「老後2000万円問題」の根拠とは?生活防衛資金を含め老後”本当に”必要な資金はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月11日 23時10分
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老後に備えて貯金をすることは大切です。しかし実際に必要な貯金額は各家庭によって異なるため、目安を知りたい人もいるでしょう。まず貯金を始める際に確保したいものは「生活防衛資金」です。「老後資金」については「老後2000万円問題」という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかし実際は、それ以上の金額が必要という声もあります。 そこで今回は、生活防衛資金を含めて老後に必要な資金はいくらなのか調べてみました。各家庭によって実際に必要な金額は異なりますが、目安として参考にしてみてください。
生活防衛資金とは?
生活防衛資金とは、失業や病気、けが、災害など、不測の事態に備えて取り分けておくお金のことです。雇用保険から失業保険が出たり、健康保険から傷病手当が出たりしますが、申請後すぐに受け取れるわけではないため、緊急時に使えるお金を用意しておくと安心です。
生活防衛資金の目安は、一般的に給料の3~6ヶ月分だといわれています。例えば月給20万円の場合は、60万円~120万円を用意しておきましょう。生活費や老後資金の預金口座とは分けて管理し、緊急時にすぐに引き出せるようにしておくと安心です。
年齢によっては、これから「結婚」「出産」「マイホーム購入」などのライフイベントが発生する可能性があります。これらの資金も、生活防衛資金や生活費などとは分けて管理し、目的に合わせて確実に貯金ができるようにしましょう。
「老後2000万円問題」の根拠とは?
「老後2000万円問題」という言葉を聞いたことのある方もいるでしょう。これは2019年に金融審議会市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」をきっかけに話題になったといわれています。同報告書によると、老後2000万円が必要である根拠は以下の通りです。
「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」
これは持ち家の家庭を前提としていて、賃貸住宅の場合の家賃は含まれていません。また、支出については住宅リフォーム費用なども含まれていないため、実際にはさらに多くの資金が必要になると考えられます。
老後に必要な資金をシミュレーション
老後に必要な資金は、各家庭の収支を基に計算するため、実際の金額はそれぞれ異なります。目安としては、老後に必要になると考えられる生活費と、年金の平均金額から計算できます。
公益財団法人生活保険文化センターの「生活保障に関する調査(2022年度)」によると、夫婦2人の老後の最低生活費は月額23万2000円、ゆとりのある生活を送りたい場合は月額37万9000円必要であるとのことです。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老後に受け取れる年金の金額については以下の通りです。
・厚生年金保険:14万4982円
・国民年金(25年以上):5万6428円
例えば夫婦2人で夫が厚生年金、妻が国民年金を受給する場合、毎月の年金収入は20万1410円です。これを基に毎月の収支を計算すると、最低生活費は3万590円、ゆとりのある生活を送りたい場合は17万7590円が不足することが分かります。この状況が続いたと仮定すると、30年で1101万2400円~6393万2400円の老後資金が必要になると予想できます。
実際に必要な老後資金は、各家庭の生活費や年金収入によって異なるので、個々でシミュレーションをしてみるといいでしょう。
生活防衛資金は給料の3ヶ月~6ヶ月分が一般的! 老後資金2000万円では不足する可能性もあり
生活防衛資金は給料の3ヶ月~6ヶ月分が一般的なので、給料が20万円の場合は60万円~120万円を貯金額の目標にできます。年代によっては、これから「結婚」「出産」「マイホーム購入」などのライフイベントも考えられるため、まとまったお金が必要になる場合を考えて、別個に貯金をしておくと安心です。
老後資金については「2000万円が必要」といわれていますが、実際は各家庭の収支によって異なるため一概にはいえません。夫婦2人で年金収入が月20万1410円だと仮定した場合、生活レベルによって30年で1101万2400円~6393万2400円ほどの老後資金が必要になると考えられます。
生活防衛資金と老後資金の貯金を行う際は、自身の家庭の収支を計算して、実際に必要な金額をシミュレーションしておくといいでしょう。
出典
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(16ページ)
公益財団法人生活保険文化センター2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(8、19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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