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夫婦とも正社員、給与も同じくらいです。定年後は2人の年金で生活したいのですが、どちらかが亡くなったら受け取れる年金は減りますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年6月24日 10時0分

夫婦とも正社員、給与も同じくらいです。定年後は2人の年金で生活したいのですが、どちらかが亡くなったら受け取れる年金は減りますか?

Aさん夫婦はともに40代後半の正社員、大卒で入社し年収はそれぞれ400万円、定年まで働く予定です。子どもはおらず、定年後は2人の年金収入をメインに生活したいと考えています。しかし、どちらかが亡くなったらその年金が止まるのだとすれば、老後生活に不安があるとのことで、ご相談にきました。

共働きAさん夫婦の遺族年金額

公的年金には一家の働き手の人や年金を受け取っている人が亡くなった時、要件を満たす家族に支給される遺族年金があります。遺族年金は残された家族の生活保障となる年金です。
 
遺族年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母で優先順位の高い人が受け取ることができます。Aさん夫婦であれば、どちらかが亡くなっても最優先に受け取ることができます。
 
1996年から共働き夫婦が増加する中、Aさん夫婦のように給与が同じくらいあると、個人の老後の年金額は同じぐらいあると想像できます。
 
子どものいないAさん夫婦は、お互いの両親は早くに他界し、兄弟姉妹もいないため、どちらかが亡くなると頼る親族がいないので、老後の不安が大きいようです。
 
お互いどちらが先に亡くなるか分かりませんが、一度、年金相談をしてみようということになりました。
 

遺族年金はゼロ?

現在、Aさん夫婦の会社は60歳定年ですが、お互いの年金受給が65歳のため、夫婦が同じ給与で65歳まで働いた場合の予想される年金受給額は図表1のとおりです。
 
図表1

図表1

遺族年金は65歳前後で大きく変わります。今回のご相談は、Aさん夫婦のように65歳をすぎてからの共働き夫婦には遺族年金は受け取れるのかどうか考えてみます。
 
65歳以上で老齢年金を受け取りはじめると、原則、自身の老齢基礎・老齢厚生年金を受け取り(図表2左側)、遺族厚生年金は差額支給(図表2右側)となります。
 
図表2
図表2

国民年金部分である老齢基礎年金は、自身の年金を終身で受け取ります。遺族厚生年金の計算は、亡くなった人の厚生年金の加入期間や報酬の額をもとに「亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」で計算します。
 
老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であるため、Aさん夫婦のように、給与が同じくらいであれば老齢厚生年金額も同じくらいになりそうです。その場合、自身の年金額のほうが高くなっていると遺族年金は全額支給停止となり、遺族年金を受け取ることができないこともあります。
 
実際に、現時点でAさん夫婦の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3でそれぞれ計算します。
 
夫が亡くなった場合:115万7587円×3/4= 86万8190円
 
妻の老齢厚生年金額が高くなります。
 
妻が亡くなった場合:107万8660円×3/4= 80万8995円
 
夫の老齢厚生年金が高くなります。
 
つまり、どちらが先に亡くなったとしても遺族厚生年金は受け取ることができません。
 
ただし、配偶者には、もう1つ別の方法で計算することができます。夫婦ともに給与が同じくらいの場合、もう1つの計算で求めると、年金が受け取れることもあるのです(図表3)。
 
図表3
図表3

夫の遺族厚生年金の3分の2は86万8190円×2/3=57万8793円、妻の老齢厚生年金の2分の1は107万8660円×1/2= 53万9330円となり、合計は111万8123円です。この合計から妻の老齢厚生年金107万8660円を差し引くと、3万9463円となります。
 
夫婦ともに老齢厚生年金が同額ぐらいにある場合、後者の計算方法で求めると、遺族厚生年金を受け取ることができるようです。ただし、後者の計算でも差額がない場合は、遺族厚生年金は支給されません。
 

長生きリスクに備える保険

Aさん夫婦は説明を聞いて寂しい様子。年金は長生きリスクに備える保険といわれています。定年後、働けなくなった時の備えとなります。夫婦で長く働くと、定年後の生活は2人の年金で賄えるでしょう。
 
いまは遺族年金額にとらわれることなく、公的年金を長生きリスクに備える保険として考え、夫婦で長く年金を受け取ることを一番に考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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