夫の扶養に入っており「年間で130万円までしか稼いじゃダメ」といわれています。控除の節税効果ってそんなに高いのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月21日 9時0分
配偶者の扶養に入りながら働くとなると、年間で稼げる金額に制限があり」「130万円の壁」にぶつかるため、時間を制限する必要があるでしょう。 実際にパート先で「130万円以内に抑えてください」とシフトを出す際に伝えている人もいるでしょう。今回は130万円の壁といわれる理由や130万円を超えて働くメリットを紹介します。
130万円の壁とは?
一般的にいわれる「年間130万円」「130万円の壁」とは、扶養する側の所得控除や社会保険の観点での金額を指しています。妻が年間で稼ぐ金額が130万円を超えると段階的に扶養控除が受けられなくなり、「節税効果がない」といわれてしまうのです。
超えたら自分で社会保険に加入することになる
妻の稼ぎが年間で130万円を超えた場合、夫の扶養から外れて自身が社会保険に加入する必要もあります。社会保険に加入すると自分で健康保険料や厚生年金保険料を支払うことになるため、その金額も加味する必要があるでしょう。
健康保険と厚生年金保険料の支払額
自分で社会保険料を支払うと、扶養時とは異なる計算方式になります。
例えば、健康保険の場合は報酬月額によって支払う金額が異なりますが、全国健康保険協会 協会けんぽ「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」をみると、月額の標準報酬が10万4000円の方は、毎月5189.6円の支払いが求められることが分かります(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)。
一方、厚生年金においても会社との折半ではあるものの、月額標準報酬が10万4000円の場合は9516円の支払いが求められます。そのため、月に1万5000円程度の支払いが発生します。
130万円を超えるならメリットに注目
130万円の壁を考えると「できるだけ稼がないほうがいいのでは」と考えてしまうこともあるでしょう。しかし、収入を少しでも増やしたい、将来かかるお金を見据えてもう少し稼ぎたいという場合は130万円を超えるのも選択肢の一つです。130万円を超えて働く場合、メリットもいくつかあります。
キャリアアップにより収入が増やせる
まず勤務時間が増えたり、フルタイム勤務になったりすることでキャリアの構築が可能です。例えば現在パートで働いている場合、パートリーダーとして昇格したり、正社員としての登用を目指せたりするでしょう。
正社員としてキャリアを積み昇給を目指し、やがては年収アップを目指すことも可能です。仕事の責任が増えることから、やりがいを感じられる点もメリットといえるでしょう。
厚生年金への加入により将来の年金を増やせる
夫の扶養から抜けてフルタイム勤務になると、厚生年金に加入することになるため、将来の年金を増やせます。一般的に、夫の扶養内にいるうちは、年金は国民年金に該当します。そのため、将来もらえる年金額は厚生年金と比較して低くなっています。
日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」によると、令和6年度の4月からの時点では月額6万8000円であることが分かります。
しかし、自身で所属する会社の厚生年金に加入すると国民年金と比較して受け取れる金額が高くなります。老後への備えを充実させたいなら、扶養を抜けるのも一つの手です。
130万円の壁は国も対策を講じている
扶養内で働く人たちにとって130万円の壁は必ず遭遇する問題です。しかし、近年は国も対策を講じており、一時的に130万円を超えてしまった場合には会社が申請を行うことで一時的に認める制度も設けています。飲食店や宿泊施設など、繁忙期がある仕事に就いている場合はこちらの制度を勤め先で確認するのもいいでしょう。
雇用形態は自分や家族にあわせた選択が必要
フルタイム勤務にはデメリットだけでなく、メリットもありますが、まだ子どもが小さかったり、介護に携わっていたりする方など、生活によっては扶養内で働く方がいいこともあるでしょう。しかし、子どもの手が離れたり、一段落して時間にゆとりができたりするなら思い切ってフルタイム勤務に変更するのもおすすめです。
扶養の範囲だけにとらわれるのでなく、家族や自分にとってもっともいい選択を行いましょう。
働き方は節税と将来を見通そう
年間の収入が130万円の範囲で働くと、夫の扶養控除を受けられるため節税対策になります。しかし、その一方で将来に備えられないという点がデメリットです。
これから収入を増やしたい、また将来に向けて用意をしたいという場合は、働き方を再考してみてもいいかもしれません。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
全国健康保険協会 協会けんぽ 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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