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転職希望先から「裁量労働制で自由な働き方ができる」と言われました。残業が多くならないか心配なのですが、大丈夫かの「見分け方」はあるのでしょうか…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年6月16日 5時20分

転職希望先から「裁量労働制で自由な働き方ができる」と言われました。残業が多くならないか心配なのですが、大丈夫かの「見分け方」はあるのでしょうか…?

働き方や雇用形態には色々なものがありますが、「裁量労働制」については「自由な働き方」「定額働かせ放題」などさまざまな意見があります。   業務の特性に応じて、時間に縛られない自由な働き方を認めることで仕事の効率や生産性を高める、という趣旨の制度ですが、なかには適正な運用がされないケースもあるようです。   ただ、4月から裁量労働制について制度の見直しが行われ、適用範囲の一部拡大や労働者保護の仕組みも追加されています。   本記事では、働く人の目線で、裁量労働制を採用している企業の「ブラック」と「ホワイト」を見分けるポイントを解説します。

裁量労働制とは何か

裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、労使協定や労使委員会などであらかじめ定めた時間を労働時間とみなす制度です。
 
業務の性質上、業務の遂行の手段および時間配分の決定等を業務に従事する従業員に大幅に委ねる必要がある場合に適用されます。会社からの具体的な指示が困難であり、労働者の裁量に任せる方が、仕事の効率や生産性を高めるケースに認められるものです。
 
裁量労働制の場合、始業・終業時刻を含む時間配分の決定は当該従業員に委ねられます。
 
例えば、みなし労働時間を労使で9時間と定めた場合、実際の労働時間が7時間や10時間でも、9時間労働したものとして、1時間分の割増賃金を含む賃金が支払われます(所定労働時間を8時間とした場合)。
 
対象業務は「専門業務型」として20種類、「企画業務型」として「事業運営の企画、立案、調査および分析の業務」が定められています。システムエンジニア(SE)は、「専門業務型」に該当する場合があります。
 

対象業務は厳格に定められている

裁量労働制の対象となる業務の要件は、極めて厳格に定められています。例えば、専門業務型のシステムエンジニア(SE)については「情報処理システムの分析又は設計の業務」とされており、プログラムの設計や作成を行うプログラマーは含まれません。
 
企画業務型についても、「事業運営の企画、立案、調査および分析の業務」の定義が厳格に定められています。また、対象業務と異なる業務(非対象業務)を混在して行う場合には、たとえ、非対象業務が短時間であっても裁量労働制は適用されません。
 

「業務遂行手段」と「時間配分の決定」が従業員に委ねられていなければならない

裁量労働制は「業務遂行手段」と「時間配分の決定」が従業員に委ねられている必要があります。例えば、次のような場合には裁量労働制は適用できません。なお、今回はSEに該当する「専門業務型」に着目して解説します。
 

数人でプロジェクトを組んでシステム開発を行う場合

チームの管理下で業務遂行や時間配分が行われている者、業務に付随する雑用を行う者、開発を補助するプログラマー等は専門型の対象になりません。
 

時間配分の決定に制約がある場合

会社から始業または終業の時刻のいずれか一方でも指示される業務は、対象業務に該当しません。業務量が過大であったり、期限の設定が不適切な場合には、従業員の時間配分の決定の裁量が事実上失われることになり、労働時間のみなしの効果が生じないとされます。
 

2024年4月改正で労働者保護の強化が図られている

2024年4月1日以降、裁量労働制について制度の見直しが行われ、対象従業員の保護の強化が図られています。
 
具体的には、裁量労働制の適用(新規導入・継続ともに)にあたって本人の同意を得ること、同意しなくても不利益な扱いをしないこと、同意の撤回の手続きを定めることが明確化されています。本人の同意を得るにあたっては、会社は次のことを説明する必要があります。

●対象業務の内容、その他労使協定の内容等、専門型の制度の概要(みなし労働時間を含む)
●同意した場合に適用される賃金・評価制度の内容
●同意をしなかった場合の配置および処遇

 

2024年4月改正では専門業務型の追加も行われたが、厳格な要件が課されている

なお、今回の改正では、専門業務型として、銀行または証券会社における合併および買収など考案・助言業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)も追加されました。これについても、M&Aの「調査または分析」と「考案および助言」の両方の業務を行うものに限る、といった業務の厳格な定めがあります。
 

転職希望先からしっかり説明を受けること

転職希望先から「当社SEは裁量労働制で自由な働き方ができます」と言われた場合でも、次のようなポイントをしっかり確認してみましょう。
 
・実際の業務の内容
例えば、開発プロジェクトチームの担当者としてリーダーの指示のもとで働くなら、業務遂行や時間配分の決定は自分ではできないので、そもそも裁量労働制が適用されません。
 
・裁量労働制業務以外の業務が命じられないこと
例えば「開発の空き時間に顧客営業もやってほしい」などといったことです。非対称業務が短時間であっても、裁量労働制は適用されません。
 
・みなし労働時間と実労働時間
同様の業務をしている人の実労働時間はどれくらいなのか、それと比べてみなし労働時間の定めは適切かといった点を確認しましょう。

●裁量労働制に相応しい手当等の処遇が行われるか
●長時間労働防止等の健康・福祉確保措置としてどのようなことが行われているか

説明を受けて、納得できれば同意すればよいでしょう。なお、いったん納得して同意していても、実際に働き始めて、やはりこの働き方では過重労働になる、当初の話と違うといった場合には、同意を撤回することもできます。
 
また、疑問点などがあれば、企業の担当部署や、労働基準監督署や各都道府県の総合労働相談コーナー等に相談することもできます。転職にあたっては、ご自身で納得のいく働き方を求めていくことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 専門業務型裁量労働制の解説
厚生労働省 企画業務型裁量労働制の解説
厚生労働省 裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です
厚生労働省 令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A
厚生労働省 令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A(追補版)
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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