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繰上げ・繰下げ受給に「待った」!年金受給で注意したいこと3選

ファイナンシャルフィールド / 2024年6月10日 11時10分

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年金を繰上げ受給・繰下げ受給する人が増えていますが、それぞれメリット・デメリットがあります。そこで、年金を受給するタイミングの選択において注意が必要な3項目を解説します。

年金の繰上げ・繰下げ受給

年金は、原則65歳から受け取ることができます。しかし、稼得能力など個人差もあるため、現在は受給開始時期を選べます。65歳よりも早く60~65歳の間に受給を開始することを「繰上げ受給」、66~75歳までの間で繰下げて年金を受け取るのを「繰下げ受給」と呼びます。繰下げ受給をした場合、増額率は「65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数×0.7%」となり、最大84%増額します。
 
一方繰上げ受給をした場合、年金額が月ごとに0.4%減額されて支給され、最大24%減額されます。厚生労働省によると、70歳の受給権者を対象に年金の繰下げ・繰上げの利用状況を調査したところ、老齢基礎年金の繰下げ受給者数は全体の2.6%の5000人、繰上げ受給者数は16.8%の3万2000人、老齢厚生年金の繰下げ受給者数は1.6%の2万6000人という結果でした。
 

繰上げ・繰下げ受給のメリット・デメリット

繰上げ・繰下げ受給の年金額を、厚生労働省が発表した「令和6年度の年金額改定について」に記載された夫婦2人の標準的な年金額の月額23万483円で計算してみます。65歳から原則どおりに受け取った場合は月額約23万円、70歳から5年繰下げで受け取った場合は月額約32万円、75歳から10年繰下げで受け取った場合は月額約41万円です。
 
一方、60歳から5年繰上げ受給をした場合は月額約17万円となります。繰下げ受給のメリットは、年金を大幅に増やせる点です。しかし、デメリットとして年金収入の金額によっては課税対象になってしまう点があります。そのため繰下げ受給により受給額が増えても、実際に手元に残る金額が想定よりも減ってしまう可能性があります。
 

注意1:公的年金の課税

65歳以上の場合は158万円、65歳未満の場合は108万円を超える年金を受け取った場合、所得税と復興特別所得税が源泉徴収されます。また住民税も収入によって課税されます。横浜市を例に年金のみを収入とした場合に住民税が非課税となる金額目安は、横浜市役所ホームページによると、65歳以上(配偶者なし)155万円以下、65歳未満(配偶者なし)105万円以下、65歳以上(配偶者あり)211万円以下、65歳未満(配偶者あり)171万3333円以下です。
 

注意2:医療費の負担

70歳以上の医療費は、所得によって負担割合が異なります。70~74歳の場合、一般所得者や一定以上所得者は2割負担ですが、現役並みの収入がある場合は3割負担です。75歳以上の一般所得者は1割負担ですが、一定以上所得者は2割負担、現役並み所得者は3割負担となります。一定以上所得者とは、課税所得28万円以上、年金とその他合計所得金額約200万円以上、現役並み所得とは、課税所得145万円以上、年金とその他合計所得金額約383万円以上が対象です。
 

注意3:受給総額

厚生労働省の令和4年簡易生命表によると、65歳時点での平均余命は男性が19.44歳、女性が24.30歳となっています。「令和6年度の年金額改定について」に記載された夫婦2人の標準的な年金額の月額23万483円のうち、夫である男性が受け取る年金額は約16万円となります。
 

男性が平均余命19.44歳により85歳まで受給した場合

60歳から繰上げて受給した場合には約3552万円
 
65歳でそのまま受給した場合は約3840万円
 
70歳に繰下げた場合は約4090万円
 
75歳まで繰下げた場合には約3533万円

計算上は「70歳に繰下げて受給した場合」が得する計算となります。ただし、あくまでも平均余命であり、それよりも早くまたは遅くに亡くなるケースがあるため予測が困難です。
 

繰上げ・繰下げ受給は慎重に

年金の受給金額によっては課税対象になる、健康保険の負担割合が増えるなどのデメリットがあります。そのため、繰上げ・繰下げで変化する年金受給額を計算し、しっかりと把握しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
日本年金機構 老齢年金ガイド令和6年度版
厚生労働省 令和6年度の年金額改定について
国税庁 高齢者と税(年金と税)
横浜市 年金収入に対する市民税・県民税が非課税となる目安はいくらですか?
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
厚生労働省 令和4年簡易生命表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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