「生活に余裕がない」といいながら年に2回は家族旅行に行く息子夫婦。その分「親に援助」をしてもらうのは難しいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月17日 10時0分
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退職して年金生活になる親のなかには、現役世代の子どもからの仕送りを期待する場合があるかもしれません。貯蓄や退職金、年金額などにもよりますが、子どもから援助してもらうと生活が助かる世帯は少なくないでしょう。 しかし働いている子ども全てが親に援助をしている、あるいはできるとは限りません。「生活にゆとりがなく、自分の世帯を養うだけで精いっぱい」という子どももいます。 本記事では、どれくらいの現役世代の子どもが親に援助しているかを解説します。
親への金銭的援助に関する子どもの意識
厚生労働省が公表した、国立社会保障・人口問題研究所「全国家庭動向調査」によると、「高齢者の経済的援助は、公的機関より家族が行うべきだ」という考え方に対する反応は表1の通りです。
表1
まったく賛成(%) | どちらかといえば 賛成(%) |
どちらかといえば 反対(%) |
まったく反対(%) | |
---|---|---|---|---|
1993年 | 5.3 | 26.2 | 45.2 | 23.3 |
1998年 | 4.6 | 26.1 | 48.9 | 20.4 |
2003年 | 4.0 | 26.0 | 49.1 | 20.8 |
2008年 | 3.2 | 24.0 | 51.4 | 21.5 |
2013年 | 2.7 | 25.5 | 53.5 | 18.4 |
2018年 | 2.4 | 20.9 | 54.0 | 22.7 |
※厚生労働省「図表1-6-13高齢の親への援助に関する考え方」を基に筆者作成
賛成と感じている子どもは2018年時点で2割程度しかいませんでした。「自分で援助をしたい」と思っている子どもは、それほど多くないようです。また賛成と回答した人の割合は、2018年とそれ以前の調査時を比較して、減少傾向にあるようです。
ちなみに「年を取った親は子ども夫婦と一緒に暮らすべきだ」「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」という考え方に対して「賛成」と回答した人も減少傾向にあります。
親への仕送りをする世帯は1割以下!?
令和4年国民生活基礎調査によると、回答総数5万4310世帯のうち、親への仕送りをしている世帯は1138世帯にとどまりました。割合ではわずか「2.1%」にとどまります。また、年齢別に見ると表2の通りです。
表2
世帯主の年齢 | 仕送りをしている世帯 (総数5万4310世帯中) |
仕送りをしている世帯の割合(%) |
---|---|---|
29歳以下 | 82 | 2.75 |
30~39歳 | 126 | 2.69 |
40~49歳 | 244 | 3.19 |
50~59歳 | 356 | 3.84 |
60~69歳 | 262 | 2.62 |
70歳以上 | 67 | 0.34 |
※総務省統計局「令和4年国民生活基礎調査」を基に筆者作成
親が高齢者である確率が高いと思われる40代以上の子ども世帯を含め、親への仕送りをしている世帯は各年齢階級においていずれも4%未満でした。調査結果のみでいえば、親への経済的援助は「一般的」とはいえないようです。
親に援助すべきかどうかは状況による
親に援助すべきかどうかは、状況により異なります。各家庭により事情が異なるため、援助すべきか否か一概に結論付けることはできないでしょう。以下のようなポイントを考慮して判断できるかもしれません。
・親の経済状況
・自分の経済状況
・兄弟や姉妹からの援助
・公的支援の有無
・本人の価値観
・親との関係性
今回のケースのように、生活に余裕があるように見える子どもから援助を受けられないと、やるせなさを感じてしまうかもしれません。
しかし詳細が分からないと、「親をおざなりにしている」とは言い切れない部分もあるでしょう。出費を抑えて家族旅行をしているだけで本当に経済的余裕がない可能性もあります。
いずれにしても、必要に応じて子どもと話し合いの機会を持つようにすると、不満をため込まずに済むかもしれません。
親への経済的援助をする子どもは多くない
親へ仕送りなど経済的援助をする子ども世帯は多くないようです。また、親への援助を家族として率先して行うべきと感じている人も、多いとはいえません。
とはいえ家庭事情は千差万別であり、経済的に困窮している親を持つ子どもと、そうではない子どもとの間で、意識や援助の有無に違いが出てくる可能性はあります。
出典
厚生労働省 図表1-6-13 高齢の親への援助に関する考え方
政府統計の総合窓口(e-Stat)令和4年国民生活基礎調査 表番号61 06 仕送りの状況(第56表~第61表)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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