65歳年金暮らしの母がアパートからの立ち退きを打診され、別の賃貸を探しても入居拒否されてしまいます。息子の私にできることはありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月10日 11時20分
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Aさんは40歳の会社員、妻と子がいます。夫に先立たれた65歳年金暮らしの母が、アパートの建て替えに伴い立ち退きを打診されていて、別の賃貸を探しても入居拒否されてしまうとのこと。 Aさんは母のためにできる限りのことをしたと思うのですが、家族は同居を希望しておらず、どうすればいいかわからないそうです。何か手助けできる方法はあるのか、FPがアドバイスします。
ひとり暮らしの高齢者の割合
日本は、超々高齢社会になり、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は、2023年9月15日現在の推計で3623万人となりました。総人口に占める割合は、29.1%で過去最高となりました※1。 高齢者のいる世帯は、2021年現在2580万9000世帯で、全世帯(5191万4000世帯)の49.7%です。
高齢者の男女ともにひとり暮らしの割合が増加傾向で、1980年には男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020年では男性15.0%、女性22.1%となっています※2。ひとり暮らしの高齢者の増加の原因としては、生涯未婚率や離婚率の上昇、少子化や核家族化、高齢化など考えられます。
高齢者が賃貸を断られる理由
2023年10月の日管協短観※3によると、貸主の高齢者入居受け入れに対する拒否感は下記のグラフのようになっています。
全国では、「拒否感なし(以前と変わらず拒否感はない+以前は拒否感があったが現在はない)」は74.3%で、「拒否感が強い(以前と変わらず拒否感が強い+以前より拒否感が強くなっている)」は8.2%となりました。
エリアでみると、首都圏では「拒否感なし」の比率が特に高く85.4%となっていますが、関西圏では「拒否感なし」と「拒否感強い」がそれぞれ9.9%と11.4%とほぼ同等となっており、地域差が見られます※3。
高齢者が賃貸を断られる原因としては、次のことが考えられます。
<家賃>
高齢者は、収入が年金だけの場合が多く、貸主としては毎月家賃をきちんと払ってもらえるのか不安に感じます。
<健康>
高齢になると心身ともに衰えてきます。物忘れも増えてきますので、水回りや火元の管理がきちんとできるか、耳が遠くなるのでテレビの音量が大きくなり隣近所の人に迷惑をかけないか気になるところです。また認知症なり、近所を徘徊したり、ゴミ屋敷になったりするリスクも起こり得ます。
<孤独死>
高齢になると亡くなるリスクが高まります。身内がはっきりしない場合は、遺品処理に手間がかかります。また遺体の発見まで時間がかかった場合は、特殊清掃をしなければならなくなります。事故物件としてSNSで広まると資産価値が下がり、新たな入居者を見つけるのに苦労する場合もあります。
高齢の親の賃貸で子どもができること
高齢者が賃貸住宅の入居を断られないようにするためには、貸主が高齢者にアパートを貸すことに不安を感じさせないようにすることが大事です。
たとえば、子どもが家族と住んでいる場所に近いところに親に住んでもらい、定期的に様子を見にいくとか、何かあった時はすぐに駆け付けられる状況を作っておくと貸主は安心します。また、毎月一定の収入がある子どもが連帯保証人になれば、貸主は家賃が振り込まれない不安を軽減できます。
まとめ
Aさんの母親のように年金暮らしの高齢者は、貸主が健康面、経済面から不安を感じて入居を断ることがありますが、緊急連絡先である子どもが近くに住んでいて連帯保証人になれば、アパートが借りやすくなる可能性が高くなります。
また。一般財団法人高齢者住宅財団が行っている高齢者世帯や、障害者世帯などを対象にした家賃債務保証制度※4を利用したり、サービス付き高齢住宅(サ高住)※5などの高齢者向け賃貸住宅を探したりする方法もあります。ぜひ確認してみましょう。
出典
(※1)総務省統計局 令和5年9月17日 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- Ⅰ 高齢者の人口
(※2)内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) 3 家族と世帯
(※3)公益財団法人日本住宅管理協会 日管協総合研究所 第27回 賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』 2022年4月~2023年3月
(※4)一般財団法人高齢者住宅財団 家賃債務保証
(※5)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム サービス付き高齢者向け住宅について
執筆者:篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士
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