
しかし今回のケースでは、トップの倫理的な問題、組織的な問題まで及んだとしても組織不透明さ、コンプライアンスからの問題は指摘されたとしても業績へのマイナスインパクト、例えば不買運動などは想定しづらいと思われます。
そうなれば最終利益に対して株価がどれくらいまで買われているかを示す指標(これを株価収益率=PERと言います)が、今回の売りにより割安になったと解釈することもできます。
投資はあまりアツくなるとうまくいかない
投資で特定の金融商品を保有すると、どうしても自分が保有している銘柄の値動きのちょっとした動向が気になって、冷静な行動がとれなくなります。
投資の失敗の最大の要因は「欲」「感情」です。ストレスなくお金を育てるには近視眼的な見方よりも、長い時間軸で全体像をつかむ冷静さが大事になると思われます。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
投資初心者なら知っておくべき!株価の下落相場を乗り切るための4つの手法
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月26日 11時0分
-
投資成績を大きく左右する本番がある!株式投資でベストパフォーマンスを出す方法
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月25日 11時0分
-
「外国人のコントロールを嫌う日本人が陥れた」“カルロス・ゴーン事件”は日産自動車が仕掛けた陰謀だったのか
文春オンライン / 2024年6月25日 6時0分
-
350億円以上の巨額不正…カルロス・ゴーンが繰り返し犯していた“私的流用”の深すぎる闇
文春オンライン / 2024年6月25日 6時0分
-
二番手ではダメなのか?高配当株投資をするなら「業界トップ企業」の銘柄を選ぶべき理由【経済誌元編集長が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月18日 9時15分
ランキング
-
1上海の伊勢丹が営業終了、中国で日系百貨店の閉店相次ぐ…高島屋は売上高が減少傾向
読売新聞 / 2024年6月30日 20時56分
-
2マツダ、ヤマハ、ホンダ、スズキの「認証不正」どうなった? 調査結果を国交省が公表! マツダは同日にコメント発表
くるまのニュース / 2024年6月30日 22時10分
-
3日経平均「再度の4万1000円突破」は十分に可能だ 「米国利下げ後ずれ」「中国減速」のリスクは?
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 9時30分
-
4毎回"完売"続出。築地銀だこの「ぜったいお得な回数券」は、PayPay併用でさらにお得!
東京バーゲンマニア / 2024年6月30日 9時3分
-
5ウイスキーが「おじさんのお酒」から激変したワケ 市場復活に導いたサントリーのハイボール秘話
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 8時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください