久々に帰省したら親の様子が不安…親の見守りやサポートに使える制度って?
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月16日 9時0分

親には年に何回会っていますか? 久々の帰省で感じる親の衰え。悲しいことですが、老化は確実に進みます。 「今は認知症というほどではないにしろ、半年後はどうなるか? 」「訪問販売トラブルなどに遭わないか? 」…心配は尽きません。
【消費者契約法】
悪質業者による詐欺的な契約でも、民法で無効や取り消しを認めさせるのは困難です。
「法定後見制度」を利用すれば、本人がした契約などを後見人によって取り消すことができます。しかし、裁判所により親族以外の後見人が選定されると、月2~6万円ほどの報酬が発生する場合が多くあるため、家族への負担が大きく利用が進んでいませんでした。
その後、悪質な訪問販売などによるトラブルが社会的問題となり、平成13年施行の「消費者契約法」において、一定の条件での取消権が認めるようになりました。そして平成28年には、高齢者の被害救済などを強化した改正がされています。
これにより、「過量契約」にも取り消しが認められるようになりました。例えば、高価な着物を一度に30着購入する契約をしたような場合、契約に違法性がなくても取り消しが認められる可能性があります。
ただし、何でも取り消しができるわけではありませんので、まずは不要な契約などをしない(できない)ようにすることを考えましょう。次のような公的制度やサービスを活用することも一つの方法です。
【日常生活自立支援事業】
「日常生活自立支援事業」は社会福祉協議会が行っている事業です。契約などの判断をすることが不安な方や、お金の管理に困っている方が利用できる制度となっています。
主な援助の内容としては、下記のようなものがあります。
・福祉サービス利用の申し込み
・契約手続
・日常的なお金の出し入れ
・預金通帳や印鑑
・証書など書類の預かり…など
また、ヘルパーの定期訪問などでサポートしてもらえますので、近くの社会福祉協議会に相談してみましょう。なお、相談は無料ですが、サービスは原則有料(1時間1000円~程度)です。本人が契約の内容をある程度理解できることが前提です。
【任意後見】
本人が認知症で、契約などができなくなった場合、後見人に代理してもらわなければなりません。後見人をつけないと法律行為ができないので、財産は「凍結」の状態になってしまいます。
成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2つがあります。
「法定後見」は、判断能力が不十分となった場合に、家庭裁判所が後見人を選定するものです。これに対して「任意後見」は、判断能力がなくなった場合に備えて、誰にどのような代理行為をしてもらうかを、本人の元気なうちに公正証書であらかじめ決めておくものです。
法定後見との主な違いは、
・後見人を指定できる(法定後見は家庭裁判所が選定)。
・後見開始前の財産管理,身上監護などの見守りや死後事務委任をセット契約できる。
・判断能力がなくなったときに、家庭裁判所が任意後見監督人を選定してスタートする。
・任意後見監督人の報酬が必要(財産内容により月1万円~2万円程度)。
・後見人は契約で与えられた代理権のみを行使できる(法定後見は包括的な代理権)。
・同意権や取消権はない。
法定後見と違い、認知症と判断される前の時点で任意後見人に通帳やハンコを預けることで、詐欺被害の防止効果が見込めます。
【民事信託(家族信託)】
契約により、子などの家族、親族が受託者として親の財産を管理、運用、処分できます。信託財産とした時点で親の所有権はなくなり、親の財産ではなくなるため、これを奪われる危険がなくなります。
財産管理処分の判断は、基本的に受託者である子などに委ねられ、親の希望(信託目的)に沿って信託財産を使うことになります。
後見制度との違いは
・家族が面倒を見るので、原則的に報酬は発生しない。
・裁判所の関与がない。
・財産管理の契約なので、身上監護には対応できない。
どの制度が適切であるかは個々の事情によりますので、近くの専門家などに相談して対策することをおすすめします。
Text:宿輪 德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者、行政書士
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