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子どもは、放課後はいつも自転車でどこかへ遊びに行っています。自転車保険に加入した記憶がないのですが、未成年なので罰則はないですよね?

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月12日 12時30分

子どもは、放課後はいつも自転車でどこかへ遊びに行っています。自転車保険に加入した記憶がないのですが、未成年なので罰則はないですよね?

「自転車も保険に入らないといけない」ということを、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。自転車事故による高額な損害賠償事例を背景に、条例による自転車保険(自転車損害賠償責任保険など)への加入の義務化が進んでいます。   「子どもは自転車保険に加入していたかな?」と、記憶が曖昧な方もいらっしゃるかもしれません。   本記事では、自転車保険への加入を義務化している条例や、自転車保険の内容について解説します。本記事を読んでいただければ、自転車保険についてどのように対応すべきかをご理解いただけると思います。

未成年の保護者が自転車保険に加入する必要がある

自転車保険への加入義務については、法律で規定されているのではなく、都道府県などが条例で定めることになっています。国土交通省のホームページ「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」によると、令和5年4月1日時点での地方公共団体の条例の制定状況は、図表1のとおりです。
 
図表1

図表1

出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」
 
条例によって定めるため、自転車保険への加入が「義務」なのか「努力義務」なのかは、お住まいの地方公共団体によって異なります。とはいえ、条例を制定するに当たり、国土交通省は「標準条例(自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例)」を作成しており、各地方公共団体はこの標準条例を参考にしているものと思われます。
 
標準条例では、自転車保険に加入しなければならない(加入するよう努めなければならない)方を以下のように規定しています(標準条例第3条)。
 

・自転車を利用する者(未成年者を除く。)
・未成年者を監護する保護者
・事業者
・自転車の貸付けを業とする者

 
したがって、未成年者は加入義務(努力義務)の対象ではありませんが、その保護者は対象となります。
 

自転車保険に加入しなくても罰則はない

実は、「標準条例」には罰則規定がありません。仮に、未成年者の保護者が自転車保険に加入していなくても、罰則はありません。
 
しかし、私たちが認識しなければいけないことは、自転車保険への加入義務化の背景には、自転車事故による高額な損害賠償事例があるということです。警視庁のホームページ「自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等への加入義務化」には、自転車事故による高額賠償事例として、以下の2つの判決(損害賠償命令)が掲載されています。
 

・神戸地裁(平成25年7月4日判決):賠償額9521万円
・東京地裁(平成20年6月5日判決):賠償額9266万円

 
この判決は、どちらも未成年者が加害者となった自転車事故です。万が一、このような事故を起こしてしまった場合の金銭的な備えとして、保険に加入しておくのがよいといえます。
 

個人賠償責任保険なら家族が起こした事故もカバーできる

自転車事故による損害賠償責任に備える保険には、「個人賠償責任保険」と「傷害保険」の2種類があります。個人賠償責任保険は、相手方にけがを負わせたときや相手方の物を壊したときに備えるための保険です。
 
一方、傷害保険は、自分がけがを負ったときに備えるための保険です。保険会社により保険商品の名称は異なるでしょうが、本質的にはこの2種類となります。
 
特に重要なのが、個人賠償責任保険です。個人賠償責任保険は「自転車保険」特有のものではなく、自動車保険、火災保険などの特約として契約することも可能ですので、ご自身が現在加入している損害保険に個人賠償責任保険(特約)が付けられないか、確認してみるとよいでしょう。
 
また、個人賠償責任保険は、保険契約者が起こした事故だけでなく、家族が起こした事故についてもカバーしてくれます。例えば、親が個人賠償責任保険に加入していれば、子どもが起こした事故(自転車事故)についても補償の対象となります。
 
標準条例で、自転車保険に加入しなければならない方を「未成年者」ではなく「未成年者を監護する保護者」としているのは、このためでしょう。
 

まとめ

条例によって自転車保険への加入を義務化している場合、以下の方は自転車保険に加入しなければなりません。
 

・自転車を利用する者(未成年者を除く。)
・未成年者を監護する保護者
・事業者
・自転車の貸付けを業とする者

 
未成年者は保険に加入する必要はありませんが、保護者は加入する必要があります。ただし、加入をしなかったとしても罰則はありません。とはいえ、自転車保険には加入しておいたほうがよいでしょう。
 
本記事でも紹介しましたが、自転車事故であっても高額な損害賠償請求をされる可能性はあります。事故を起こさないに越したことはありませんが、万が一、事故を起こしてしまって高額な損害賠償請求をされてしまった場合は、保険で対応するしかありません。
 
自転車保険の内容は、「個人賠償責任保険」と「傷害保険」です。このうち、相手方への補償は個人賠償責任保険でカバーします。個人賠償責任保険は、家族のうち1人でも加入していれば家族全員をサポートしてくれます。また、個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険などの損害保険の特約として付けることも可能です。
 
本記事では、自転車保険への加入義務化と自転車保険について解説をしてきました。自転車保険だけでなく、他の保険についても、もっと詳しく知りたいという方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、一度、ファイナンシャルプランナーなどに相談してみるのもよいでしょう。
 

出典

国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例条文解説
警視庁 自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等への加入義務化
一般社団法人日本損害保険協会 「自転車事故と保険」
一般社団法人日本損害保険協会 「個人賠償責任保険」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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