年金12万円にプラスして不動産収入が「40万円」ほど入ります。年金は「減額」になるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月18日 9時40分
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年金を受け取りながら働いて給与を受け取っていると、在職老齢年金制度のルールにより受け取れる老齢厚生年金の一部または全額が支給されないケースがあります。在職老齢年金制度の対象になるかどうかは、収入源によって異なるため確認が必要です。 また、収入が増えると確定申告が必要になる可能性もあるでしょう。今回は、在職老齢年金制度の概要や不動産収入は在職老齢年金制度のルールが適用されるのかなどについてご紹介します。
在職老齢年金制度とは
基本的に65歳以上になると受け取れる年金のひとつに老齢厚生年金があります。65歳以上になって、働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に適用される制度が「在職老齢年金制度」です。
在職老齢年金制度の対象になると、1ヶ月に受け取る給与と老齢厚生年金の合計額が50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えていると、老齢厚生年金の一部または全額が支給されません。
日本年金機構によると、50万円を超えた場合に支給されなくなる金額は「(1ヶ月あたりの老齢厚生年金額+給与-50万円)×2分の1」で求められます。例えば、老齢厚生年金を月に12万円、給与が月額50万円の方だと、「(12万円+50万円-50万円)×2分の1」となり支給停止される金額は6万円です。
不動産収入は在職老齢年金制度の適用外
日本年金機構によれば、在職老齢年金を受け取る方は「厚生年金保険に加入しながら働く場合や、厚生年金保険の加入事業所で70歳以降も働く場合」とされています。つまり、会社勤めの方で会社から給与を一定額以上受け取っている場合が在職老齢年金の対象です。
不動産収入は会社から受け取る給与ではありません。そのため、老齢厚生年金を受け取りながら不動産収入が40万円あったとしても、年金額は変わらず受給できるでしょう。ただし、不動産収入とは別に会社勤めで得ている収入があれば、会社勤めで得た金額に応じて在職老齢年金が適用される場合があります。
なお、不動産収入以外にも個人事業主の方が稼いだ収入や投資で得た利益なども、会社から支給される給与ではないため在職老齢年金の条件には該当しません。
所得税額は変わる
所得税は、個人が1年間に得た所得に応じて変動する税金です。在職老齢年金に該当しなかったとしても、不動産収入も所得にあたるため、金額によって所得税は変動します。
仮に65歳以上の方で老齢年金が基礎年金と厚生年金を合計して月に12万円、年間で144万円を受け取っていてほかに収入がなかったとしましょう。国税庁によれば、条件を基にすると雑所得は34万円、所得税率が5%で所得税額は1万7000円です。
一方、先述の年金額に加えて不動産収入が月に40万円、年間480万円あったとします。ただし、不動産所得は「総収入金額-必要経費」で計算しますが、今回は必要経費を考慮しません。そのため、不動産所得は不動産収入と同じ年間480万円とします。
年金の雑所得34万円に不動産所得480万円が加わり、全体の所得は514万円です。国税庁「所得税の速算表」によれば、所得税率は20%、控除額は42万7500円となるため、不動産収入があった場合の所得税は60万500円かかります。
ただし、これらは基礎控除といった控除を考慮せずに計算した場合の金額です。実際には基礎控除のほか社会保険料控除や医療費控除などの控除も適用される場合があるため、税金額が少なくなる可能性があります。なお、住民税も所得税と同様に所得に応じて増加します。
不動産収入があっても年金額は変わらない
老齢厚生年金を受け取りながら会社で給与を受け取り働くと、在職老齢年金の対象になる場合があります。受け取っている給与によっては、老齢厚生年金が一部か全額支給停止される可能性があるため、年金を受け取りながら勤務する際は注意が必要です。
もし年金の受給開始後に年金以外で得ている収入が不動産収入だった場合は、在職老齢年金は適用されません。給与収入が対象となるためです。同様の理由で、個人事業主の収入や投資による収入だった場合も金額にかかわらず年金を全額受け取れます。
ただし、年金額は変わらなくても収入が増えればその分所得税額も増額します。人によっては確定申告も必要なため、忘れないようにしましょう。
出典
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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