息子が運送業界に就職したのですが、「物流の2024年問題」を気にしています。労働環境は整備されるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月3日 4時40分
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運送業界で働くうえで気になるのが「物流の2024年問題」です。近年は、長距離運送に疲弊したり、運転停止中も荷積みや荷卸しで休めなかったりするトラックドライバーもいるようです。 「運送業界への就職を検討しているが、労働環境が心配」といった方も見られます。今回は、「物流の2024年問題」と問題解消に向けた取り組みを分かりやすく解説します。
物流の2024年問題って?
2024年の法改正により、トラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されます。その結果、運送業の経営や物流システムに大きな影響を及ぼす可能性があることを、「物流の2024年問題」といいます。
以前から、トラックドライバーは労働時間の長さが問題視されていました。時間外労働の上限規制が設けられることにより、働き方に大きな影響がでると考えられるため、注意が必要です。
トラックドライバーの時間外労働が変わる
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間までと規制されました。その結果、これまでのような長時間の時間外労働が削減されます。
輸送力が2030年には34.1%減少する
国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、2024年問題に対して何も対策しなかった場合には、営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%、2030年には34.1%不足する可能性があると試算しています。
2024年問題は、私たちの生活に直結する大きな問題といえるのです。
消費者の送料に影響があるって本当?
物流業界の働き方が変わると、荷物を届けてもらう消費者にとっても影響が見られます。これまで送料無料で届けてもらえていた荷物に送料が発生したり、商品の値段に輸送費が加味されたりする可能性もあるでしょう。
たとえば、これまで日用品を無料で届けてもらっていた場合を想定するとしましょう。毎月トイレットペーパーやティッシュなどを週に一度注文し、送料無料だったものが「送料520円」になった場合は2080円の送料がかかることになります。その場合は回数を控えたり自分で店舗に買いに行くことが増えるでしょう。
このようにトラックドライバーの働く環境が悪いままの場合、宅配サービスをはじめとしたさまざまな便利なサービスの存続そのものが難しくなるため、今後値上げや送料の負担が発生した際は受け入れる必要があるでしょう。
2024年問題解消に向けた取り組み
2024年問題が解消されなければ、トラックドライバーの過酷な労働環境が改善されず、人手不足が現在よりも深刻化すると考えられています。人手不足が悪化すれば、今後、これまでどおりの輸送はできなくなるでしょう。
必要な時に必要なものが届かなかったり、食品などの新鮮なものが手に入らなくなったりする可能性があります。問題の解消に向けて、荷主とトラック事業者が連携した次のような取り組みが行われています。
荷待ち時間の削減
予約システムの導入や事前にトラックの到着時間を把握できる仕組みを作ることで、荷待ち時間を削減する取り組みが行われています。システムやアプリを活用することで、トラックの到着状況を共有したり、到着時間帯を分散させたりすることで、荷待ち時間の集中を緩和したりできます。
また、荷受け側の状況を考慮した納品時間を設定することで、荷待ち時間の短縮や円滑な荷受けを実現することが可能です。
作業の削減
機械化や自動化することで、荷待ち時間や荷受け時間などの運送にかかる時間を大幅に短縮することができます。具体的には下記の通りです。
・予約システムの導入
・アプリを活用し、荷受け時間帯を調整
・荷役作業を自動化し、人が行う作業の削減
・車両の運行状況を管理できるシステムの導入
DX化を進めることで、業務時間を短縮するだけでなく、トラックドライバーの身体的負担を軽減する効果も期待できます。
運送業界は労働環境の見直しが進んでいる
長時間労働の解消や荷役作業の効率化、DX化など、運送業界の労働環境の見直しが進んでいます。以前はあいまいだった労働時間が明確になり、いっそう風通しのよい労働環境になることが期待できると考えられています。
私たち消費者も持続可能な物流の実現についてしっかり理解することが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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