スーパーでお弁当を購入したけど、容器がかなり「上げ底」でガッカリ! これって詐欺? それとも「不景気」のせい?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月17日 3時0分
スーパーやコンビニで買った弁当の量が少ないと感じたことはありますか? 最近は多くの弁当容器に上げ底が採用されており、見た目では分からなかったけれど、実際に食べてみるとすぐに底が見えたという経験をしたという人もいるのではないでしょうか? 本記事ではなぜスーパーやコンビニの弁当容器に上げ底が採用されるようになったのか、その背景と原因について解説します。
詐欺ではなく、ステルス値上げ
弁当については容器の上げ底だけでなく、内容量などを減らし、商品価格を据え置いている企業が増えているようです。内容量が減っているので実質的には値上げなのですが、商品価格は据え置いているので、値上げ感はあまり感じられません。
この商品価格を上げるのではなく内容量を減らす行為は、SNS上ではレーダーに探知されにくい戦闘機になぞらえて「ステルス値上げ」と呼ばれています。弁当容器の上げ底も内容量を減らすステルス値上げの一例といえるでしょう。
ただし、多くの企業は商品の内容量を減らすことを公表していたり、袋や容器に商品の内容量が表示されたりしていますから、詐欺には該当しません。
ステルス値上げの原因は何?
以前にある居酒屋チェーンが1品280円から298円に値上げしたところ、その企業の売上が非常に悪化したという例があります。仮に10品注文しても金額は180円しか変わらないのですが、日本の消費者は実際の値上げにかなり抵抗があることが分かります。
そのため多くの企業も実際の値上げをすると商品を買ってもらえない可能性が高くなると考え、ステルス値上げを実行しているという背景があります。またステルス値上げの最大の原因には原材料費の高騰が挙げられるでしょう。
ステルス値上げ+本物の値上げによる2重苦が始まった
コロナ禍以前はステルス値上げでおさまっていたケースも多かったのですが、コロナ禍以後は食品などの値上げが連日報道され、実際数多くの商品価格が上がっています。
これまでの内容量を減らして商品価格を据え置くステルス値上げに加えて、実際の値上げが始まったことになり、消費者からするとステルス値上げ+実際の値上げによって、生活への影響はかなり大きくなっていることが予想されます。
物価高騰と実質賃金マイナスで消費は冷え込んでいる
総務省の調査によると、2023年の消費者物価指数は前年比+3.2%となり、2020年と比較しても+5.6%と物価は高騰しています。そして物価高の影響もあり、2023年の実質賃金はマイナスとなっています。コロナ禍で落ち込んだ個人消費は回復傾向にあるものの、未だにコロナ前の水準には戻っておらず、特に低所得層での個人消費の回復が遅れています。
このように物価の急激な高騰に給与アップが追いつかない状況のため、家計はどんどん苦しくなり、個人消費が落ち込んでいるのです。
まとめ
今後も物価は上昇すると予想されています。そして物価高騰の影響もあり、実質賃金はマイナスが続いています。
また上げ底などで内容量を減らしているステルス値上げと実際の値上げの2重苦によって、今後の家計運営も苦しく、個人消費の回復も鈍くなっています。このまま個人消費がさらに落ち込むことで企業側も値上げしづらくなり、さらなる上げ底容器が開発されるかもしれません。
出典
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)12月分及び2023年(令和5年)平均
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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