「老後資金4000万円」のニュースを見て驚きました。 55歳で「貯金500万円」しかありませんが、老後生活は諦めるしかないですか? 本当にそれだけ必要なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 22時20分
あるテレビ番組の「老後は2000万円どころか4000万円不足する可能性がある」といった趣旨の発言が話題となり、2024年5月から6月頃にかけインターネットやSNSなどでは賛否両論が巻き起こりました。本記事では、老後資金として本当に4000万円以上貯める必要があるのか解説します。
老後4000万円問題とは何か
インターネットやSNSなどでは批判的な意見も多く出た「老後4000万円問題」ですが、これは2019年に話題となった「老後2000万円」問題に端を発しています。
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書において、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの高齢無職世帯」の場合は毎月の赤字額が約5万円となる旨が記載されています。赤字額が毎月5万円となる場合は、金融資産から「20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」と発表されました。
これは大きな反響を呼び、国政でも取り上げられて批判の声も少なくありませんが、そのなかで出てきたのが「4000万円問題」です。
物価高や円安、社会保険料の負担増などで生活が苦しくなるなかで、番組のゲストから「仮に毎年3.5%の値上げが20年続くとすると、物価はほぼ2倍になるため2000万円なら4000万円準備しなければ厳しい」旨の発言があり話題となりました。
実質賃金と老後の生活費
実際に、実質賃金は下がり続けており、厚生労働省が発表している毎月勤労統計調査の2024年4月確報分によると、25ヶ月連続でマイナスとなっています。現金給与総額は伸びている一方で「焼け石に水」状態が続いているといえるでしょう。
「数千万円単位で不足する」などといわれると大きな不安に駆られるかもしれませんが、金額に一喜一憂する前に「そもそも老後はどのくらい生活費が発生するのか」を把握しておきましょう。
総務省統計局が公表している2023年度の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の消費支出と非消費支出を合わせた金額は15万7673円です。「自分はぜいたくしないからお金がなくても問題ない」と考える人もいるかもしれませんが、特にぜいたくしなくても最低でも毎月15万円以上の支出が発生することが分かります。
貯金が少なくても諦めてはいけない
「自分は収入も貯金も少ないから諦めるしかない」などと考えるのは早計です。大富豪の暮らしを目指す場合は別にして、よほどのことがない限り老後生活が始まっても急に「数千万円単位のお金」が必要となるわけではありません。
総務省のデータにもあるように、毎月15万円の支出が発生する場合は、まずは同規模以上の収入を確保しましょう。
年金だけでは老後の生活を賄えないといわれることも少なくありませんが、それでも貴重な収入源であることに変わりはありません。国民年金保険料を満額納付すると原則65歳から月額6万8000円の老齢基礎年金がもらえます。会社員は厚生年金に加入するケースも多く、加入期間や加入中に納付する保険料の金額によって老齢厚生年金の金額も変化します。
細かい金額はそれぞれの状況によって異なりますが、仮に年金を月額10万円もらえるとすると、最低不足額は5万円です。この不足額をカバーするために、できる限り長く働いて給料をもらい、貯金額の減少スピードを抑えることも大切です。
55歳会社員で貯金500万円ある場合は、まずは今後10年間できる限り毎月の収入でやり繰りしましょう。現時点で貯金を取り崩す赤字体質となっている場合は、老後資金の前に家計の見直しが必要です。
まとめ
本記事では、話題になった「老後4000万円問題」にも触れながら、老後生活のために、どの程度の資金が必要なのか解説しました。
老後もできる限り長く働いて収入を確保するなら、数千万円単位の資金を定年前に準備しなくても生活できる可能性は十分あります。もちろん資産が多いことに越したことはないかもしれませんが、一喜一憂するのではなく自身のライフスタイルとも照らし合わせながら、現実的な金額をシミュレーションすることをおすすめします。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果確報
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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