「国民年金保険料」の支払いを一定期間免除してもらっていたのですが、追納した方がよいのでしょうか? もらえる額はかなり変わりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 8時40分
失業したなどの理由で一定期間国民年金保険料の支払いを免除してもらっていた場合、後から追納をするべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。実際、年金を追納することによるメリットはあります。ただし、追納について考える際には、いくつかのポイントを考慮することが重要です。 今回は、国民年金保険料の支払い免除、追納のメリット・デメリットについて紹介します。あわせて、もらえる額がどれくらい変わるかについてもみていきましょう。
国民年金保険料の支払い免除とは
経済的な理由により国民年金保険料を納めることが難しい場合は、保険料の支払いを免除してもらうことができる制度があります。具体的には、失業したなどの理由で、本人、配偶者および世帯主それぞれの前年所得が一定額以下の場合が挙げられます。この制度では保険料を「全額免除」または「一部免除」することができます。
令和6年度の月額保険料を参考に、免除が承認された場合の免除額と保険料を表1にまとめました。
表1
全額免除 | 4分の3免除 | 半額免除 | 4分の1免除 | |
---|---|---|---|---|
免除額 | 1万6980円 | 1万2730円 | 8490円 | 4240円 |
保険料 | 0円 | 4250円 | 8490円 | 1万2740円 |
※日本年金機構「知っていますか?国民年金保険料の免除制度」を基に筆者が作成
国民年金保険料年金をの追納することのメリット・デメリット
国民年金保険料の追納とは、保険料の免除もしくは納付猶予を受けた際に、免除・猶予を受けた期間の保険料を後から納付することができる制度です。日本年金機構によると、追納ができるのは、「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間」です。
保険料を追納することには以下のようなメリットとデメリットがあります。
・将来の年金受給額を満額に近付けられる
・社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減される
・納める期間によっては追納額が当時の保険料額よりも高くなる場合がある
・追納額分、支出の負担が増える
追納すると将来もらえる年金額はどれくらい変わる?
保険料を追納することで、免除期間が全額納付済期間としてカウントされるため、結果的に老齢基礎年金の受給額が増加します。
では、将来的に受け取れる年金額はどの程度変わるのでしょうか。今回は、20歳から60歳になるまでの40年間のうち、全額免除期間が2年間(24ヶ月)あり、その期間を追納する場合を考えていきましょう。
追納することによる老齢基礎年金の受給額の差の増加
日本年金機構によると、老齢基礎年金の受給額の計算式は以下の通りです。
受給額(満額)×{保険料納付済月数+(全額免除月数×4/8)+(4分の1納付月数×5/8)+(半額納付月数×6/8)+(4分の3納付月数×7/8)}÷(40年×12月)
今回は令和6年4月分からの受給額(満額)である81万6000円で計算します。
・追納前
例えば、納付済期間が45600ヶ月、全額免除期間が24ヶ月の場合、免除期間の1/2分の1がカウントされるため、年金受給額は以下のように計算されます。
81万6000円×(456+12)÷480=79万5600円
・追納後
全額納付済期間が48024ヶ月となるため、年金受給額は満額の81万6000円を受け取れます。
追納することで、年金受給額が年間「2万4200円」増加していることがわかり分かります。
経済状況が厳しければ専門家に相談を
免除してもらった期間分の国民年金保険料は、後から追納納付することにより、将来の老齢基礎年金の年金額を満額に近付ける増やすことができます。
ただし、追納額や支払い方法によっては無職期間中の支払いが滞っていた分を一度に支払うことになるため、その負担が現在の生活にどの程度影響するのかを考えなければなりません。現在の収入や貯蓄状況、将来の収入の見込みなどを考慮して判断することが大切です。
現在の経済状況が厳しい場合は、無理に追納を行わず、市役所の年金課年金事務所や社会保険労務士などの公的機関や専門家に相談することをおすすめします。あなたの具体的な状況を考慮して、最適なアドバイスを提供してくれるでしょう。
出典
日本年金機構 知っていますか?国民年金保険料の免除制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度国民保険料の追納制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金の保険料はいくらですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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