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メディエゾン代表 上野美和さんに聞く 第2回 チームで治療するアメリカの病院

ファイナンシャルフィールド / 2018年12月27日 10時0分

メディエゾン代表 上野美和さんに聞く 第2回 チームで治療するアメリカの病院

人生100年時代と言われるようになりましたが、はたして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているでしょうか?   この対談企画では、様々な分野の方にお話をお聞きし、人生100年のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。今回は、日本とアメリカの医療をつなぐメディエゾン代表上野美和さんより、アメリカのがん治療についてお話を伺いました。  

アメリカでは患者さんを中心にしてのチーム医療が徹底される

山中:上野さんが提供されているアメリカのセカンドオピニオンサービスは、どちらの病院が協力されているんですか?
 
上野:実際に渡米してうけるセカンドオピニオンはMDアンダーソンがんセンター、日本でセカンドオピニオンを待つサービスは、ニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターです。アメリカでは、US NEWS & WORLD REPORT が毎年アメリカ全土の5000病院の中から疾病毎にベストホスピタルを選ぶのですが、いずれも、がんの分野で1位、2位を取得する権威ある病院です。
 
山中:アメリカの病院と日本の病院はどちらが良いのかとか、簡単に判断できないと思いますが、違いはどのあたりにありますか?
 
上野:最も特徴的なところは、患者さんを中心にしてのチーム医療の徹底だと思います。アメリカの医師は、自分の専門領域がはっきり決まっていて、それを超えるときは色んな人の意見を擦り合わせする、できる限り正しい情報を患者さんに伝えるという考えが基本です。日本でもチーム医療を取り入れ始めている病院もありますが、これからの課題も多いと聞いています。
 
山中:なんとなく、イメージはドクターXです(笑)。
 
上野:また腫瘍内科医の数が圧倒的に違います。アメリカと日本の人口比が2.5倍くらいだとすると、アメリカの腫瘍内科医の数は、日本の腫瘍内科医の18倍くらいなんです。
 
山中:そんなに!?
 
上野:単純に計算するとアメリカでは専門医に出会う可能性が高くなりますよね。日本だと、良い病院を選んでも、医師を選ぶ必要があるという話を聞きますが、アメリカの場合は、だれでも良い病院を選べるし、そこに良いチーム医療があるので医師を選ばなくても治療法が一定しています。
 

医師の選択に関わらず同じ治療が患者さんへ提供される

山中:確かに、日本はカリスマドクターが注目されますが、その医師に診てもらえるのかというと、まず無理ですよね。
 
上野:アメリカの場合、専門が細分化されているので、定期的にカンファレンスが開かれ、主治医の先生以外にも外科医、放射線医、看護師など医療従事者も入り意見をすり合わせます。そうすることで医師の選択に関わらず同じ治療が患者さんへ提供されます。
 
山中:医者個人の技術の違いは排除されているのですね。
 
上野:そもそもそこまでいくまでに皆さんものすごいトレーニングを受けているんです。腫瘍内科医の場合、大学で4年、そのあと医学校が4年、内科医のトレーニングが3年、内科専門医試験を受けて、3年間腫瘍内科医のトレーニングがあり腫瘍内科医の専門医試験を受けます。そこまでに、自分の領域の線引き、自分なりにわかっていても専門医に聞かなければいけない、コミュニケーションがどれほど大切かとかそういうことを学んでいきます。
 
腫瘍内科医として開業するにも、医学校をでたあとに6年間の研修をうけて、専門医の資格試験を受けなければいけない。資格試験も1回受けたら終わりではなくて、5年ごとに更新が必要とか、とにかくハードなのです。
 
山中:日本の場合は、医師の評判とか、極端なはなしレベルの違い、当たり外れがあるけれど、アメリカの場合には、開業医も総合病院も、基本的な治療に差がないということですね。
 
上野:もちろん最高に素晴らしい医師も多くいますが、皆が同じことができることを優先しているところも違う点かもしれません。例えば、外科手術についても、誰もが同じことができるように「やり方」をあみだし、技術の底上げをすることが大切だと言われています。また良い病院には、世界的に高名な医師も多く集まってきます。
 
山中:うちの病院には、こんな有名な先生がいますよ、ではないんですね。上野さんが、日本人の方にセカンドオピニオンを届けるサービスを始めたのは、そういうアメリカの医療体制に魅力を感じたからなのでしょうか?
 
上野:私は元々MDアンダーソンがんセンターのリサーチナースという立場で、ボランティアで仕事を始めたんです。臨床試験のデータを集める仕事です。日本では薬剤師の資格を持っていますが、アメリカでは使えないこともあり、トレーニングを受けデータマネージャーになって、毎週20人位の骨髄移植を受けにくる患者さんのデータを管理していたんです。
 
日々100枚くらいのカルテを見ながら、必要なデータを打ち込むのですが、本当にアメリカ中、そして世界中から患者さんがやってきて治療法を相談していることが分かり、このがんセンターの良いシステムを理解でき、日本の方が簡単にアクセスできるようになったら、がん治療の選択肢が増えてお役に立てるのではないだろうか?と思いました。それが、きっかけです。
 
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)
 

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