「月給が多い」vs「ボーナスが多い」手取りの“差”はどのくらい?「年収500万円」のケースで試算
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月3日 2時30分
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同じ額面年収であっても、年収のうち「ボーナス」の割合が多いか少ないかで、手取り額にはどれほどの差が出てくるのでしょうか。 今回は同じ「年収500万円」で「月給高め・ボーナス安め」の場合と「月給安め・ボーナス高め」の場合の2パターンを想定し、具体的な手取り額をシミュレーションしてみます。
「年収500万円」にかかる社会保険料の負担額は?
実際に、同じ「年収500万円」で「月給高め・ボーナス安め」の人と「月給安め・ボーナス高め」の人の年間手取り額はどのように変わるかをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの設定は次の通りです。
共通条件
●1人暮らし
●扶養親族なし
●民間保険には不加入
●その他、税額控除の対象となる医療費控除などはなし。
●介護保険の第2号被保険者(40歳以上)に該当しない(介護保険料は0円)
●東京都にある会社(全国健康保険協会に加入)に勤務
●雇用保険料は「一般の事業(労働者負担が1000分の6)」に該当する
「月給高め・ボーナス安め」
月給額:40万円(額面)・毎月支給
ボーナス額:10万円(年に2回、6月と12月に支給)
「月給安め・ボーナス高め」
月給額:25万円(額面)・毎月支給
ボーナス額:100万円(年に2回、6月と12月に支給)
月給・ボーナスにかかる各種社会保険料は次のように計算されます。
健康保険料
標準報酬月額(標準賞与額)×健康保険料率(9.98%)÷2
厚生年金保険料
標準報酬月額(標準賞与額)×厚生年金保険料率(18.3%)÷2
雇用保険料
総支給額 × 雇用保険料率(0.6%)
額面月収40万円の場合の「標準報酬月額」は、41万円(報酬月額39万5000円以上~42万5000円未満)になります。これは等級27(24)となり、健康保険27等級、厚生年金保険24等級と設定され、健康保険料の負担額は2万459円、厚生年金保険料の負担額は3万7515円、雇用保険料は40万円×0.6%=2400円となります。
一方、額面月収25万円の場合の「標準報酬月額」は、26万円(報酬月額25万円以上~27万円未満)になります。これは等級20(17)となり、健康保険20等級、厚生年金保険17等級と設定され、健康保険料の負担額は1万2974円、厚生年金保険料の負担額は2万3790円、雇用保険料は25万円×0.6%=1500円となります。
なお、年3回までの賞与(ボーナス)は、標準報酬月額の算定には用いません。
同様に、ボーナスにかかる社会保険料は次の通りになります。
健康保険料
10万円×9.98%÷2=4990円
厚生年金保険料
10万円×18.3%÷2=9150円
雇用保険料
10万円×0.6%=600円
健康保険料
100万円×9.98%÷2=4万9900円
厚生年金保険料
100万円×18.3%÷2=9万1500円
雇用保険料
100万円×0.6%=6000円
これらをまとめると、図表1の通りとなります。
図表1
筆者作成
年収が500万円の場合、各種の社会保険料は、「月給高め・ボーナス安め」「月給安め・ボーナス高め」ともに年間75万3968円を負担しています。それぞれのパターンで給与・ボーナス支給時の天引き額は異なりますが、年間の負担額は同一になります。
「年収500万円」にかかる所得税・住民税額は?
給与所得のみを得ている場合の、所得税・住民税の計算方法は次の通りです。
所得税・住民税(所得割)
(給与所得額-所得控除額)×税率-控除額
ここで、給与所得額とは給与の額面受取額から給与所得控除額を差し引いたもので、給与所得控除額は、年収500万円の場合は144万円です。よって、年収500万円の人の「給与所得額」は、500万円-144万円=356万円となります。
ここから基礎控除額・社会保険料控除額を差し引き、実際に年収500万円の人の所得税額・住民税額を計算してみると、次のようになります(ここでは復興特別所得税については考えません)。
●所得税
(356万円-基礎控除48万円-社会保険料控除75万3968円)×10%-9万7500円=13万5103円
●住民税(所得割)
(356万円-基礎控除43万円-社会保険料控除75万3968円)×10%=23万7603円
●住民税(均等割)
東京都の場合、個人都民税1000円、個人区市町村民税3000円で合計4000円。
月額給与から源泉徴収される所得税・住民税については月によって差がありますが、最終的には年末調整によって、前記の金額が年間の給与から差し引かれることになります。
「年収500万円」の手取り額は?
ここまで計算した数字をもとに、年収500万円で「月給高め・ボーナス安め」の人と「月給安め・ボーナス高め」の人の年間手取り額をまとめたものが図表2です。
図表2
筆者作成
給与支給時・ボーナス支給時の社会保険料等負担額は支給額によって変動しますが、1年間ならして考えると、年間手取り額に変化はありません。
まとめ
今回のシミュレーションでは、月給・ボーナスのバランスが変わっても、手取り額は年間386万9326円で変わらないという結果となりました。
ただ、今回のシミュレーションは月給額・ボーナス額が全く変動しないという想定ですので、実際は毎月の支給額がぶれることで社会保険料負担額の基準となる「標準報酬月額」が変動し、年間手取り額も変化することに注意が必要です。
出典
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
国税庁 給与所得者と税
東京都主税局 個人住民税
厚生労働省 令和6年度の雇用保険料率について
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
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