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年金収入が「月10万円」ですが、働くと「住民税非課税世帯」ではなくなりますか? 月いくらまでなら“損”にならないでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月19日 2時10分

年金収入が「月10万円」ですが、働くと「住民税非課税世帯」ではなくなりますか? 月いくらまでなら“損”にならないでしょうか?

年金収入が一定額を下回っている世帯は住民税非課税世帯に該当し、税金や医療費などが優遇されます。しかし収入が少ないと生活が困窮するため、非課税の優遇は受けつつもパートやアルバイトなどで収入を得たい人も多いはずです。   では、住民税非課税を維持しつつ、パート・アルバイト収入を得るには、一体いくらまで労働収入を抑える必要があるのでしょうか。   本記事では、住民税非課税世帯のメリットと住民税が発生する条件についてみていきます。年金を得ながらパートなどで働くことを検討している人の参考になるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

住民税非課税世帯のメリット

住民税非課税世帯になることで、主に次のようなメリットが得られます。


・年金生活者支援給付金の支給
・介護保険料が減額される
・高額療養費制度の限度額が低くなる

 

年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、年金などの収入が一定額以下の年金受給者を支援する目的で設けられた制度です。本制度に該当する人は、月額5310円(2024年度)を基準に、保険料納付済み期間などに応じた金額が支給されます。対象となる人は次のとおりです。


・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・「前年の公的年金等の収入金額」と「その他の所得(給与所得など)」との合計額が、77万8900円以下
・同一世帯の全員が市町村民税非課税

 

介護保険料が減額される

住民税非課税世帯の場合、65歳以上(第1号被保険者)が支払う介護保険料が減額されます。金額は各自治体によって異なり、中野区の場合は第5段階よりも最大3割程度の保険料に減額されます(図表1)。
 
図表1


中野区 介護保険料の決め方と納め方
 

高額療養費制度の限度額が低くなる

高額療養費制度とは、病院や薬局の窓口で支払った費用が、1ヶ月(月の初めから終わりまで)で自己負担の上限額を超えた場合に、超えた部分の金額が戻ってくる制度です。自己負担の上限額は図表2のようになります。
 
図表2


全国健康保険協会 協会けんぽ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
 
このように、住民税非課税に該当することで、自己負担額を最大3万5400円まで減額できます。
 

給与収入が一定額を超えると住民税が発生する

住民税非課税世帯に該当することで、経済的な面で優遇措置を受けられることがわかりました。そのため、パートなどで収入を得つつも住民税非課税世帯を維持しておきたい人も多いはずです。
 
住民税非課税世帯を維持する際の1つのボーダーラインとして給与収入100万円前後が挙げられます。次項で詳しくみていきましょう。
 

年金収入120万円の場合の上限額は

住民税が非課税となる収入は各自治体によって異なります。ここでは中野区を参考に解説します。中野区では、前年の合計所得が次の計算式で求められた金額以下の人が対象です。


・35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の人数)+10万円+21万円
・同一生計配偶者・扶養親族がいない場合の住民税がかからない限度額は45万円

例えば、単身世帯の人の場合は年間の所得が45万円以下であれば、住民税はかかりません。
 
仮に、単身者で年金収入が120万円(月10万円)のケースで考えてみましょう。この場合の年金所得(雑所得)は120万円-110万円(公的年金控除)の10万円です。年間所得45万円のうち、年金所得10万円が計上されるため、給与所得の残りは35万円となります。
 
続いて給与所得の計算です。給与所得の場合は給与所得控除として55万円を差し引けます。この控除の適用後、残りの非課税枠35万円以内に収めるためには給与所得90万円がボーダーラインになります。


給与所得:90万円-55万円(給与所得控除)=35万円
合計所得金額:10万円+35万円=45万円

 
よって、合計所得金額は45万円となるため、住民税は非課税となります。このように、今回のケースでは、給与収入90万円がボーダーラインとなることがわかります。なお、年金収入の金額や所得控除などが加わることでボーダーラインは変化する点に注意が必要です。
 

詳しい金額を求める際は専門家に相談を!

住民税非課税世帯になることで介護保険料の減額や、高額療養費制度の限度額を抑えられる可能性があります。そして、前年の所得合計が45万円以下であれば住民税非課税世帯に該当するため、その範囲内であれば働いて収入を得ても課税対象にはなりません。
 
住民税非課税世帯を維持しながら働いて収入を得る際に、給与収入100万円前後が1つのボーダーラインといえそうです。ただし、各自治体で条件は異なることや、所得控除などを加えることでボーダーラインは変化するため、詳しく知りたい人は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
中野区 介護保険料の決め方と納め方
全国健康保険協会 協会けんぽ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
中野区 住民税がかからない場合
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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