法改正で、103万円の壁が、150万円の壁になったので、12月はもっと働いてもいい?
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月3日 3時0分
配偶者控除と配偶者特別控除の改正が、2018年からスタートしました。これは、女性がもっと社会で働きやすい環境、すなわち「就業調整をしなくてもよい働き方」を支援するため、「一億総活躍社会」を目指す政府の主導で始められました。 税制上の「103万円の壁」は「150万円の壁」に引き上げられ、年収を抑えて働いている人は「もっと働こう」と考えているかもしれません。しかし、思わぬところに落とし穴があります。「壁」が引き上げられたからといって、「もっと働いていいか」は、十分に検討する余地があるのです。 今回は、この税制改正内容と、検討すべき留意点について紹介します。
2018年1月1日から開始した法改正とは?
■配偶者控除
年収1220万(所得1000万)を超える場合には、38万円の配偶者控除を受けることができなくなりました。また、年収が減るにしたがって配偶者控除額が増え、年収1120万円(所得900万円)以下であれば、38万円が控除されるように改正されました。
これは、高所得者にとって負担増になり、今まで配偶者控除を受けていた高所得者世帯の家計に大きな影響が出ると考えられます。もちろん、年収1120万円以下であれば、以前と変わらず控除を受けることができます。
■配偶者特別控除
法改正前と同じく、配偶者の年収が103万円を超えると、配偶者特別控除が適用されます。ただし、控除額が減額され始める基準となる配偶者の所得上限が、年収150万円(所得85万円)に引き上げられました。
つまり、103万円の壁が、150万円の壁に引き上げられたのです。また、年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6000円(所得123万円)で、控除額が0円となります。したがって、配偶者特別控除を気にして、年収103万円以下に抑えて働いていた人は、年収150万円まで働いても、今までのように控除額が下がることはありません。
ただし、思わぬ落とし穴がありますので、次の説明をよく確認したうえで、どこまで働くのか決めましょう。
税制面で得だからといって、150万円まで働いてもいいのか?
先述のとおり、2018年開始の法改正により、税制面では130万円が150万円の壁に引き上げられました。しかし、扶養内で働く人すべてが150万円まで働いてもいいかというと、そうではありません。
次に説明する点を考慮しながら、年収いくらまで働いていいかを検討する必要がありそうです。
■配偶者手当
企業が独自に支給する「配偶者手当」は、配偶者の年収基準を103万円以下と設定していることもあります。
企業によって異なりますが、月数万円支給する企業もあるので、税制上の「壁」が150万円に引き上がられたからといって、安易に働くのも良し悪しです。企業から支給される金額と、配偶者特別控除の引き上げに伴う税制のメリットを比較して、いくらまで働いた方が得なのか検討する必要があります。
合わせて、次の社会保険料についても配慮しながら、どこまで働くのか決める必要があります。
■社会保険料
社員が501人以上の会社に勤務している場合、106万円を超えると扶養から外れ、自分で保険料を負担する必要があります。社員500人以下の企業では、130万円を超えると保険料を負担する必要があります。
したがって、130万円の壁が150万円に引き上がられたからといって、単純にもっと働いていいことにはなりません。前述しましたように、税制メリットと配偶者手当や社会保険料の負担増を留意しながら、いくらまで働くかを決める必要があります。
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
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