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定年退職後に起業するため、いろいろ調べています。「経営セーフティ共済」が節税にもなるって本当ですか? また、改正が予定されているとも聞きました。詳しく教えてください

ファイナンシャルフィールド / 2024年7月26日 22時30分

定年退職後に起業するため、いろいろ調べています。「経営セーフティ共済」が節税にもなるって本当ですか? また、改正が予定されているとも聞きました。詳しく教えてください

経営セーフティ共済(倒産防止共済制度)は、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的とした制度ですが、本来の趣旨から外れて節税目的に活用されてきた実態があります。そこで、改正が行われることになりました。

経営セーフティ共済(倒産防止共済制度)のポイント

経営セーフティ共済(倒産防止共済制度)は、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的として、取引先企業が倒産した際、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8000万円)まで借入れできる制度です。

●製造業、建設業、運輸業等の場合 : 資本金額3億円以下または従業員数300人以下
●卸売業の場合 : 資本金額1億円以下または従業員数100人以下
●サービス業の場合 : 資本金額5000万円以下または従業員数100人以下

などの企業等が加入できます。
 
掛金月額は5000円から20万円までの範囲内(5000円刻み)で自由に選べます。掛金総額800万円になるまで加入できます。経営状況に応じて、掛金は増額・減額や月払い・年払いができますので使い勝手がいいです。ただし、減額には事業経営の著しい悪化等の一定の要件が必要です。
 
また、掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できます。解約も任意で行えます。解約の時期によっては掛金総額の100%が戻ってきます。なお、解約手当金は全額雑収入になります。
 

税制改正の背景

経営セーフティ共済は、共済契約を解約した場合、任意の解約であっても掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヶ月(3年4ヶ月)以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12ヶ月未満は掛け捨てとなります)。
 
中小企業庁の調査によると、契約年数別脱退件数(令和4年度 任意解約)は、 3年目、4年目の解約件数は、全体の約33%(任意解約3万2570件中、3年目6119件、4年目4656件の合計で1万775件) と解約手当金が100%となる頃(40ヶ月)の短期解約の傾向が近年顕著になっています。
 
さらに、加入者全体のうち再加入者は約16%で、再加入者のうち1年未満が71.2%、1年以上2年未満が11.5%となっています(2年未満で再加入が約8割)。つまり、連鎖倒産を防ぐという本来の目的ではなく、利益の繰り延べ(節税)の手段として活用されてきた実態があります。
 

税制改正の内容

令和6年10月1日以降に経営セーフティ共済契約を解約し、再度、経営セーフティ共済契約を締結(再加入)する場合、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できなくなります。
 
税制改正の影響として、9月までの解約・再加入が相当数発生する可能性があるでしょう。
 

まとめ

従来、節税(利益の繰り延べ)商品といえば、全額損金・高解約返戻率の逓増定期保険や終身がん保険が活用されてきましたが、現在では全額損金性が規制されています。これに比べ、経営セーフティ共済の税制改正の影響は限定的です。節税(利益の繰り延べ)商品としての魅力は十分あるといえます。
 

出典

中小機構 共済制度 経営セーフティ共済とは
経済産業省 中小企業庁 中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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