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若手社員は始業前に同じ課のメンバーのデスクを拭き掃除しなければならない…。 これは残業になる?ならない?

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月17日 0時0分

若手社員は始業前に同じ課のメンバーのデスクを拭き掃除しなければならない…。 これは残業になる?ならない?

若手社員であれば、会社から説明されることに疑問をもつということはあまりないかもしれません。ただ、中小企業では昔の法律のままアップデートされず、労働基準法の改正に会社のルールが追いついていないということがよくあります。   今どき、「わが社は残業代が出ないから」とわざわざ念押しをするようなブラック企業はなかなかありませんが、会社独自のローカルルールで「なぜこんなことが続いている?」という悪い慣習が残っていることがあります。今回は、労働時間とは何か、残業時間とはどんなときかを正しく理解しましょう。

労働時間にするには会社のルールを確認しよう

時給で働いているパートやアルバイトと異なり、正社員の労働条件は「月給○○万円。手当○○万円。朝の始業時間は何時で夕方は何時までが労働時間」と安定した条件で働いています。
 
この労働時間とは、「使用者(会社)から明示、もしくは黙示的な指示により業務を行う時間」のことをいいます。つまり、労働時間は、自分の勝手に決められるわけではなく、「使用者の指示」が必要です。
 
たとえ仕事が終わらず、残業したほうがいいと社員が判断しても、使用者側が社員側からの残業申請を了承せず、「残業は必要ない」と言ってしまえば、労働時間とみなされません。
 
社員からすると、たまった仕事を片付けるのに、「もう少し時間がほしい」「きりがいいところまでやってしまいたい」「電話やメールが来ない静かな時間に片付けてしまいたい」など、残業するための相応の理由があるケースもあるかもしれません。
 
ただ、使用者側も際限なく残業申請を認めてしまうと、企業全体で負担する残業代が膨れ上がることから認められないという事情があるのです。会社の就業規則にも、残業は「会社に申請する」など、残業するための手続きが定められているはずですので確認してみてください。
 

これって会社からの指示? それとも自分の好意?

表題のように、「始業前に同じ課のメンバーのデスクを拭き、掃除しなければならない」というケースだけでなく、働いている時間が労働時間かどうか迷うという場面は多いでしょう。
 
例えば、「始業時間に労働をすぐ始められるように、始業前の着用が義務付けられている制服に着替える時間」や「業務終了後の後始末としての掃除時間」「名目は休憩時間で、お客さまの訪問や電話があったときには即時対応にあたれるように待機している時間」などがあげられます。
 
これらの時間が労働時間に該当するかどうかは、労働契約や就業規則などの定めによって決められるだけでなく、原則として「使用者の指示があったかどうか」がポイントです。
 
つまり、使用者側から「始業前に早く来て、デスクの掃除をすること」という明確な指示があるのであれば、時間外労働=残業時間といえるでしょう。ただ、この「指示かどうか」を判断するのは難しいことが多々あります。
 
会社と結んだ雇用契約には、「会社が定める始業時間より早く来ること」「始業前にはデスク周りの掃除をすること」などの明らかな記載があるわけではないでしょうし、会社のメールなどで指示を出した記録が残っていることもないでしょう。
 
今回のようなデスク周りを掃除する指示を出した方がどのような立場か分かりませんが、単に、これまでの会社の慣習を口に出しているだけということもあり得ます。それなら、単に「好意として」同僚のデスク周りの掃除をしているという捉え方もできますので、その場合は残業とみなされないケースもあるでしょう。
 

労働時間の記録の仕方とは

法律上、使用者には労働時間を適正に把握する責任があります。毎日、会社が社員の勤務を直接記録するのは難しいことから、記録する方法としては、(1)使用者が自ら適正に記録すること、(2)タイムカード、ICカード、パソコン使用時間の記録などの客観的な記録により行われることが多いでしょう。
 
客観的な記録がないと、いくら社員が「残業時間だ」と申し出ても認めてもらうことは困難です。
 
さらに、出社してすぐにタイムカードに記録せず、掃除が終わってから記録したり、出社後すぐにタイムカードに記録をしたりしても、その後雑談を始めてなかなか仕事が始められないなど、人によって記録するタイミングが異なると、タイムカードとは異なる記録方法をとっている会社もあるでしょう。
 
パソコンのログイン・ログアウト時間から労働時間を計算する会社もあるかもしれません。そのようなケースでも、始業前のデスク周りの掃除を社員や会社が記録していなければ、そもそも残業と主張するのは難しいかもしれません。
 
さらに、残業だと申し出て、時間外手当を支払ってほしいと言ってしまうと、これまでの慣習を見直さざるを得なくなり、会社運営に混乱がもたらされることもあります。
 
まずは、いきなり「残業代を支払え」ではなく、掃除は始業前ではなく、就業時間中に順番にするような提案をしたり、残業とみなされる時間の定義を会社側と協議したりするなど、若手社員だからこそ会社を変革するという意気込みで、できることから始めてみるのはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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