自営業者などが加入する「国民年金」 保険料を安くする方法、受け取る年金を増やす方法
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月28日 23時0分
自営業者、農業者、漁業者やその配偶者などが加入する国民年金の保険料を安くする方法、受け取る年金を増やす方法を紹介します。
まとめ払いで保険料を安くする
国民年金保険料を、まとめて支払うと保険料が安くなります。口座振替を利用するとさらに安くなります。
例えば。平成30年度の保険料は毎月納付の場合、年額196,080円ですが、1年分を現金納付すると3,480円割引になります。
さらに、口座振替を利用すると4,110円割引になります。2年分まで前納できます。
付加保険料で年金額を増やす
国民年金の受給額は40年間保険料を納付した場合、年額779,300円(平成30年度)です。
これでは、老後の生活資金としては不十分です。
年金額を増やす公的なしくみに、まず、付加保険料があります。
毎月の保険料に、毎月400円多く付加保険料を納めることによって、将来の年金額に「200円×付加保険料納付月数」が上乗せできます。
例えば、付加保険料を10年間支払うと400円×120ヵ月で48,000円になります。一方、増える年金は200円×120ヵ月で24,000円になります。
したがって、2年間で元が取れ、その後、増額した年金を一生受け取れます。
国民年金基金に加入して年金額を増やす
国民年金に上乗せして厚生年金に加入している会社員等の給与所得者と、国民年金だけにしか加入していない自営業者などの国民年金の第1号被保険者とでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。
この年金額の差を解消するための上乗せ年金が国民年金基金です。
掛金は月額68,000円まで加入できます。
全額が社会保険料控除の対象になりますので節税にもなります。
なお、国民年金基金の加入者は付加保険料を納付することはできません。
加入の仕方は、1口目は終身年金A型、B型いずれかを選び、2口目以降は、終身年金A型、B型、確定年金Ⅰ~Ⅴ型の中から希望する口数を選びます。
例えば、46歳男性が1口目のみ、終身年金A型に加入した場合の掛金月額は12,410円です。
60歳まで掛け金を払い込むと、65歳から年金額12万円を一生涯受け取ることができます(15年保障期間付き)。
年金額のシミュレーションは国民年金基金のホームページで行うことが可能です。
任意加入して年金額を増やす
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも65歳まで任意加入をすることができます。
65歳になったが、年金の受給資格期間を満たしていない方は70歳まで加入できます。
追納して年金額を増やす
保険料の免除や猶予を受けた方が、その後、生活にゆとりができて保険料を納めることができるようになったときに、免除等された期間の保険料の全部または一部を後から納めることができます。
10年前の分まで遡って納めることができます。
3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされますので、早めに追納したほうが良いでしょう。
社会保険料控除により、所得税・住民税も軽減されます。
繰下げ受給して年金額を増やす
65歳から受け取る年金を66~70歳に繰下げて受給することで、年金額を1ヵ月につき0.7%増額できます。
70歳から受給すると42%(0.7%×60ヵ月)増しになります。付加年金も増額されます。
年金の繰下げをすると、繰下げている期間は年金が支給されません。
では、何年で元が取れるでしょうか。1年繰り下げた場合の繰下げ増額率は8.4%(0.7%×12か月)です。
一方、1年繰下げることによって失われる年金額は100%です。
したがって、100÷8.4=11.9、約12年以上年金を受給すれば(長生きすれば)元が取れることになります。
平成 29 年簡易生命表によると65歳の平均余命は男性19.57年、女性24.43年、70歳では男性15.73年、女性20.03年となっています。
繰り下げを検討する場合の参考にしてください。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
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