仕事で「5分」の残業をしたら、上司に「ウチでは切り捨てだよ」と言われました。5分くらいでも“残業時間”にカウントされますか? 実際どうなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月30日 5時0分
![仕事で「5分」の残業をしたら、上司に「ウチでは切り捨てだよ」と言われました。5分くらいでも“残業時間”にカウントされますか? 実際どうなのでしょうか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_305248_0-small.jpg)
残業の申請方法は会社によってさまざまですが、基本的には上司の承認が必要となるケースが多いでしょう。しかし、中には「あれ?」と思うような残業申請をするように上司から指示された経験がある人もいらっしゃるかもしれません。 本記事では短時間の残業であることを理由に、労働時間を切り捨てて残業申請することの問題点について解説します。
賃金の支払い方法は法律で決まっている
結論としては、短い時間であっても、原則として労働時間を切り捨てることは認められません。認められない理由には、賃金の支払い方が関わっています。
賃金の支払い方法は、労働基準法第24条で決まっており、賃金支払いの5原則といわれています。以下の原則に基づいて、会社は従業員に賃金を支払わなければなりません。
通貨払いの原則
例えば日本円など、一般的に流通する通貨で賃金を支払わなければなりません。現時点の価値が非常に分かりにくい現物による給与支給を禁じています。
直接払いの原則
働いた本人以外に賃金を奪われないよう、原則として直接本人に支払わなければならないと定められています。
全額払いの原則
直接払いの原則と同じく、労働の対価として受け取るべき賃金が、滞りなく働いた本人の手元に届くよう、一度に全額を支払うことが決められています。ただし例外として、税金の源泉徴収など、一部控除が認められているケースもあります。
毎月払いの原則
賃金をいつ受け取れるのかが分からないと、収入のタイミングが読みづらく、不安を抱えながら生活することになってしまいます。そうならないために、支払い間隔が開きすぎることがないよう、毎月支払うことが定められています。
一定日払いの原則
毎月払いと同様、支払われる日も一定でないと計画的な生活ができなくなってしまいますので、毎月決まった日に支払わなければなりません。
労働時間の切り捨ては賃金の全額払いの原則に反する
賃金支払いの基になる労働時間を切り捨てて申請することは、働いた分の賃金が支給されないこととなり、賃金の全額払いの原則に反してしまいます。
また、会社によっては労働時間管理が、15分単位などで決められているケースもあるでしょう。しかし原則的には、労働時間の把握は1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理です。この観点からも、労働時間の端数を常に切り捨てることは正しいとはいえません。
例外的に切り捨てが認められている2パターン
例外的に以下の場合は、労働時間を切り捨てても賃金の全額払いの原則に違反していると取り扱わないことになっています。
1ヶ月の合計労働時間に30分未満の端数がでた場合
時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの1ヶ月あたりの合計時間数に1時間未満の端数がある時は、30分未満は切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることが認められています。ただし、あくまでも1ヶ月が最小単位です。今回のケースのような1日単位での切り捨ては認められていません。
1円未満の単位の賃金が発生した場合
給与計算時に、1時間当たりの賃金や割増賃金に1円未満の端数が発生した場合、50銭未満の端数を切り捨てて賃金を支払うことは認められています。ただし、端数が50銭以上の場合は、1円に切り上げることで、全体のバランスをとっています。
また、1日ではなく、1ヶ月における時間外労働、休日労働および深夜労働それぞれの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合も、同様に扱います。
労働時間の切り捨てはNG! 半端な時間の処理は適切に行おう
たとえ短い時間の残業であったとしても、賃金の全額払いの原則に反してしまうため、働いた時間の切り捨ては認められていません。上司の理解ももちろん大事ですが、まずは自分自身が正しい知識を身につけて、適正な残業申請を行いましょう。
出典
厚生労働省 賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい
大阪労働局 よくあるご質問(時間外労働・休日労働・深夜労働)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
年収を教えてくれない彼氏。1時間残業すると「5000円」らしいのですが、1時間当たりの賃金はいくらですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月19日 6時10分
-
会社員です。新しい勤務先はフレックス制なのですが、いくら残業しても残業代は支払われないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月16日 8時30分
-
自分のミスで10時間「残業」!会社に”残業代”を申請してもいい?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月12日 2時30分
-
”固定残業代”が支給されていても「定時」で帰っていい?固定残業代制について解説!
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月8日 3時40分
-
残業で終電を逃しタクシーで帰った場合、「交通費」の請求は可能?タクシー代の支給条件とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月7日 3時20分
ランキング
-
1すき家、7月から“大人気商品”の復活が話題に 「この時期が来たか」「年中食いたい」
Sirabee / 2024年6月29日 4時0分
-
2湿気が多いこれからの季節に役立ちそう…警視庁が紹介する「跡が残らないヘアゴムの結び方」
まいどなニュース / 2024年6月30日 20時30分
-
3忙しい現代人が“おにぎり”で野菜不足を解消する方法。野菜たっぷりおにぎりレシピ3選
日刊SPA! / 2024年6月30日 15時53分
-
41年切った「大阪・関西万博」現地で感じた温度差 街中では賛否両論の声、産業界の受け止め方
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 14時0分
-
5若々しい人・老け込む人「休日の過ごし方」の違い 不安定な社会、「休養」が注目される納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)