住宅ローンを完済し来年に定年を迎えます。夫婦の年金「月15万円」と「貯蓄800万円」で、老後は生活できますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月1日 2時10分
定年退職をして仕事を辞めると、老後の生活は年金と貯蓄だけで補う必要があります。受給予定の年金額や貯蓄額によっては、老後の生活が心配になる方もいるでしょう。 もし老後の資金が足りない場合は、年金額を増やすための対策が必要になるケースもあります。人によっては、定年後にふたたび働くことも必要かもしれません。 今回は、貯蓄800万円と年金が夫婦で月に15万円だとどれくらい生活できるのか、老後の資金対策などについてご紹介します。
貯蓄800万円と夫婦で年金15万円あれば老後は生活できる?
総務省統計局が公表している令和5年度の「家計調査報告[家計収支編]」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯における平均支出額は水道光熱費や食費などの消費支出が月額25万959円、保険料や税金などの非消費支出が月額3万1538円になります。
月の平均支出の合計額28万2497円に対して年金が月15万円だと、月に13万2497円の不足です。不足分は貯蓄から補う必要があります。800万円の貯蓄で月に13万2497円の不足を補うと、約60ヶ月分は支払える計算です。65歳からだと70歳までは貯蓄と年金のみで生活できるでしょう。
しかし、実際には90歳ほどまで生きる方も多くいるでしょう。厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、令和4年時点での日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性は87.09歳、男女を合わせた平均は84.07歳です。
もし84歳まで夫婦の月15万円の年金のみで生活すると、65歳~84歳までの19年間で3020万9316円不足します。貯蓄800万円では大幅に足りないため、年金の繰下げ受給や勤務を継続して年金受給額を増やすといった老後資金のための対策が必要です。
なお、退職時に受け取った退職金の金額によっては、生活費に充てることで不足分をある程度補える可能性があります。
老後の資金対策は何をすればいい?
定年が近づいているのに貯蓄額が足りないと、定年退職後の生活に不安を覚える方もいるでしょう。ここでは、定年近くでもできる老後の資金対策について解説します。
定年後も働く
定年後も働けば、受け取れる年金額を増やせます。老齢厚生年金は、会社で厚生年金保険に加入していた月数に応じて受給額が決まるためです。定年退職をする前のようにフルタイムで働けなくとも、時短勤務をしたり働く日数を減らしたりして、自分に無理のない範囲で働いてみましょう。
年金の繰下げ受給
年金は基本的に65歳から受け取り始めますが、受け取る時期を遅らせることもできます。「年金の繰下げ受給」と呼ばれ、日本年金機構によると、繰り下げた月数×0.7%増加した金額を受給可能です。
例えば、受給開始時期を70歳にまでずらすと、42%増加した金額を受け取れます。年金が月に15万円の夫婦が2人とも70歳まで繰り下げると、受給金額は単純計算で月に21万3000円です。
老後の年金が少ないと感じる場合は、貯金を活用しながら繰下げ受給も検討しましょう。
貯蓄800万円と年金が夫婦で月15万円だと約5年分の生活費を賄える可能性がある
年金が夫婦で月に15万円だと、平均支出に対して毎月13万2497円足りません。貯蓄が800万円だと約5年間の生活費は賄える計算ですが、実際には5年以上の生活費が必要でしょう。
定年が近くなっても老後の資金が足りないときは、定年後も再就職や再雇用での勤務を検討しておきましょう。老齢厚生年金は加入していた月数が多いほど高い金額を受け取れるため、受給する年金額を増やせます。
また、年金の繰下げ受給も受給する年金額を増やす方法のひとつです。年金を受け取る時期が遅くなる代わりに、遅らせた月数に応じて増加した金額を受け取れるようになります。状況に応じて、自分に合った方法を選択しましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況 1主な年齢の平均余命(2ページ)
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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