「生活のため生涯現役で農家として働き続ける」という父。老後の暮らしは年金だけでは難しいのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月25日 2時0分
年金だけでは老後の暮らしをまかなえず、高齢になっても働き続ける人は年々増加傾向にあるようです。では、高齢の農業従事者の現状は、どうなっているのでしょうか。 そこで今回は、農業従事者の老後の生活についてや、農業を続けることのメリットやデメリットなどを解説します。
高齢就業者の現状
総務省統計局の令和4年の報道「統計からみた我が国の高齢者」によると、2021年の高齢就業者数は909万人で、18年連続で増加しています。同年の高齢者就業率は25.1%で、65~69歳では50%以上です。
また、就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.5%と、高い割合となっています。高齢就業者が従事する仕事は「卸売業、小売業」や「農業、林業」などが多いことが特徴です。
なかでも農業、林業の従事者は53.3%と、半数以上を占めています。高齢の人が農業を続けている理由は人それぞれですが、理由のひとつとして国民年金だけでは生活できない可能性が考えられます。
日本年金機構によると、令和6年度の国民年金支給額は月額6万8000円です。貯金額などによっても感じ方が異なる可能性はありますが、6万8000円だけでは安心して生活するのは難しいと感じる方も多いでしょう。そのため、国民年金で足りない分を補うために、高齢になっても働き続けなければならないと考えられます。
農業者年金とは
近頃の日本では、高齢でも働かなければならない人が多く、特に農業従事者においてその傾向が強いことが分かりました。そこで加入を検討したいのが「農業者年金」です。
農業者年金基金によると、農業者年金の加入資格は「年間60日以上農業に従事する方で、20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者(保険料納付免除者を除く)の方、又は60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者の方」です。
積立方式・確定拠出型の年金
農業者年金とは、積立方式・確定拠出型の年金であり、自分で積み立てた保険料とその運用益によって、将来受け取る年金額が決まる制度です。
なお、農業者年金は終身保険なので、加入すると死亡するまで保険金が支給され、加入者が80歳前に亡くなった場合には、死亡一時金が支給されます。以上の通り、農業者年金は細かいところまで行き届いた年金であるため、加入していると安心だと。
農業者年金の加入方法
農業者年金は、居住している市町村の農業委員会または、最寄りのJAの農業者年金の担当窓口で申し込めます。
申し込みには、保険料の振替口座番号と国民年金の基礎年金番号が必要です。加入手続きが完了すると、被保険者証が届きます。
保険料は毎月23日に引き落とされますが、23日が休日の場合は翌営業日に引き落とされます。また、保険料は1年分を前納する支払い方法も選択可能です。
高齢者が農業をするメリット
農業をすることは、さまざまなメリットを得られる可能性があります。
例えば、農業をするには新しい作物の育て方や畑の管理方法を学ぶ必要があるため、脳の働きが活発になり、認知機能が向上する可能性があります。また、農業は天候に左右されることが多く、予想もしない状況に陥ることも少なくありません。
このような状況に臨機応変に対応しなければなりませんが、その分、作物を収穫できたときには大きな達成感を味わうことができるでしょう。このような達成感は、高齢になるとなかなか経験することができない貴重なものです。
また、農業をすることが適度な運動となり、体の柔軟性も向上するケースも考えられます。さらに、農業を通して地域社会と交流できるため、行動の幅が広がる可能性もあるでしょう。
まとめ
近年の日本では、高齢でも働かなければならない人が多く、特に農業従事者の場合その傾向が強いようです。そこで加入を検討したいのが農業者年金です。
農業者年金とは、積立方式・確定拠出型の年金であり、自分で積み立てた保険料とその運用益によって、将来受け取る年金額が決まる制度です。保険料を自由に決められ税金面での優遇措置もあるため、一度確認してみるとよいでしょう。
高齢者が農業に従事することは、数々のメリットを得られる可能性がありますが、若いときに比べて体力面で不安があるため、無理のない範囲で農業を続けることが大切です。
出典
総務省統計局 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
独立行政法人農業者年金基金 農業者年金の特徴とメリット ・よくある質問
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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