両親が“熟年離婚“するそうです。反対はしませんが将来両親それぞれの「援助」をするべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月14日 11時30分
「熟年離婚」という言葉を耳にしたことがある人は少なくないでしょう。 厚生労働省の「令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の統計では、全体の離婚件数のうち、熟年離婚とされる同居期間が20年以上の夫婦の離婚件数は2割に上っています。この数字からも分かる通り、熟年離婚は珍しいことではないといえるでしょう。 今回のケースでは、両親が離婚を選択した場合、将来的に父と母、それぞれに援助をする義務が子どもにあるのか、について考えてみました。
子どもには親を扶養する義務がある?
民法の第877条では「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」と定めています。直系血族とは、自分から見て父や母、祖父母、子、孫などの直系関係にある血族のことです。
今回の場合、子である自分は、直系血族である父と母を扶養する義務があることになります。
「扶養する」とは、面倒を見るという意味です。具体的には、介護をしたり、老人ホームを選んだりなどの身上の扶養と、生活費を援助するといった経済的な支援による扶養が該当すると考えられています。
親に対する子どもの扶養義務は、原則として経済的な扶養とされています。子どもは、自分の生活に影響が出ない程度の範囲内で、親を経済的に援助する義務があるといえるでしょう。
両親それぞれ支援する場合、いくら必要?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」(2023年)のデータによると、無職の65歳以上の単身世帯における消費支出は14万5430円です。これに税金や社会保険料などの非消費支出をあわせると、月に15万7673円の支出額となります。
一方、収入は約12万6905円であり、収入から支出を引くと3万円以上のマイナスです。この金額から考えると、子どもが一人で父と母それぞれを支援する場合、月に6万円以上の出費が増える計算となります。
65歳以上の世帯の収入は、社会保障給付(年金)が中心になるケースが多いでしょう。年金の受給額は個人差があり、受給額が少ない場合はさらに不足額が増える可能性もあります。
親の熟年離婚が子どもに与える影響
両親が熟年離婚する場合、経済的な援助以外にも、引っ越しや手続きなどで親から頼られるかもしれません。そのために時間が必要となり、子ども自身の生活に影響が及ぶこともあるでしょう。また、両親が孤独を感じないための精神的なケアが必要になったりする可能性もあります。
離婚後、両親がそれぞれ住居費や医療費など、生活費としてどれぐらいの金額が必要になるのか、また貯蓄や年金を含めた収入はどれぐらいあるのかを、大まかに把握しましょう。そのうえで、子どもとして支援をどうしていくのかを一緒に考え、具体的な支援内容について話し合うことをおすすめします。
両親の将来も大切ですが、子ども自身の生活や経済的・精神的な負担も考慮に入れる必要があります。両親にはできることとできないことがあることを理解してもらい、援助によって自身や自身の家庭に過度の負担をかけないか、慎重に検討する必要があるでしょう。
子どもには両親それぞれの扶養義務がある。どのような支援をするのかについて話し合いが必要
両親の熟年離婚は、子どもにとっても大きな出来事といえます。子どもには両親の扶養義務があり、離婚した場合、父と母それぞれの支援が必要だと考えられます。
両親の状況を把握し、どのような支援が必要なのかを両親と話し合い、子どもは自身の生活に無理のない範囲でサポートしていくといいでしょう。
もし兄弟・姉妹がいるのであれば、話し合って両親への援助をどのように分担するかを決めましょう。全員で協力すれば、一人に負担が集中するのを避けられます。また、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。
出典
厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況(17ページ)
デジタル庁e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
定年した父の年金が「月10万円」と母から聞きました…この金額では生活に「余裕がない」ですよね?援助したほうがよいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月25日 22時0分
-
60年間、実家暮らしの長男「月17万円・86歳母の年金」をアテに暮らしているが…突然の家なし危機に逆ギレ「野垂れ死にしろとでも」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月24日 9時45分
-
70歳の母が畑で採れた野菜を送ってくれました。「年金が少ないので育てた野菜を食べている」と話す母に仕送りしたいのですが、税金はかかりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月18日 9時30分
-
要注意!離婚時に取り決めても…養育費を「支払わなくてもよい」と判断されるケースとは【弁護士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月3日 10時0分
-
「死後離婚」という選択――夫の死後、義理の家族と縁を切るメリットと法律面の注意点
ハルメク365 / 2024年6月2日 14時50分
ランキング
-
1スーパーで無料提供されている「割りばし」を大量に持って帰るのはあり?無料とはいえマナー違反になる…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月26日 2時10分
-
2売上2兆円、ドン・キホーテ創業者が「日本経済を決定的にダメにした」と断言する“A級戦犯”とは?
文春オンライン / 2024年6月26日 6時0分
-
3談合問題で揺れる…中部電力の株主総会で勝野会長らが株主に謝罪 コンプラ遵守など再発防止に取り組むと説明
東海テレビ / 2024年6月26日 17時45分
-
4日経平均は3日続伸、半導体関連が押し上げ 約2か月半ぶり高値
ロイター / 2024年6月26日 15時43分
-
5新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください