老後の年金は「月14万円」です。なんとか生活できる額ですが、節約しても「医療費」がかかると聞きました。実際どのくらいかかるのでしょうか?“自己負担”は少ないですか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月3日 4時40分
老後の年金は老後の生活を支える重要な収入です。 厚生労働省によると、令和4年度末における厚生年金の平均受給額は月額14万4982円となっていますが、老後の収入が厚生年金の14万円だけだった場合、問題なく日々の生活は送れるのでしょうか。食費や日用品のように節約ができない医療費などの支出も想定されることから、不安に思う人も少なくないはずです。 本記事では年金14万円だけで老後生活が送れるのか、また医療費はどのくらいかかるのか、また現役時代からできる健康対策について解説します。
老後の生活費の平均は? 医療費が占める割合は?
総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は14万5430円、非消費支出は1万2243円で合計15万4673円となっています。月14万円の年金では少し不足するものの、節約すれば生活はできそうです。
また支出のうち、65歳以上の単身無職世帯の保健医療費の平均は7981円であり、それほど大きな出費とはなっていないことがわかります。
75歳以上の医療費は75歳未満の約4倍もかかるが自己負担は少ない
厚生労働省の「令和4年度の医療費の動向」によると、75歳以上の1人当たりの年間平均医療費は95万6000円となっています。75歳未満の平均は24万5000円のため、後期高齢者になると約4倍も医療費が跳ね上がっていることがわかります。
ただしこの金額は医療費の総額であり、実際には75歳以上は後期高齢者医療制度の所得基準を超えない限り、自己負担割合は1割です。そのため医療費約100万円の自己負担額は年間約10万円(1ヶ月平均約8000円)程度となり、65歳以上の単身無職世帯の保険医療費とほぼ同じになります。
また高額療養費制度を利用すれば、病院に支払う自己負担額の外来のみの上限は、1ヶ月当たり1万8000円、1年間で14万4000円となります。そのため何度も通院して自己負担額の上限に達した場合でも、上限額以上の負担はありません。
75歳以上の医療費は多くなりますが、自己負担額はかなり抑えられるでしょう。
若い時から健康に気を付けることが医療費対策となる
内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、健康について心がけている人のほうが「健康状態が良い」と回答した割合は高くなり、心がけ始めたのが早ければ早いほど「健康状態が良い」と答える人の割合が多くなっています。
また「健康状態が良」いと回答した人が日頃心がけていることは、「地域の活動に参加する」「散歩やスポーツをする」「趣味をもつ」などです。
まとめ
年金受給額が月14万円だと、65歳以上の単身世帯の平均支出を下回りますが、節約すれば年金だけでの生活も不可能ではないといえるでしょう。
また老後の医療費の平均も月1万円未満であり、75歳以上になっても、自己負担割合や高額療養費制度があることなどを考えれば、そこまで不安視する必要はないのかもしれません。
しかし若い時から健康を心がけることで、医療費の抑制だけでなく、健康に長生きできる可能性が高まり、生活の質も向上すると考えられます。
老後の医療費対策だけでなく、健やかな老後生活を送るためにも現役時代から健康を心がけてみてはいかがでしょうか?
出典
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和4年度 医療費の動向
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
内閣府 令和5年版高齢社会白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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