両親を「自宅」で介護していますが、金銭的に苦しくなってきました。「介護サービス」を利用するとどれくらいの費用がかかりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月2日 3時10分
両親に介護が必要になってくると、どのような介護サービスが利用できるのか気になる方も少なくないでしょう。 本記事では、介護費用を、自分で介護する場合と介護サービスを利用する場合とに分けて比較しています。また、介護の精神的負担について触れながら、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
両親の介護を自分でする場合の費用
介護の費用を考えたときに、施設利用の方が、お金がかかるイメージがあるかもしれません。しかし、在宅で介護をする場合でも、通所利用などの金銭的な負担が同様に発生する場合があります。介護の費用は公的な介護保険サービスを利用した平均額であるため、介護の必要性を感じてきたタイミングで要介護認定の申請手続きを済ませておきましょう。
では、もしも施設入所を利用せず、自分で介護をした場合にはどのくらいの費用が必要なのでしょうか。
公益財団法人家計経済研究所が実施している「在宅介護のお金と負担2016年調査」によれば、平均月5万円とのことです。この金額は、通所や訪問などの介護サービスを利用する費用と、おむつなどのサービス以外の金額を合わせた平均額となっています。
月5万円で年間の介護費用を計算すると「5万円×12ヶ月=年間60万円」になる計算です。そのほかに、在宅で介護をするために居宅のバリアフリー改築を行い、介護用ベッドなどの設備を準備することを考慮に入れておきましょう。
介護サービスを利用する場合の費用
施設入所など介護サービスを利用する場合はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
施設を利用する場合、施設によっても金額は異なります。入所のために介護サービスを利用する場合の費用は、介護の必要性に応じて認定された「要介護認定区分」7段階で決まります。厚生労働省の「サービスにかかる利用料」を参考に、居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額を段階ごとに表にまとめたものが表1です。
表1
認定区分 | 支給額 |
---|---|
要支援1 | 5万320円 |
要支援2 | 10万5310円 |
要介護1 | 16万7650円 |
要介護2 | 19万7050円 |
要介護3 | 27万480円 |
要介護4 | 30万9380円 |
要介護5 | 36万2170円 |
※厚生労働省「サービスにかかる利用料」を基に筆者作成
認定区分ごとに決められた限度額の範囲内でサービスを利用した場合、自己負担は1割です。一定以上の所得がある方は、2割または3割を自己負担する必要があります。設定された限度額を超えてサービスを利用すると、限度額を超えた分を全額自己負担しなければなりません。
自宅で介護するメリットとデメリット
自宅で介護するメリットとしてまず考えられるのは、要介護者が住み慣れた家に暮らしながら介護を受けられることが挙げられます。家族と一緒に暮らすため安心感があり、精神的にも安定して暮らせる可能性があるでしょう。
また場合によっては、本人の状況や家族の都合に合わせて、一部を訪問や通所にするなど、介護サービスを利用しながら利用回数や種類を自在に変えられる点もメリットとして考えられます。
しかし、自宅での介護は、介護を担う家族に負担がかかる傾向があります。在宅での介護を何年も行っていると、精神的、肉体的に疲労が蓄積されていく可能性があります。
突然親の介護が必要となり、在宅介護を始めてみると、思いもよらないトラブルが起こるかもしれません。施設とは異なり、何が起きても介護する家族が対応する必要があります。
そのため、介護を受け持つ家族には精神的・肉体的な負担がかかり、疲労困憊になってしまうこともあるのが自宅で介護を行うデメリットと考えられるでしょう。
介護サービスを利用するメリットとデメリット
介護サービスは、大きく分けて以下の3種類があります。
●施設サービス
●地域密着型介護サービス
要支援の場合、利用できる介護サービスは一部になってしまいますが、専門の方に介護をお願いすることで、家族の負担を軽減できる可能性がある点が大きなメリットです。
その反面、利用回数が多くなると、料金が高くなる傾向があることがデメリットだと考えられます。また、介護サービスの利用者によっては、ヘルパーとの相性が合わず、ストレスとなる可能性がある点がデメリットです。
自宅介護か施設を利用するかよく検討しよう
自宅介護と施設入所のどちらにも、考えられるメリットとデメリットがあります。家族の状況や介護を受ける本人の状態を考慮して、介護を受ける先を決めることが大切です。
出典
公益財団法人家計経済研究所 在宅介護のお金と負担2016年調査
厚生労働省 サービスにかかる利用料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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