商品・サービス購入型クラウドファンディングとは?? (クラウドファンディングその4)
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月16日 10時45分
「商品・サービス購入型のクラウドファンディング」は、出資に対する見返りとして企業が出資者に対して商品やサービスなどを提供する資金調達手段です。 資金調達する企業は、出資の見返り(リワード)として、提供する商品やサービスをあらかじめ決めておく必要があります。 出資額が比較的少額の場合は、一般的にお礼のニュースレターやステッカーなど、プロジェクトの内容を伝えるようなグッズが提供されます。相応の出資額の場合には、主に資金調達した資金を用いて開発される商品やサービスなどが提供されます。
商品の予約販売と同じ
こうした意味で、商品・サービス購入型のクラウドファンディングで資金調達を行うことは、開発中の商品の予約販売を行っているのと同じとも言えます。
また、商品・サービス購入型のクラウドファンディングは「売買型」クラウドファンディングと呼ばれることもあります。実際、この手法で資金調達した場合には、その資金調達額を最終的には企業の損益計算書(P/L)上の売上に計上する必要があります。
一方、一般個人・団体が利用する場合には、コンサートなどのイベントを開催するための資金調達に利用されたり、本を出版するための資金調達に利用されたりしています。
販路拡大や新規顧客の開拓に
企業がこの商品・サービス購入型のクラウドファンディングを利用することは、資金調達以上の効果が期待されています。
多くのユーザーの目に触れる資金調達サイトにプロジェクトを掲載し、商品・サービスの魅力や開発背景などをPRすることで、販路拡大や新規顧客の開拓につながります。
また、自社では市場ニーズがあるかどうかについて判断が難しい商品・サービスであっても、サイトにプロジェクトを掲載することで、多くの人々に出資する価値があるかどうかの判断を直接、仰ぐことができるのです。
短時間で資金調達を達成されなかった場合には、その商品やサービスが共感を得られなかったり、市場ニーズが少なかったりしたということが確認できます。
商品を量産する前段階において、その市場ニーズを確認することで、企業は余分な在庫を抱えるリスクを抑制することができます。
新事業のマーケティング手法として
企業にとって新しい商品・サービスの価値や市場ニーズの把握を行うことは、相応の費用がかかり、経営資源の乏しい中小企業、小企業事業者にとって負担が大きくなります。
こうしたことから、商品サービス購入型のクラウドファンディングは中小企業、零細企業事業者にとって、新事業のマーケティング手法としての働きも期待されます。
目標額の設定が必要
商品・サービス購入型のクラウドファンディングで留意しておく必要があるのは、資金調達目標額を設定する必要があるということです。
目標額を達成できない場合は、資金調達できない仕組みになっています。この場合、出資者には出資資金が返還され、実際にプロジェクトも実行されません。商品やサービスが受け取れない場合、法的な救済措置がないため、出資者はあくまで自己責任となります。
また、商品・サービス購入型のクラウドファンディングは、法的にはEC(電子商取引)マーケットに準じたものと整理されるため、特定商取引法を順守するようにサービスを設計する必要があります。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト
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