息子には「大卒」で働いてもらいたいですが「院卒は高収入だから」と聞いてくれません。「院卒」の初任給は本当に高いのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月29日 10時0分
子どもが将来の収入が見込めることを理由に大学院への進学を希望していても、家庭の経済状況によっては大学卒業後すぐに働いてもらいたいという親御さんもいるかもしれません。 そこで今回は、大学院卒と大学卒の初任給の違いについて解説します。最新の統計データをもとに、どちらの学歴が経済的に有利か、長期的なキャリアパスの視点からも考察します。
初任給の違い
まずは、大学卒と大学院卒それぞれの初任給について見ていきましょう。産労総合研究所の「2024年度 決定初任給調査 中間集計」によると、表1のとおりとなっています。
表1
学歴 | 初任給額 |
---|---|
大学院卒(博士) | 24万6191円 |
大学院卒(修士) | 24万8657円 |
大学卒 | 22万6341円 |
※産労総合研究所「2024年度 決定初任給調査 中間集計」を基に筆者作成
大学卒と大学院卒を比べると、博士課程・修士課程ともに大学卒よりも初任給が高くなっています。
年収の違い
次に、年収の違いについて解説します。大学卒、大学院卒それぞれの年齢ごとの年収は、表2のとおりです。
表2
年齢 | 大学卒 | 大学院卒 |
---|---|---|
20~24歳 | 233万6000円 | 257万1000円 |
25~29歳 | 265万2000円 | 287万1000円 |
30~34歳 | 304万9000円 | 354万3000円 |
35~39歳 | 353万9000円 | 427万8000円 |
40~44歳 | 390万7000円 | 497万5000円 |
45~49歳 | 429万4000円 | 538万5000円 |
50~54歳 | 474万9000円 | 614万3000円 |
55~59歳 | 491万1000円 | 635万6000円 |
60~64歳 | 370万2000円 | 559万6000円 |
65~69歳 | 331万円 | 600万9000円 |
※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」を基に筆者が作成
20~24歳時点で、大学卒よりも大学院卒の年収が多いことが分かります。
大学卒のメリット・デメリット
大学卒で考えられるメリットは、以下のとおりです。
・大学院卒よりも早く実務経験を積める
・若さやポテンシャル重視の企業に有利
・大学院進学分の学費がかからない
大学卒は大学院卒よりも早いタイミングで社会に出て働くことになります。早く社会に出ることで、大学院卒よりも若さを生かして、多くの実務経験を積める点がメリットだといえるでしょう。次に、大学卒のデメリットについても見ていきましょう。
・専門性やスキルで劣る
・就職活動での学校推薦が受けづらい
大学院卒は大学院で一定の分野について掘り下げて学んでいることと比較すると、大学卒は専門性で劣る点がデメリットと考えられます。また、高い専門性を誇る大学院卒に比べると、大学卒は学校推薦が受けづらいケースがあります。
大学院卒のメリット・デメリット
大学院卒で考えられるメリットは、以下のとおりです。
・学校推薦を受けやすい
・高い専門性とスキルで就職しやすい
大学院卒の場合、高い専門性とスキルを保持しており、大学からの推薦を受けやすくなる可能性があります。また、不況時にも比較的就職しやすい傾向があることもメリットだといえるでしょう。ただし、いくつかのデメリットが存在します。
・スケジュール管理が大変
・会社からの期待や業務のハードルが高い
比較的就活に専念しやすい大学卒と比べると、就活の時期でも研究や勉強に割く時間が必要になるため、スケジュール管理が大変になりやすい点が特徴です。
また、専門性とスキルを評価されて入社することが多いため、周囲の評価が厳しくなるケースも考えられます。
どちらが出世に有利?
大学卒と大学院卒のどちらが出世や収入の面に有利であるか、断言することは困難です。大学卒の場合は社会にでるタイミングが早い分、若さやポテンシャルが重視されます。
一方、大学院卒の場合は高い専門性やスキルが期待されるため、それぞれで配属先やキャリアが異なることが考えられます。キャリアが異なるため、それぞれの出世しやすさを単純比較することは困難でしょう。
また、大学卒や大学院卒といった学歴だけでなく、会社での働きも出世の評価対象です。どんなに高い学歴を持っていたとしても、会社が求める働きをしなければ評価されることはないでしょう。それぞれの学歴における強みを生かし、社会で活躍していくことが重要です。
出典
産労総合研究所 2024年度 決定初任給調査 中間集計
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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