アメリカの国債に興味があるのですが、日本の個人投資家でも買えますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月20日 23時0分
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アメリカ国債は、「トレジャリー」や「米国財務省証券」とも呼ばれるアメリカ(米国財務省)が発行する米国の債券です。日本の国債は、ゼロ金利が解除されたとは言え、依然として低金利が続いています。 そのため、国外に目を向ける個人投資家が増えているようです。高い利回りが魅力な米国国債ですが、購入時、保有時、償還時(売却時)のそれぞれのフェーズで注意すべき点があります。 今回は、米国国債の概要とともに、手数料など注意点についてお伝えしていきます。
米国国債は、米国が発行する国の債券
投資商品には、株式、債券、投資信託などさまざまな種類があります。企業への出資である株式に対し、債券は、国や企業に対する貸し付けです。満期までの年数と利率が定まっており、満期日には元本が償還(返済)されます。
市場で流通するため、満期を待たずに途中売却することも可能です。株式と比較すると、リスクは低いものの、利回りも低くなります。
なお、投資信託は、多くの投資家から集めた資金を専門家が株式や債券などに分散投資を行う商品です。個別の株式や債券よりもリスクは低減されますが、信託報酬等の費用を考慮する必要があります。
米国国債は、債券に分類され、日本人の個人投資家でも日本国内で購入することが可能です。取り扱いの可否、銘柄数に差はあるものの、大手証券会社やネット証券など多くの証券会社で取り扱いを行っています。
米国国債の種類
米国国債にはいくつかの種類があります。代表的なものを紹介しましょう。
■トレジャリービルTreasury Bills (T-Bills)
満期が1年以内の短期国債で、通常、割引方式で発行され、満期時に額面金額が支払われます。
■トレジャリーノートTreasury Notes (T-Notes)
満期が2年から10年の中期国債で、半年ごとに利子が支払われます。
■トレジャリーボンドTreasury Bonds (T-Bonds)
満期が10年以上の長期国債で、半年ごとに利子が支払われます。
このほか、TIPSと呼ばれる元本がインフレ率に応じて調整される「インフレ連動債(Treasury Inflation-Protected Securities)」などもあります。
また、タイプとしては、額面に満たない金額で発行され、期間中に利息は発生しないものの償還時に額面金額が支払われるもので「割引債」もしくは「ゼロクーポン債」と呼ばれるものと、保有期間中に利息が支払われる方式の「利付債」があります。
定期的にお小遣いのように受け取りたい場合には「利付債」、複利効果を享受したい場合には「割引債」といったように、償還(満期)までの期間の検討とともに、それぞれの意向や事情に応じて、商品を選択するのがよいでしょう。
米国国債を保有することに対する注意点
世界経済のリーダー的存在である米国の国債ですので、市場規模は全世界と非常に大きく、また流動性も高いことから、やはり人気があります。ただし、リスクはゼロではありません。米国国債そのもののリスクとともに、日本からの投資におけるリスクが存在します。例えば、以下が挙げられます。
■為替リスク
米国国債はドル建てのため「為替リスク」があります。購入時よりも円安になると利益が出る一方で、円高になると損失が発生する可能性があります。
例えば、1ドル=130円のときに130万円で買い付けた債券が、償還時に為替が1ドル=150円(円安)であれば150万円を受け取り20万円の利益が発生しますが、1ドル=100円(円高)であれば受け取りは100万円となり30万円の損失となります。
※分かりやすく説明することを目的とするため、利息や為替手数料については考慮していません。
■流動性リスク/金利変動リスク
全世界で最も流動性が高いと言われる米国国債ですが、政治的情勢や経済状況により必要なときに売却できない可能性はあります。
売却できたとしても、金利動向等のバランスから期待通りの価額での売却が難しい事態も想定しておく必要があります。今後米国の金利が下がることを見込まれれば、保有する高い金利の債券は市場で高く取引されるため売却益を得られる可能性は大いにあります。
逆に、市場よりも低い金利の債券を保有している場合には、売却ができない、売却できても買い付け時を下回り損失が生じる可能性があります。
■信用リスク
米国国債は安全性の高い投資とされていますが、リスクがないわけではありません。
債券が貸し付けであることから、基本的には、償還まで保有すれば、約束通り、元本(額面金額)を受け取ることができます。一方で、財政状況や政治状況により返済ができないことを「デフォルト」と言います。デフォルトが宣言されると債券価値は消滅します。
例えば、途上国など信用力の低い国の債券についてはデフォルトになる可能性も否定できず、ハイリスクハイリターン商品として注意が必要です。米国国債については、デフォルトになる可能性は低いものの、投資において「絶対」はないことを心得ておく必要はあります。
「手数料」はかかるの?
基本的に、債券の買い付けには取引手数料はかかりません。ただし、日本円からドルなど外貨に交換する場合には、為替手数料を加味した為替レートが適用されます。通常、日本円から外貨への交換時のレート(TTS)および外貨から日本円への交換時のレート(TTB)に「為替スプレッド」と呼ばれる差額が上乗せされます。
為替の動向とともに、各金融機関で設定は異なります。そのため、米国国債の買い付けを検討する場合には、各社を比較検討してみることをおすすめします。
まとめ
投資商品には、株式、債券、投資信託などさまざまな種類があり、それぞれに特徴やリスクも異なります。なお、米国国債の場合は、同じ投資商品であっても、買い付けのタイミングによって損益に差が生じます。また、債券という比較的安定した投資であっても、世界情勢や為替動向によって思ったほどの効果が得られないことも考えられます。
しかし、資産分散、通貨分散はとても有効であり、決して、米国国債への投資を否定するものではありません。あくまでも選択肢の一つとして、資産全体の配分やゴール設定に対して有効かどうかという観点で、米国国債への投資については考えてみてください。
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
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