医療保険とがん保険は両方とも加入すべき? 医療保険で十分な保障が得られないのはどんなときか
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月14日 8時15分
![医療保険とがん保険は両方とも加入すべき? 医療保険で十分な保障が得られないのはどんなときか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_31072_0-small.jpg)
医療保険は、病気やケガで入院したり手術を受けたりしたときに、保険会社から給付金を受け取れる保険です。もちろん、がんが原因の場合も対象となるので、医療保険とは別にがん保険にも加入する必要があるのだろうかと思う人もいるでしょう。 そこで、今回はがんにかかった場合、医療保険ではカバーしきれないケースについて解説します。
医療保険とがん保険、みんなはどうしている?
生命保険文化センターが公表した「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査 速報版」によると、民間の生命保険加入世帯(かんぽ生命を除く)における医療保険・医療特約の世帯加入率は88.5%です。また、がん保険・がん特約の世帯加入率は62.8%となっています。
つまり医療保険に加入し、さらにがん保険にも加入している人の割合は約7割(0.628÷0.885≒0.709)ということになります。この数字には共済加入者が含まれていませんが、およその傾向を知るうえでは参考になる数値と考えてよいのではないでしょうか。
医療保険では十分な保障がされない具体的なケース4例
医療保険から給付金を受け取ることができるのは、原則として入院したときのみです(例外は日帰り手術を受けたとき)。医療保険が持つこの性質が原因で、がんの治療において医療保険から満足な給付金を受け取れないことがあります。
その具体的なケースを以下で4つ、紹介します。
1.通院のみで抗がん剤治療をする場合
がんの場合、通院のみで抗がん剤治療を受けることも珍しくありません。通院による治療は長ければ1年近く続くことがあります。医療保険にも通院特約を付加すれば通院が保障されますが、あくまでこれは入院した場合に、その前後において行われた通院を保障するものにすぎません。
そのため、通院のみで治療を受けた場合は対象外となり、給付金を受け取ることはできません。しかし、がん保険の通院給付金は通院のみで治療した場合でも給付金を受け取れる商品があります。
また、がん保険ではがんと診断確定された時点で「診断給付金」というまとまったお金を受け取れることが多いです。診断給付金なら入院の有無に左右されないため、通院のみで治療した場合でも治療費にあてることができます。
2.乳がんの治療後にホルモン療法を行う場合
乳がんの場合は退院後にホルモン療法を行うことが多いですが、ホルモン療法は5年程度、長ければ10年にわたって行われることもあります。ホルモン療法の場合も抗がん剤治療と同様、通院による治療なので給付金は支払われません。
しかし、がん保険の診断給付金なら診断確定時にお金を受け取っているので、そのお金で治療費をまかなうことができます。
3.慢性骨髄性白血病の場合
慢性骨髄性白血病とは、血液がんの一種です。慢性骨髄性白血病を発症した場合、症状の進行を食い止めるために、抗がん剤や分子標的薬による治療を生涯続けることが多くあります。
この場合も入院しないので、医療保険に加入していても給付金を受け取ることができません。しかし、がん保険では治療が継続している限り毎月、給付金を受け取れる商品もあります。
4.自由診療を受ける場合
がんの末期と診断されて保険診療で治る見込みがない場合、自由診療を視野に入れる人もいます。例えば、欧米では承認されているのに国内では未承認の抗がん剤を使用する場合、ある程度の効果が期待できるかもしれません。
このような場合は薬剤費が月間で100万円を超えるケースもあり、自由診療なので全額が自己負担となります。医療保険に加入していても、こんなときはまったく足りません。
しかし、がん保険には自由診療の治療費を保障する商品があります。こうした保険に加入していれば、高額な自由診療の費用もまかなうことが可能になります(上限はあります)。
がん保険の性質を知って、うまく活用しよう
医療保険よりもがん保険が有効に機能する4つのケースをみてきました。通院のみで抗がん剤治療を行ったり、乳がんの治療でホルモン療法を行う可能性は誰でもあります。そうなった場合の備えは、考えておく必要があるでしょう。
もちろんがん保険ではなく貯蓄でも対応できるので、十分な貯蓄があれば無理にがん保険に加入する必要はありません。慢性骨髄性白血病にかかるケースや、自由診療を利用する確率はかなり低いので、こうした事態に備えるかどうかは個人の考え方によります。
確率が低いから無視するというのも1つの考え方ですし、確率が低いケースにも対応できるからこそ保険だという考え方もあります。ただし、確率の低いケースにも対応しようとすると、その分、保険料は高くなります。
どちらが正解ということではありませんので、みなさんも一度は考えてみてください。
出典
公益財団法人生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査 速報版」
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
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