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先日、父が運転中に「自損事故」を起こしました。どうして「保険で修理不可」なのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月26日 0時50分

先日、父が運転中に「自損事故」を起こしました。どうして「保険で修理不可」なのでしょうか?

自動車保険は、不測の事故などといった万が一の事態が起きたときに、経済的な損失をカバーすることを目的としています。しかし、せっかく加入している保険も、補償内容を正しく理解していなかったために、必要な補償が受けられないことも起きます。   そこで本記事では、自損事故を起こした際に、保険で修理不可となるようなケースについて解説します。

自損事故とは

自損事故とは、当事者が運転者のみで、他人を巻き込んでいない事故のことです。自分の過失が100%の事故であり、次のようなケースが考えられます。
 

・走行中に運転を誤り、ガードレールに衝突した
・車がスリップして崖から転落した
・車庫入れでアクセルとブレーキを踏み間違え、家屋に突っ込んだ

 
自損事故は相手がいない事故なので、破損した車を直したい場合の修理代は自分で負担することになります。
 

自賠責保険では自損事故の損害をカバーできない

全ての自動車(原動機付自転車などを含む)は自賠責保険への加入が義務付けられていますが、その補償範囲は人身事故による対人損害賠償のみとなります。そのため、自損事故で破損した車(対物)の修理代(損害)を自賠責保険ではカバーできません。
 

自賠責保険と自動車保険の補償範囲の違い

自賠責保険の補償でカバーしきれない損害に備えるには、自動車保険への加入を検討する必要があります。自動車保険への加入は任意で、「任意保険」とも呼ばれます。
 
自賠責保険では被害者1名につき傷害120万円、死亡3000万円、後遺障害4000万円といった、保険金の支払限度額があります。自動車保険では、相手への賠償金が自賠責保険の支払限度額を上回ってしまった分をカバーすることができます。
 
ほかにも、自賠責保険と自動車保険の補償範囲の違いを図表1にまとめました。
 
図表1

補償範囲 相手への補償 自身への補償
対人
(死亡・けが)
対物
(物・車)
対人
(死亡・けが)
対物
(車)
自賠責保険
(支払限度額あり)
× × ×
自動車保険

〇:補償される、△:一部補償、×補償されない
筆者作成
 
自動車保険は補償範囲を広くカバーすることができますが、補償の対象は契約内容によって異なります。また、自動車保険でも保険会社によっては、支払限度額の設定がある場合もありますので注意しましょう。
 

自損事故による自身の車の損害を、カバーするための保険

自損事故を起こしたとき、自動車保険で自身の車の損害をカバーするためには、「車両保険」へ加入しておくことが必要となります。車両保険は、自身の車に補償をかける保険です。車両保険は自動車保険のオプションとして任意で付加するものなので、車両保険へ単独で加入することはできません。
 
車両保険は、保険会社によって呼び方に違いがありますが、一般的に「一般タイプ」と「限定タイプ」の2つのタイプがあります。
 
図表2

一般タイプ 車同士の衝突・接触事故や、自損事故、自転車との衝突・接触事故など、幅広く補償
限定タイプ 一般タイプよりも補償可能な範囲が限定されている。自損事故などでは補償されない場合がある

三井ダイレクト損害保険株式会社「車両保険の「タイプの違い」と「免責金額」について」より筆者作成
 
限定タイプより一般タイプのほうが、自損事故を含めて幅広い補償をカバーしています。保険料は限定タイプに比べて高めですが、自損事故による自身の車の損害をカバーするには、一般タイプを検討する必要があるでしょう。
 

車両保険の保険料、保険金額、免責金額

車両保険の保険料は、車種や年式、等級、契約者の年齢などの条件によって、総合的な基準で算出されます。
 
また、車両保険の保険金額は、車の市場販売価格相当額をもとに設定されます。市場販売価格相当額とは、補償対象の車と同じ車種や年式、仕様で同じ損耗度の車を、自動車販売店などで購入する場合の価格のことです。
 
保険料をなるべく抑えたい人は、免責金額を高く設定する方法もあります。免責金額は契約時に設定できる金額で、損害額に対する自己負担額のことです。
 
例えば、30万円の修理代がかかるケースで、10万円の免責金額を設定していた場合、修理代のうち10万円を契約者が負担して、残りの20万円が保険金として支払われることになります。免責金額を高く設定すると自己負担は増えますが、その分保険料を抑えることができます。
 

自損事故で自身の車を保険で修理できないケース

任意の自動車保険に加入しているからといって、自損事故が起きたときに、必ずしも自身の車を保険で修理できるわけではありません。そのような、修理代を保険でカバーできないケースには、以下のような場合が考えられます。
 

・自動車保険には加入していたが、車両保険に加入していない
・車両保険には加入していたが、自損事故が補償外の「限定タイプ」
・修理代が免責金額を下回っている

 
また、古い車の場合は、市場販売価格相当額よりも修理代が高いと、保険会社より「全損」と判断され、市場販売価格相当額が保険金額の上限となる場合があります。このようなケースでは、修理代を保険金で全額カバーできない可能性があるため、修理代の足りない分を自己負担するか、保険金を新車に買い替える際の足しにするなどの対処を検討することが必要となるでしょう。
 

車両保険を使うと等級が下がる

一般的に、自動車保険で補償を受けることにより、契約している自動車保険の等級(ノンフリート等級)は 3等級、または事故の種類により1等級下がり、翌年度の保険料は高くなります。
 
車両保険も、使用すると基本的には等級が下がり、翌年度の保険料が高くなります。そのため、自損事故で損害が軽微な場合は、車両保険を使わずに自己負担で修理するケースもあるようです。
 
保険を使って修理代をカバーするか、あるいは全額自己負担にするかは、修理代と等級が下がったあとの保険料も比較して、検討するようにしましょう。
 

まとめ

自動車保険の補償内容は、基本となる対人賠償や対物賠償に加え、本記事で解説した車両保険以外にも、人身傷害や搭乗者傷害の補償や弁護士特約といったさまざまな特約のように、補償を受けられる範囲は多岐にわたります。
 
受けられる補償の範囲を広げれば安心も広がりますが、保険料も高くなります。どこまでの補償を必要とするか、よく検討するようにしましょう。
 
また、実際に事故が起きたときに、「思っていた補償が受けられない」といった事態にならないようにするためにも、加入している保険の補償内容については、定期的に確認をすることが大切です。
 

出典

国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト 自賠責保険・共済ってどんなもの?
一般社団法人日本損害保険協会 知ってナットク! 学んでおトク! そんぽのホント 自動車保険 自動車保険(任意)とは?
三井ダイレクト損害保険株式会社 車両保険の「タイプの違い」と「免責金額」について
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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