わが家は母子家庭の「年収350万円」です。娘が大学進学を希望しているのですが、「無償化」の対象になるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月23日 4時40分
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国公立大学の学費値上げ検討の報道もある昨今、経済的に厳しいことが多い母子家庭にとって大学進学の学費は切実な問題かと思います。 そこで「年収350万円」の母子家庭で子どもが1人のケースを例にして、大学無償化の支援が受けられるか、活用できる制度はあるのかを解説します。大学進学の学費が心配な人は参考にしてください。
年収350万円の母子家庭は大学の無償化対象になる?
大学進学に際しての支援制度には、令和2年4月から始まった「高等教育の修学支援新制度」いわゆる大学無償化があります。給付型奨学金の給付と授業料・入学金の減免の3つの支援が年収により受けられます。支援対象の年収目安と給付上限は次のようになっています。
●第Ⅰ区分:年収約270万円まで、住民税非課税→給付型奨学金91万円、授業料減免70万円
●第Ⅱ区分:年収約300万円まで→給付型奨学金61万円、授業料減免47万円
●第Ⅲ区分:年収約380万円まで→給付型奨学金30万円、授業料減免23万円
※年収目安は兄弟姉妹の数や年齢などで異なります。
以上の目安を見ると「年収350万円」は第Ⅲ区分の対象になり、第Ⅰ区分の3分の1の額が支援されます。対象となる世帯年収の確認や、奨学金・授業料減免の額などは、詳しくは日本学生支援機構のホームページでシミュレーションしてください。
給付されることはわかったけれど、大学進学の資金が足りそうにないと不安な家庭もあると思います。次に「高等教育の修学支援新制度」いわゆる奨学金以外に大学の学費を用意する方法を紹介します。
大学の学費の備え方
子どもが小さいうちから貯めるなら、児童手当を使わずに貯蓄するのがお勧めです。ほかに使うことなく貯蓄できれば、中学校卒業までに約200万円が貯まります。
しかし、大学入学の前だけでも受験料のほかに試験時の交通費やホテル代、塾や模試のお金もかかる可能性があります。合格後には入学金や前期分の授業料、自宅外ならば電化製品やアパートの契約金など、初年度で約200万円前後が必要といわれています。
可能であれば250万円程度は用意しておきたいところですが、入学までにさまざまな費用がかかることもあり、全員が貯められるわけではありません。奨学金の受け取りも入学後から始まるため、入学時にはあてにできません。
そこで在学中に必要な「高等教育の修学支援新制度」で奨学金を申し込むのとは別に、入学時に使える融資先として次のようなものがあります。
(1)国の教育ローン(日本政策金融公庫)
(2)メインバンク(ふだん給与振り込みや積立している銀行、信用金庫など)
(3)母子父子寡婦福祉資金貸付金制度(居住の市町村)
(1)の日本政策金融公庫は親が借りるローンのため、子どもの奨学金申込みとは別に、塾代や入学時の費用を借りることができます。24時間インターネットから申込みができ、審査の結果も10日ほどで回答が出ます。ただし、年明けの1月から3月は申込みが集中するため、最低でも1ヶ月半以上前に申込みが必要です。
(2)のメインバンクは、奨学金が出るまでのつなぎ融資の申込みにお勧めです。
年収や勤続年数などの属性によって融資の決定がされますが、年収が低めでも給与振り込みの実績やコツコツと積立しているなどが評価されれば、低めの金利で融資してくれることもあります。審査も早いので問い合わせをしても良いでしょう。
(3)の母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等に貸し付けられます。最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口に問い合わせしてみてください。支援対象になれば入学金や授業料のほかに教科書代など最高で月額14万6000円を借りることができます。
まとめ
大学進学には多額の資金が必要になるため、心配する人も多いでしょう。しかし、給付が可能な大学無償化の制度を使い子どもには奨学金を併用してもらうことで、大学進学も十分可能です。また、入学時の貸し付け制度もあるので無理のない範囲で利用し、余裕を持ったスケジュールで計画的に手続きを行いましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 高校教員向け「進学マネー・ハンドブック」2024年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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