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夫婦共働きだったので、年金を「月32万円」受け取っています。もし夫が先に亡くなっても、妻の私は遺族年金とあわせて「20万円」くらいは受給できますよね?

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月12日 2時30分

夫婦共働きだったので、年金を「月32万円」受け取っています。もし夫が先に亡くなっても、妻の私は遺族年金とあわせて「20万円」くらいは受給できますよね?

一家の大黒柱が亡くなったときに頼りになる「遺族年金」。仮に夫が亡くなったときに、妻は必ず受給できると考えている人は多いかもしれません。しかし、夫婦共働き世帯の場合は事情が異なります。場合によっては、想定していた金額を受け取れない場合もあります。   本記事では、遺族年金の仕組みについて解説し、夫婦共働きの場合の遺族年金の受給額について解説します。

遺族年金の仕組みを解説

遺族年金とは、配偶者など生計を維持していた人が亡くなった場合に遺族が受給できる年金です。遺族年金は、次の2つからなります。
 

・遺族基礎年金
・遺族厚生年金

 
それぞれ受給の条件が異なります。ここでは分かりやすさを重視して、夫婦のうち夫が亡くなった場合について解説します。
 

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者である人が老齢年金を受給する前に亡くなった場合に、残された配偶者や子どもが受給できるものです。そのため、今回のように、すでに夫婦とも老齢年金を受給している世帯では受給対象外となります。なお、受給条件として次の両方を満たす必要があります。
 

・亡くなった人に生計を維持されていた
・18歳になった年度の3月31日までにあたる子どもがいる(一般的に高校3年生の年度末)、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある

 
基本的に、今回は2つの条件を満たす妻が受給者となりますが、万一妻がすでに亡くなっている場合は子ども自身が受給します。なお、「生計を維持されていた」とは、亡くなった人が生活費などを負担しており、亡くなる前の年の妻の年収が850万円未満か所得が655万5000円未満である状態をさします。
 
そもそも共働きで、夫が亡くなった前年の収入が850万円を超えるなどの場合は、生計を維持されていたと見なされず、遺族基礎年金の受給権がありません。
 
受給額は子の人数によって変わり、次の計算式を使用します。
 

・81万6000円+子の加算額
・子の加算額:1人目・2人目は各23万4800円
       3人目以降は各7万8300円

 
例えば、3人の子どもがいる世帯で夫が亡くなった場合は、妻は年間で136万3900円を受給できます。妻も亡くなっており、子ども自身が受給する場合の計算式は次のとおりです。
 

・81万6000円+2人目以降の子の加算額
・子の加算額:1人目・2人目は各23万4800円
       3人目以降は各7万8300円

 
この合計金額を、子どもの数で割った金額を子どもがそれぞれ受給することになります。
 

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者で、亡くなった人に生計を維持されていた遺族が受給できます。遺族基礎年金とは異なり、受給要件に子どもの数や子どもの年齢は関係ありません。
 
ただし、遺族基礎年金と同様に、妻の年収が850万円か所得655万5000円を超えていたときは夫から生計を維持されていたと見なされず、遺族厚生年金が受給できません。
 
遺族厚生年金の受給額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
 
例えば、老齢年金額が老齢基礎年金約7万円、老齢厚生年金10万円(特別支給の老齢厚生年金などは考慮せず、全額を報酬比例部分とする)で合計17万円受給していた夫が亡くなった場合、老齢厚生年金10万円の4分の3にあたる7万5000円が遺族厚生年金の受給額です。
 

夫婦共働きのときは遺族年金の受給額が支給されないことも

遺族厚生年金は、報酬比例部分の4分の3を遺族が必ず受給できると思われがちです。先の例でいえば、仮に妻も老齢年金を月15万円受給していた場合、亡くなった夫の遺族年金7万5000円を合わせて22万5000円程度受給できると考えている人も多いかもしれません。
 
しかし、夫婦共働きのときには注意が必要です。妻自身がすでに老齢厚生年金を受給している場合は、図表1のように自身の老齢年金は全額支給され、自身の老齢厚生年金を上回る分の遺族厚生年金額のみ支給となります。
 
図表1

図表1

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 65歳以上の遺族厚生年金受給権者が、自身の老齢厚生年金の受給権を有する場合
 
夫婦共働きのケースについて具体的に見ていきましょう。夫婦それぞれの年金受給額は次のように仮定します。
 

・亡くなった夫の年金額→老齢年金 月約7万円、老齢厚生年金 月約10万円
・妻の年金額→老齢年金 月約7万円、老齢厚生年金 月約8万円

 
このケースでは、妻の老齢年金は引き続き全額支給されます。一方、遺族年金にあたる金額は、亡くなった夫の厚生年金約10万円の4分の3の額は7万5000円と計算できます。しかし、7万5000円は妻の老齢厚生年金の約8万円を下回るため、このケースでは妻は遺族年金を受給できないのです。
 
つまり夫が亡くなった後、妻が受給できる年金額は自身の老齢年金である15万円のみということになります。
 

まとめ

遺族年金といえば自分の老齢年金に上乗せして、厚生年金の4分の3が受給できると考えている人が多いかもしれません。そのため、夫が亡くなった後も、妻が自身の老齢年金と遺族年金を合わせて生活していけると思われがちです。
 
会社員の夫と専業主婦の世帯で夫が亡くなると、妻の老齢基礎年金に加えて遺族厚生年金を受給できます。しかし、共働きの夫婦が増えた昨今では、妻の老齢厚生年金の受給額によっては遺族年金が支給されないことも考えられます。夫婦の年金額を、いま一度確認し直してはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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