「年金が12万円しかない。貯金もないし、これでは暮らしていけない」と将来に不安を感じる50代会社員の男性。今からできる老後対策とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 2時40分
50代会社員のAさん。独身なので、これまでは現在の年収300万円での暮らしに不便を感じず、貯金の必要性も考えなかったそうです。しかし、ねんきん定期便の年金見込額が12万円ほどで、貯金がないことから、将来に大きな不安を抱えています。 今からできる対策はあるのか、これからの働き方についてどのように考えてらいいか、FPがアドバイスします。
働き方は多様化しているが・・・
高齢期に受け取る年金は、大きく2つに分かれています。別名、2階建て年金ともいわれ、1階部分は日本に住所を有する20歳から60歳までの人が加入する国民年金と、会社員・公務員など国民年金第2号被保険者の人には2階建て部分である厚生年金保険が上乗せされています。
公的年金は、毎年、誕生日月に「ねんきん定期便」がハガキ形式で届きます(35歳、45歳、59歳は封書)。Aさんのように50歳以上であれば、ねんきん定期便には、現状の働き方を60歳まで継続した場合の見込額が記載されています。
おひとりさまでこれまで年金額を気にしていなかったAさんの見込額は、月額12万円と記載されていました。
厚生労働省の「2022(令和4)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、厚生年金保険(第1号) 老齢年金受給権者状況の推移(男子)から、男性の65歳以降の年金額の平均月額は16万7388円(老齢基礎年金含む)となっています。
一般的な年金額より少ないAさん。将来が不安になることもわかります。ただし、今後の働き方や日常生活の過ごし方を少し変えることで、将来の不安が解消されるでしょう。今回は不安を解消する2つのポイントをお伝えします。
ポイント1:将来の不安を解消するには、長く働く
現在、Aさんのねんきん定期便は、60歳まで働いた時の見込額が記載されています。60歳の定年退職後、働かないでいると60歳から65歳までの期間、年金もなく、収入ゼロの空白期間となってしまいます。
ですが、高齢者雇用安定法では、本人が希望すれば65歳まで働くことができます。会社によっては定年が65歳とされていたり、65歳まで継続雇用ができたりと、65歳まで働くことができるような制度となっています。65歳まで社会保険に加入しながら働くことで年金は増やすことができます。
例えば、60歳以降、20万円で65歳まで働くと、年額約6万5000円増やすことができます※。さらに70歳まで働くと13万円増やすことができるでしょう。月額1.1万円ですが、終身で受け取れること、会社と折半で社会保険に加入できること、60歳以降の収入ができることを考えると、長く働くことはとても重要です。
※標準報酬月額20万円×5.481/1000×60月で計算
ポイント2:資産をつくる習慣を身につける
いままで、貯蓄をしてこなかったAさんですが、いまからでも遅くはないので、毎月貯蓄する習慣を身につけお金にも働いてもらうよう、資産形成をしましょう。
例えば、老後の資産形成の代表である、NISAやiDeCoを始めてみましょう。投資することに不安があるなら、一度、専門家に相談することをおすすめします。
金融庁のつみたてシミュレーターでは、毎月2万円を3%で運用すると20年後、Aさんが70歳になるころには657万円になります。
iDeCoは、会社員等であれば、65歳まで積立て(拠出)ができます。さらに、iDeCoで積み立てた掛金の全額が所得控除でき、運用収益は非課税と、働いている現在のAさんにも優遇されます。
まとめ
上記のポイント以外に、Aさんのセカンドライフを安心・安全・豊かに過ごすために、毎月の収支の洗い出しをしてみましょう。ちなみに65歳以上の単身者の消費支出は14万5430円です。
65歳からの年金は、遅らせると増やすことができます(繰下げ)。長く働きながら年金を繰下げすると、70歳で42%アップし、月額18万円になります。おひとりさまであれば、上記の消費支出より、日常生活を賄うことができます。不安を解消するためにも、できることを早くに行動することが大切かもしれません。
出典
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要/単身世帯の家計収支
金融庁 つみたてシミュレーター
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
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