落とした財布を拾ってくれた人から、「お礼はクレジットカードの限度額も含めて1割」と要求されました。感謝の気持ちはありますが、さすがに「限度額」は含みませんよね? だいたい200万円ほどです…
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月23日 2時10分
現金が入った財布を落としてしまい、親切な人が交番に届けてくれた。このようなときは拾ってくれた人にお礼を渡すことが一般的です。では、クレジットカードやキャッシュカードしか入っていない財布を落とした場合はどうでしょうか? 「クレジットカードの限度額の10%くらいはお礼をもらいたい」と拾ってくれた人に言われた場合、お礼として金銭を支払う義務があるのでしょうか。
落とし物を拾って交番に届けると持ち主から「報労金」を受け取れることがある
道端に落ちている財布を拾って交番に届け出たようなケースの「お礼」のルールに関しては、遺失物法という法律で定められています。
落とし物を拾った人が持ち主から受け取れるお礼のことを「報労金」と呼びます。落とし物を拾った人(拾得者)は、財布を落とした人(遺失者)からお礼を受け取ることができます。
その金額は「落とし物の価値の5~20%」です。ただし、駅や百貨店などの施設内で拾った場合はお礼を施設側と折半することになり、落とし物の価値の2.5~10%が相場とされます。
報労金を受け取る権利は落とし物を拾ってから7日以内(管理者がいる施設で拾った場合は24時間以内)に届け出ないと消滅します。
財布の中のクレジットカードの価値は報労金に影響するのか
前記の通り、落とし物を拾った拾得者が報労金を受け取る権利があるのは「落とし物の価値の5~20%」です。
落とし物の価値は、現金ならその額面なので分かりやすいでしょう。一方、クレジットカードしか入っていない財布を拾った場合の報労金はどうなるでしょうか。金銭的な価値があるものは、その時価(市場価格)の5~20%が報労金の相場になります。
クレジットカードの利用限度額が200万円であれば、例えば20万円分ものお礼がもらえるのかと思いがちです。しかし実際には、クレジットカードは本人しか利用できないため、他人が取得しても金銭的な価値がありません。
遺失物法35条2号によれば「個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証する文書、図画又は電磁的記録」は所有権を取得できないものと定められています。
さらに、クレジットカードは持ち主が落としたことに気付いてカード会社に連絡し、カード利用停止の手続きをとれば価値は0円になってしまいます。つまり、クレジットカードは報労金の金額には含まれないと考えられます。
報労金以外の形でもお礼の気持ちを持つことが大切
クレジットカードを落としても報労金を支払う金額には算入されないのが一般的というのは解説した通りです。
遺失物法では報労金の金額の目安について記載はあるものの、守らなかったとしても罰金や罰則はありません。ただ、実際に報労金を巡って民事訴訟が起こされたことはあります。金銭ではなくとも、できる範囲でお礼をする気持ちを持つと良いでしょう。
まとめ
遺失物法では落とし物を拾ってくれたときのお礼として「落とし物の価値の5~20%」と定めていますが、クレジットカードは本人しか利用できないことからお礼の価値には含みません。
ただ、拾ってくれた人が善意で警察に届けてくれたことで犯罪に使われずに済んだことも事実です。遺失物法の範囲内、あるいは金銭とは別の形でも、お礼の意思を示すことは大切です。
出典
e-Gov法令検索 遺失物法
警察庁 スライド『落とし物・忘れ物を拾ったら?』編 警察に届け出ましょう!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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