あなたは大丈夫?『年末調整の季節だけど、毎年なんとなく行っているからよく知りません』
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月18日 22時30分
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給与所得者の方々にとって、12月は「年末調整」の季節です。この年末調整については、毎年なんとなく行っているものの、どのような制度なのかよくご存じではないかもしれません。 本稿では、給与所得者の方々にとって1年に1回の重要なイベントであるこの年末調整について、主に確定申告との比較でご説明します。
確定申告とは?
最初から年末調整のご説明をしたいところですが、まずは確定申告の制度についてご説明をしたほうがよいでしょう。
個人の所得税は、本来は「申告納税制度」によって、納税者自らが申告書を作成し税額を計算したうえで国に納付する仕組みとなっています。そして、この個人の所得税を計算する対象期間については、毎年1月1日からその年の12月31日、つまり暦年と定められています。
納税者は、この暦年の所得及び所得税の額(復興特別所得税を含みます。以下同じ)を計算し、翌年3月15日までに申告書を提出し税金を納付する必要があります。これが個人の「確定申告」です。
なお、住民税はここには含まれず、別途計算・課税されることになりますが、本稿では割愛します。
源泉徴収制度とは?
個人の所得税については確定申告による自主的な申告及び納付が原則ですが、会社や個人事業主(以下「会社等」といいます)から給与の支給を受けている人、つまり給与所得者の方は所得・税額計算及び税金納付の仕組みが異なります。
まずは「源泉徴収制度」です。この源泉徴収制度とは、簡単にいえば「支払者が支払時に所得税を徴収する制度」、つまり給与を支払う会社が所得税を給与から「天引き」し、会社等が個人のかわりにその所得税を国に納付する制度です。
皆さんもお手元の給与明細を確認してみると、所得税が支給額から控除されていることを確認できると思います。
年末調整とは?
さて、ここからがやっと年末調整のご説明です。給与所得者の方々が先の源泉徴収制度によって徴収された税額は、「あらかじめ」徴収されたものであるので、概算的性格をもつものです。これを年末の現況に合わせて正確な税額に引き直し、精算するという手続きが年末調整です。
精算の結果、源泉徴収された税額が本来の税額よりも多ければ還付になりますし、逆に源泉徴収された税額が本来の税額から不足していれば、追徴になります。そして、年末調整が行われた給与所得者については、原則として確定申告を行う必要はないことになります。
そして、この年末調整の手続きは給与所得者の方々ではなく、給与の支払者である会社等が実施します。給与所得者の方々にとっては楽な手続きですが、会社等にとっては大変な作業ですね。
年末調整では、1年間における正確な所得税額を算出する必要があるため、給与所得者の配偶者や扶養親族、保険料控除等の状況などを確認する必要が生じます。
そのため、給与所得者は、「扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者控除等申告書」、「保険料控除申告書」といった年末調整に関する申告書類を記載し、会社等に提出します。添付書類を忘れてはいけません。
確定申告が必要となる場合
年末調整をした給与所得者であっても、確定申告が必要になる場合があります。まずは、年末調整では対応できない制度を利用する場合です。医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例制度を除く)、初年度の住宅ローン控除の適用が典型例です。
これらの制度を利用する場合には、会社等で年末調整を受けた場合であっても、会社等から交付される「源泉徴収票」を使って確定申告をする必要があります。
さらに、給与を2か所から受けている方や、不動産や有価証券の売買等があった方も確定申告義務が生ずる場合があります。副収入がある方も要注意ですね。
詳しくは、最寄りの税務署へ確認してみるとよいでしょう。
年末調整結果の確認も忘れずに
源泉徴収制度やこれに伴う年末調整の制度は、給与所得者にとっては煩雑な所得税の申告納税手続きから解放されるという便利なものです。
一方で、会社等においては負担を感じる手続きでしょうし、さらには給与所得者にとって税についての関心が高まらない可能性があるという問題点が指摘されています。
年末調整を終えると1年間の給与支払額や所得税額が記載された「源泉徴収票」が会社等から交付されますので、給与所得者でこの源泉徴収票をあまり確認したことがない方は、今年はその内容を確認して、ご自身が負担している税額を意識してみてはいかがでしょうか。
Text:星田 直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
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