夫の年収が100万円下がります。定年退職まであと10年… 将来の年金額もガクッと下がるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月18日 7時0分
夫の年収が大幅に下がってしまったら、将来の年金額に影響が出るかもと不安になるでしょう。特に定年退職前は年金額がどの程度減少するのか、生活にどのような影響が出るのか気になるところです。 そこで本記事では、年金制度の仕組みや収入の変動が年金額に与える影響について詳しく見ていきます。
年金の受給は原則65歳からだが繰上げ受給も可能
老齢基礎年金と厚生年金は、ともに原則65歳から受給できます。ただし、希望すれば60歳から65歳までの間に繰上げて受給することも可能です。60歳で定年退職をして、生活費が足りないなどの理由で利用する人もいます。ただし、繰上げ請求を行った場合その時点で年金が減額され、その減額率は生涯変わらないため注意が必要です。
年収が下がると受け取る年金額が減る可能性がある
収入に変動があると、厚生年金保険料が変わる可能性があります。厚生年金保険料は給与に基づく標準報酬月額に一定の保険料率を掛けて算出されるため、収入が減少すると標準報酬月額が下がり、結果として厚生年金保険料が減ることがあります。
厚生年金保険料の計算に用いる標準報酬月額は、毎年7月に4~6月の3ヶ月間の平均給与月額をもとに決定されます(定時決定)。
しかし、給与が3ヶ月平均で2等級以上の変動がある場合は、月を問わず「随時改定」を行い報酬月額の修正が行われます。保険料の計算はこの報酬月額を標準報酬月額に分類し、保険料率を掛け合わせることで行われるため、標準報酬月額が変わると保険料も変動するのです。
標準報酬月額が変わると、それに応じて保険料も変わり、最終的には年金受給額にも影響を与えることになります。収入が減少して保険料が下がると、その分積み立てられる年金資金が少なくなり、結果として将来受け取る年金額が減る可能性があります。
10年後の年金への影響は年金シミュレーターでチェックできる
年収は、年金受給額に影響する重要な要素の一つです。ただし、年金加入期間や納付状況、将来の収入の増減などにより異なります。
具体的な金額を把握するためには、年金シミュレーションがおすすめです。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」は、働き方や生活の変化に応じて、将来受け取れる年金額を簡単に試算できるツールです。公的年金シミュレーターの使い方は、以下の通りです。
1. ねんきん定期便とQRコードが読み取れるスマートフォンを用意します。
2. ねんきん定期便に印字された「年金見込み額試算用二次元コード」を読み取ります。
3. 公的年金シミュレーターのサイトに遷移したら、生年月日を入力します。
4. 生年月日入力欄の下にある「試算する」ボタンを押します。
操作が完了したら、「あなたの年金見込み受給額」が表示されます。また、現在の働き方や60歳までの年収と仮定した場合の見込み額が表示されます。年収、就労完了年齢、年金の受取開始時期は変更して試算することも可能です。ねんきん定期便が手元にないときは、手入力で試算できます。
年金額を増やす方法
・付加年金
国民年金の第1号被保険者および任意加入被保険者は、「付加年金」制度を利用することができます。これは、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を追加で納付することで、「200円×付加保険料の納付月数」の付加年金が支給される制度です。ただし、付加年金は固定額のため、物価変動の影響を受けません。
・国民年金基金
国民年金の第1号被保険者および任意加入被保険者は、「国民年金基金」にも加入可能です。これは口数制の掛金を納めることで、65歳から老齢基礎年金に上乗せして一定の年金を受け取れる制度です。
掛金は、年金の種類や加入者の年齢・性別によって異なります。1口目は終身年金で、生涯にわたって受け取れます。2口目以降は、終身年金または一定期間受け取れる確定年金から選択します。ただし、国民年金基金に加入すると、付加年金制度は利用できません。
公的年金シミュレーターを活用して、将来の年金受給額を確認し、ライフプランを立ててみてください
年収が下がっても加入期間や納付額、今後の収入などを考慮することで、具体的な影響度を把握できます。今からできる対策を検討し、将来への不安を和らげ、安心できる老後に向けて準備を進めましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 付加年金
国民年金基金連合会 国民年金基金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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