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いい大人だったら知っておきたい!為替と株価の関係性

ファイナンシャルフィールド / 2018年12月2日 3時0分

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輸出型の企業は、為替が「円安・ドル高」になると株価が上昇し、「円高・ドル安」になると下落します。逆に、輸入型の企業は、為替が「円安・ドル高」になると株価は下落し、「円高・ドル安」になると、株価は上昇します。   輸出型か輸入型かによって、為替の動きが逆に作用します。為替の影響も考慮しながら、投資する銘柄を選びましょう。   ―とは、株式投資でよく言われるアドバイスです。投資初心者向けの書籍にもよく登場します。でも、本当でしょうか?  

輸入型の銘柄でも円安で株価が上昇している

投資初心者向けの書籍では輸入型:円高・ドル安 ⇒ 仕入コストが抑えられる ⇒ 業績改善 ⇒ 株価上昇というようなことが図式で書かれていることが多いのですが、肝心の為替と株価のグラフが掲載されていません。
 
なぜなら、「円高・ドル安=株価の上昇」となっていないからです。本当のところはどうなのか?それは過去の動きを見れば分かります。
 
ここでは、輸入型の企業の代表例として、製紙メーカーの王子ホールディングス(HD)の株価を、為替レート(円・ドルレート)と比較してみましょう。
 


公開データより筆者作成
 
2008年10月末の為替レートと株価を100%として、月次ベースでグラフにしています。
 
「円高・ドル安=株価の上昇」であれば、為替の動きと株価の動きは反対になっていなければいけません。ところが、どちらかといえば、同じ方向に動いています。
 
2008年から2012年にかけては、為替レートは「円高・ドル安」傾向に推移していました。「円高・ドル安」傾向であれば、輸入型の企業は業績が良くなるはずで、株価は上昇すると考えられます。しかし、実際にはこの時期の王子ホールディングスの株価は低迷していました。
 
2012年の暮れから為替は「円安・ドル高」に向かうようになり、2014年の後半にはさらに「円安・ドル高」へと進みます。輸入型の王子ホールディングスにとっては逆風で、業績悪化、そして株価下落となるはずです。ところが、同社の株価は上下を繰り返しながらも上昇していきました。
 
動きを詳細に見てみると、「円安・ドル高」の時に上昇し、「円高・ドル安」の時には下落しているのがわかります。
 

為替よりも株式相場の動きが影響している

ご承知のように、2012年の暮れからアベノミクスへの期待で、為替は「円安・ドル高」となり、株式相場は大幅高となりました。それを受けて輸入型の銘柄も、業績への影響とは関係なく、いっしょになって上昇したのです。
 
日本の株式相場は、為替相場の影響を強く受けます。「円安・ドル高=株高」「円高・ドル安=株安」となる傾向があります。それにともない、輸入型の企業も、為替による業績への影響とは逆の動きをする傾向があります。理屈どおりのパターンにはなっていないのです。
 
ただ、最近は連動性が崩れているようで、為替の動きに関わらず、同社の株価は上昇しています。為替が円高・ドル安になると、輸入型の銘柄は上昇する」は、書籍にも書かれているアドバイスですが、過去の結果を見る限り注意が必要です。
 
※株価はさまざまな要素が絡み合って市場で形成されるものです。実際の投資を考えている方は、ご自身で情報を集めて分析する必要があるでしょう。
 
Text:村井 英一(むらい えいいち)
国際公認投資アナリスト

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