来年の消費税引き上げに向けて、これから駆け込みの売却も増えるかも……マイホームを買い替える時の3つのやり方をおさらいしておきましょう
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月2日 9時0分
2019年10月1日の消費税引き上げ(8%から10%)まで1年足らずとなりました。 前回の引き上げ(2014年4月1日、5%から8%)よりも上げ幅は小さいものの、社会経済や暮らしへの影響も色々と予想されます。
増税額も大きいのでマイホームの購入や買い替えで増える「駆け込み」、そして経過措置とは?
金額の張る物品やサービスで2%(引き上げ税率)の差はとても大きく、特にマイホームの売買では数十万円クラスにのぼる場合も珍しくないでしょう。
そのため、引き上げ前に「駆け込み」の購入や買い替えが増えることが消費税引き上げのたびに指摘されています。
仮に[土地価格1500万円+建物価格3500万円+建物消費税280万円=税込み総額5280万円]の新築分譲マンションを想定すると、税率が2%上がると建物消費税が70万円もの増税となります。
また、このマンションを購入するために、今住んでいる住宅を[総額4000万円]で売却して買い替えしようとすれば、売却するための宅地建物取引業法の仲介手数料の上限額にかかる消費税も2.5万円ほど増える計算となります。
このように大きな金額規模ですが、消費税引き上げ時のマイホームなど、住宅に関する経過措置の要点を確認しておくと、次の通りです。
(1)消費税額は原則として引き渡し時点の税率により決定
(2)税率引き上げの半年前までに工事請負契約された注文住宅は引き上げ前の税率が適用
→今回は、2019年3月31日までに契約したものは仮に引き渡しが2019年10月1日以降になっても、引き上げ前の税率が適用されます。
(3)注文住宅だけでなくマンション・戸建等の分譲住宅売買契約も概ね対象 ~マンション・戸建などの分譲住宅売買契約でも、注文者が壁の色またはドアの形状などについて特別の注文を付すことができることとなっている場合には、(2)と同様の経過措置が適用されます。
2019年9月30日までに引き渡しを受けられる物件や、2019年3月31日までに売買契約を締結して上記の(3)が適用される物件をターゲットにして、マンション・戸建などの分譲住宅の購入、その買い替えのためのマイホームの売却が、今後さらに活発になることが予想されるわけですね。
マイホーム買い替えの3つのパターン
マイホームの買い替えをする場合、まず次の3つのパターンが考えられます。
媒介契約にも3つのパターンがあります
「売り」と「買い」のどちらを先行させるか、悩ましいところですね。そして、上記の(う)でも少し触れていますが、今のマイホームの売却を、仲介会社へ任せるやり方(媒介契約の形態)にも、次の3つがあります。
「一般媒介」は依頼者・仲介業者ともに責務や制約が少なくなります。たくさんの仲介業者に同時並行で依頼して(売り出し価格に対する値下げ交渉が少なく)、できるだけ高く売れるチャンスが広がる場合もあるかもしれません。しかし、仲介業者からすると自社の商売にならない可能性も多いため、「専任媒介」や「専属専任媒介」の案件ほど熱心に取り組まないことがよく指摘されます。
また、仲介物件紹介サイトで、5、6社もの仲介業者が同じ物件を掲載していたら、どうでしょうか。購入検討者が折角興味を持ってくれても、“この物件は、一体どの仲介業者が本当に任されているの?”とちょっと引いてしまう事態も考えられますね。
逆に「専属専任媒介」は、成約すれば確実に自社のビジネスになります。
そのため仲介業者も力が入りますが、売り主だけでなく買い主も自社で決め、仲介手数料をダブルで獲得する「両手取引」を狙い、ほかの仲介業者への物件紹介を熱心に行わない弊害も考えられます。
まとめ
今回触れた3つの売り方と3つの媒介契約形態ですが、売却する住宅ごとに状況や事情は異なりますので、絶対無二の正解はないでしょう。
「売れてなんぼ」とはいえ、大切なマイホームの買い替えです。できるだけ早く、スムーズに成約できるように状況を把握して、売り方や媒介契約形態に対するスタンスを決めることが売り主にも必要とされます。
特に、消費税引き上げに絡んだ2019年の3月31日や、10月1日という節目も近い今後、そのことを意識しながら具体的な行動を起こすことはとても大事だと思われます。
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
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