私が独身時代に貯めたお金を「家族のお金だから」と言う妻。「共有財産」の範囲とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月10日 2時10分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_299549_0-small.jpg)
独身時代の貯蓄を結婚後に家族で使うかどうかは、個人で見解が異なるものです。 マイホーム資金に充てようと考える場合もあれば、自分のお金として残しておきたいという考えの方もいるでしょう。 今回は、独身時代の貯蓄をパートナーが使おうとするのは正しいのか、お金の使い道でもめないためにはどうすればよいのかについて解説します。
独身時代のお金は本人のもの
法務省によると、法的には、独身時代に貯めたお金は原則として貯蓄した本人のものです。
結婚後に夫婦が協力して形成した資産であれば共有するものとなりますが、結婚以前からそれぞれが所有しているものも含まれるわけではありません。
結婚時、お互いが所持している資産は「共有財産」「特有財産」の2つに分類されます。
これらは、夫婦間で金銭トラブルが起こった場合や離婚が成立した際の財産分与時に、財産の所在を明らかにするための区分です。
以下で共有財産と特有財産の詳細を解説します。
家族のお金にあたる資産(共有財産)
家族で共有する資産は「共有財産」です。
基本的には婚姻中に夫婦が協力して形成した資産全般が該当し、たとえ単独で形成したものであっても、共有財産とみなされるケースがあります。
共有財産の一例として、以下が挙げられます。
●結婚後に蓄えた貯金
●夫婦で購入した住居
●結婚後に購入した自家用車
今回のケースでは「独身時代の貯蓄」であるため、共有財産には該当しません。
したがって、使用を断っても正当といえるでしょう。
家族のお金にあたらない資産(特有財産)
財産分与の対象外となる、自分だけが所有している資産は「特有財産」です。
基本的には独身時代に単身で所有または両親から贈与された資産全般が該当します。
特有財産の一例として、以下が挙げられます。
●独身時代の貯金
●独身時代から所有している株式
●実家から相続した家
財産分与が発生する場合、共有財産と特有財産で完全に二分されるとは限らず、1つの資産に対して共有財産の割合と特有財産の割合を決定することもあります。
大切なのはお金の使い道を話し合うこと
法律上は共有財産と特有財産に分かれていても、貯蓄の所有権を主張してパートナーが納得するか否かはまた別の話です。
今回のケースではパートナーが一方的に個人の貯蓄を使おうとしているようですが、本来ならば、事前に本人に使用許可を取るのが筋といえるでしょう。
お金の使い道は夫婦であってもトラブルが生じやすいため、使い道をあらかじめ話し合うことが大切です。
家族とお金でもめないためのポイント
ここからは、夫婦間で不要な金銭トラブルを起こさないためにできることを2点紹介します。
家計やお小遣いでけんかが起こりやすい場合には、以下のポイントを実践してみましょう。
家計の状況はお互いに把握しておく
仕事と同様に、家計においても情報共有は大切です。
家計管理をどちらか一方に任せきりにすると、状況把握のしづらさと理解不足からお互いに不満を抱きやすくなります。
今回のケースでは貯蓄を食費に回そうとしているため、月々の収入で支出を賄いきれていないことが予想されます。
お互いに家計の収支状況を把握していれば、早い段階で、収入を増やす、節約して支出を減らすなどの対策ができたかもしれません。
家計をうまくやりくりするためにも、定期的に収支と貯蓄の状況を共有しましょう。
マネープランを立てる
将来必要となる金額やライフスタイルは各家庭で異なるものです。
具体的なマネープランを立てることで、必要な貯蓄額や節約の度合いなど金銭感覚の足並みをそろえられるでしょう。
漠然と「老後資金を貯めたい」「一軒家を買いたい」といった目標があっても、いつまでにどれくらいの金額が必要なのか、具体化できていなければ上手な家計管理はできません。
このあたりの認識は夫婦であってもギャップが生じやすいため、数字化した目標を設定し、共通認識を持ちましょう。
お金の使い道はもめ事の種になりやすい
夫婦間に限らず、お金の問題は人間関係を悪化させるなどもめ事の種になりやすいです。
お金に対する価値観は個人によって違うため、夫婦円満に過ごすためにも、お互いの希望や考えをよく話し合っておく必要があるでしょう。
出典
法務省 財産分与制度に関する論点の検討 第3 清算的財産分与について 1 現行法の規律の整理及びそれに対する主な意見 (1)民法第762条の規定について(9ページ、10ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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