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52歳専業主婦の妻は「年収600万円」の夫の死後、遺族年金だけで暮らしていける?「受給額・生活費」をもとに試算

ファイナンシャルフィールド / 2024年6月15日 4時30分

52歳専業主婦の妻は「年収600万円」の夫の死後、遺族年金だけで暮らしていける?「受給額・生活費」をもとに試算

公的な遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類ありますが、その金額は家族構成、年収・勤続年数・年齢によって異なります。   会社員で年収600万円の夫が52歳で死亡した場合、同じ年齢の妻は遺族年金だけで生活できるのでしょうか? 本記事では遺族年金の受給要件、受給金額を解説し、遺族年金だけで生活できるかをシミュレーションします。

子のいない妻は遺族基礎年金を受給できない

遺族基礎年金は夫の年収に関係なく、一律の年金額「81万6000円(令和6年度の金額で、昭和31年4月2日以後生まれの場合)+子の加算額」を受給できます。
 
遺族基礎年金を受け取ることができるのは死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子」だけです。
 
「子」の定義として、18歳になる年度の3月31日までの間にある人(障害等級1級または2級の障がいがある場合は20歳未満の人)を指します。子の加算額は子ども1人目及び2人目までは23万4800円、3人目以降の子の加算額は7万8300円です。
 
従って、妻は子ども1人だと年間約105万円、子ども2人だと約128万円、子ども3人だと約136万円の遺族基礎年金を受け取ることができますが、子どもが前記の定義を外れると加算は無くなり、子ども全員が定義から外れると遺族基礎年金は支給停止となります。
 

遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金の支給額は「亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4」です。老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金加入期間月数」(平成15年4月以降の加入期間の場合)です。
 
平均標準報酬額とは各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った額で、年収600万円の平均標準報酬額は50万円となります。
 
22歳から死亡時の52歳まで厚生年金に加入し、その間の平均標準報酬額が50万円の場合、遺族厚生年金額は「50万円×0.005481×360月×3/4=73万9935円/年」となります。
 
遺族厚生年金に子の加算はありませんが、中高齢の寡婦加算という制度があります。中高齢の寡婦加算の対象となれば、40歳から65歳になるまで年額61万2000円が遺族厚生年金に加算されます。
 

遺族年金だけで生活できるのか?

総務省統計局の家計調査によると、2023年の単身者世帯(平均年齢58.2歳)の消費支出は1ヶ月平均16万7620円で、そのうち住居費は2万3815円となっています。2人以上の世帯だと1ヶ月平均29万3997円で、そのうち住居費は1万8013円となっています。
 
今回のケースで妻は遺族年金だけで生活できるのかシミュレーションしてみます。
 

子どもがいない場合は毎月3万円の不足

遺族厚生年金額(約74万円)と中高齢寡婦加算額(約61万円)を合計すると年間約135万円(1月あたり約11万円)の遺族年金を受給できます。
 
仮に住居が持ち家で住居費がほとんどかからない場合でも、単身世帯の住居費を除いた平均支出は14万円のため、遺族年金だけで生活するには約3万円不足しています。
 

子どもがいる場合は10万円以上の赤字

子どもがいる場合は遺族基礎年金を受給でき、子どもが2人の場合、遺族基礎年金額(約128万円)と遺族厚生年金額(約74万円)を合計すると年間202万円、1月あたり約16万8000円を受給できます。この金額は単身世帯の平均支出と同程度で、2人以上の世帯平均からは1月あたり10万円以上も不足しています。
 

65歳以降も赤字は継続する

65歳になると中高齢寡婦加算はなくなり、妻自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受給することができます。
 
妻自身の老齢基礎年金が満額の81万6000円(令和6年度の金額)だと仮定すると、65歳以降の年金額は約156万円、1月あたり約13万円となります。単身世帯で住居費がかからない場合の生活費(約14万円)と比較しても、遺族年金だけで生活するには毎月1万円不足しています。
 

必要な貯蓄額は一体いくら?

住居費を除く単身世帯の平均支出と比較すると、子どもがいない場合でも受給できる遺族年金だけでは52歳から65歳まで毎月3万円の不足(13年間で合計468万円)、65歳以降は毎月1万円の不足(52歳女性の平均余命88歳までの23年間で合計276万円)しており、遺族年金だけで生活する場合、744万円も不足しています。
 
そのため今回のケースでは不足分を補う貯蓄や生命保険に加入するか、その他の収入を作る必要があります。また将来の医療費増加や物価高も考慮に入れて、不足金額を想定よりも少し多めに見積もって備えたほうが良いでしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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