会社員ですが、定年後に収入が4割減で「20万円」になってしまいました。「給付金」が受け取れると聞いたのですが、いくら受け取れるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月9日 2時10分
定年後は年金だけで悠々自適に暮らしたいと考える人も多いでしょうが、多くの人が定年後も働き続けています。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、60~64歳の73.0%、65~69歳の50.8%が働いています。 定年後も生活のために働く人は多くいますが、中には定年前に比べ収入がかなり減ってしまう人もいるでしょう。 本記事では、定年後の収入の実態や、収入が下がった場合に受け取れる給付金について解説します。
定年後は収入が下がるケースが多い
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は458万円です。そして、年齢階層別にみると、59歳まではだんだんと平均年収は上がりますが、60歳を過ぎると下降していきます。具体的には、55~59歳では平均年収は546万円ですが、60~64歳では441万円、65~69歳では342万円です。
また、リクルートによる「シニア層の就業実態・意識調査2023」を見てみると、定年後に定年前と同じ会社で働いている人の定年後の給料は、定年前の50~75%未満という人が43.3%、25~50%未満の人が21.4%など、全体の85%以上の人が定年前よりも給料が減っています。
定年後に収入が下がった場合、給付金が受けられるかも
定年後に大幅に給料が下がると、生活に支障が出たり、仕事に対するモチベーションが上がらなかったりする人もいるでしょう。
そこで、高齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とする「高年齢雇用継続給付」という制度があります。
「高年齢雇用継続給付」には、基本手当を受給していない人が対象のものと、基本手当を受給し再就職した人を対象とするものがありますが、本記事では基本的には前者の「高年齢雇用継続基本給付金」について解説します。
「高年齢雇用継続給付」を受けるには、次の4つの要件をすべて満たさなければなりません。
(1)60歳以上65歳未満で雇用保険の一般被保険者であること
(2)雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること
(3)原則として60歳時点よりも60歳以後の賃金が75%未満であること
(4)再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること
なお、「高年齢雇用継続給付」は支給対象月に37万452円以上稼いだ場合、それ以前からどれだけ給与が減っていたとしても、給付金は支給されません。
「高年齢雇用継続給付」の給付金額はいくら?
高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳到達時の賃金月額に対し、支給対象月に支払われた賃金額の低下率に応じた支給率を、支給対象月に支払われた賃金に乗じて計算されます。
具体的には、低下率(支給対象月に支払われた賃金額/賃金月額×100)が61%以下であれば15%、61%を超えて75%未満であれば044%~14.35%です。
※賃金月額=原則として60歳に到達する前6ヶ月間の平均賃金
実際に計算してみましょう。60歳到達時の賃金月額が33万3333円、支給対象月の賃金が20万円の場合の低下率は60%です。支給される条件をすべて満たしているとすると、給付金は賃金の20万円に15%を乗じた3万円です。
定年前からの低下分をすべて補えるわけではありませんが、それでも毎月3万円をもらえるのは助かるところでしょう。
まとめ
定年後も多くの人が働いていますが、収入が減ってしまう場合も少なくありません。「高年齢雇用継続給付」を受け取るには、会社からハローワークに申請し手続きをするので、まずは会社へ相談が必要です。
「高年齢雇用継続給付」がどれくらいもらえるかは、専用の計算サイトがあります。気になる人はシミュレーションしてみましょう。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)1 就業・所得
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
厚生労働省 高齢者雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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