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日本人として、通貨リスクの分散を考えるべき理由

ファイナンシャルフィールド / 2018年12月3日 9時0分

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11月23日付の日経新聞に、トルコのフェリー大手のIODいう会社が、トルコで通勤や観光に欠かせない船の市内運航の多くを12月から取りやめるという記事がありました。   8月にトルコリラが米ドルに対して大幅に下落し、輸入に頼っている燃料の価格高騰に耐え切れなくなったためだそうです。   新興国であるトルコと日本とでは状況が異なりますが、食料やエネルギーのほとんどを輸入に頼っているという点では日本にとっても耳の痛い話です。  

日本人の感覚

日本に住んでいると、なかなか自国の通貨が急落するということは想像がつきにくいと思います。
 
理由はいくつかありますが、日本が世界第3位の経済大国であるという信用性、日本円自体が世界でもごく一部しかない決済通貨の一つであること、日本は巨額の債務国である反面、巨額の債権国でもあり、持ちつ持たれつの状態であることなどがあると思います。
 
例えば、IMF(国際通貨基金)の制度として、SDR(特別引出権)があります。
 
IMF加盟国は自国の通貨が暴落した際、IMFへの拠出額に応じて割り振られたSDRと、米ドルやユーロといった世界で広く流通している通貨を交換してもらうことができます。
 
この広く流通している通貨には、日本円も含まれます。他の新興国などの通貨と比べれば、日本円は非常に信用のある通貨であり、我々日本人は恵まれた境遇にあると言えます。
 
これらのことから、他国の通貨でリスクヘッジしなくてはならないという危機感が芽生えにくいのも理解できますが、実は、そんなにのんびりしていられない側面もあります。
 

日本の現状

通貨というのは発行している国の力に依存するものです。国の信用によって、ただの紙や大して値打ちのない金属でできた硬貨に物やサービスと交換する価値が付けられているのですから、考えてみればすごい話です。
 
では、国の力とは何かというと、ソフトなものでいうと経済力。ハードな面でいうと軍事力です。
 
経済力は毎年どれだけのものを生み出せるか(GDP)、財政は健全か(赤字国債が増えすぎてないか)などで判断できます。
 
軍事力でいえば、戦争に巻き込まれても勝ち残れるかという根本的な問題が左右します。国内が内乱などで乱れていないかといったことなども重要です。
 
これを日本に当てはめると、経済力でいえばGDP世界第3位の経済大国ですから、かなりなものです。ただ赤字国債の発行残高が平成30年9月時点で約1092兆円近く(※1)になっています。
 
ただ、平成28年度「連結財務書類の概要」(※2)を見ると、日本政府は資産として986.3兆円保有しているようですし、日銀の資産循環統計(※3)を見ても、2018年6月末時点で日本国民の家計の金融資産は約1850兆円近くにもなりますので、今すぐ破綻したりすることはなさそうです。
 

問題はこれから

これからは少子高齢化で働き手が減って、税収入や社会保険料収入が減り、高齢者が増えて医療費や年金支出が増える一方です。
 
働き手が減るということは生産性の低下に直結しますので、GDPが伸び悩んだり、下がったりする可能性が大きくなります。
 
日本以外の国、主には新興国が伸びるにつれて、日本企業の海外の工場の賃金が上がったり、日本がほとんどを輸入に頼っている食料やエネルギーがどんどん値上がりする可能性もあります。輸入しているものの値段が上がれば、それは日本円の価値が下がっていることにもなります。
 
過度に不安をあおるつもりはありませんが、日本円より信用のある通貨をもっておくのも、一つの家計防衛手段にはなります。
 
流通量の多さでいえば日本円よりはるかにユーロ、ユーロよりもはるかに米ドルです。
 
ユーロの場合は、中心となっているドイツ、フランス共に日本と似た少子高齢化の問題を抱えているため、出生率がいまだに高く、移民という労働力も増えているアメリカの方が強いかもしれません。
 
どちらがいいとは言い切れませんが、少なくとも日本円より流通量が少ない通貨を選ぶ理由はあまりないでしょう
 
出典
※1財務省 国債及び借入金並びに政府保証債務現在高
※2財務省 平成28年度「連結財務書類の概要」
※3日本銀行 資金循環統計
 
Text:萬實赳志(ばんみ たけし)
AFP認定者
 

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