専業主婦ですが、「月400円」の付加保険料を納めると、将来の年金額が「数万円」増えると聞きました。10年でどれだけ増えますか? 専業主婦でも納められるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月5日 2時20分
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老齢年金を増やす手段の1つに「付加保険料の納付」があります。国民年金保険料に上乗せして付加保険料を支払うことで、老齢年金に付加年金が加算されるのです。しかし、付加保険料は誰でも納付できるわけではありません。 本記事では、付加保険料の対象となる人や付加年金の額などについて紹介します。
付加保険料と付加年金
厚生年金制度の対象とならない自営業者など(国民年金第1号被保険者)は、会社員に比べて老齢年金受給額が少なめになります。厚生労働省によると、2022年度末における厚生年金加入者の平均年金額が約14万4000円であったのに対し、国民年金のみの加入者の平均年金額は約5万6000円でした。
こうした自営業者などが老齢年金を増やせる制度の1つが「付加年金」です。毎月の国民年金保険料に付加保険料をプラスして支払うことで、将来、老齢基礎年金に上乗せして付加年金を受給できます。
付加保険料はいくら?
付加保険料は「月額400円」です。国民年金保険料は月額1万6980円(2024年度)ですから、合計1万7380円を年金保険料として支払うことになります。
なお、国民年金保険料を支払わず付加保険料だけを納付することはできません。
付加保険料を納められる人
付加保険料を納付できるのは、次のいずれかに該当する人です。
・国民年金第1号被保険者(自営業者、学生、無職の人など)
・65歳未満の任意加入被保険者
会社員や会社員の被扶養配偶者は第1号被保険者ではないため、付加保険料を納付できません。
付加保険料を納められない人
次に挙げる人は、付加保険料を納付できません。
・65歳以上の任意加入被保険者
・国民年金基金の加入者
・国民年金保険料を免除されている人
なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入していても付加保険料を納められます。ただし付加保険料はiDeCoの拠出限度額に含められるため、iDeCoの掛け金が拠出限度額またはそれに近い場合は注意が必要です。
専業主婦の場合は
専業主婦が付加保険料を納付できるかどうかは、配偶者の職業に左右されます。配偶者が自営業などで国民年金第1号被保険者の場合は妻も第1号被保険者になるため、妻も付加保険料を納付できます。
一方、配偶者が会社員の場合、妻は第3号被保険者です。そのため付加保険料を納付できません。
ただし、第3号被保険者だった人でも、60歳以後に国民年金に任意加入した場合は付加保険料の対象になります。任意加入は、保険料納付済期間が480月に満たない人が任意で国民年金に加入できる制度です。
付加年金の受取額
月額400円の付加保険料を納めると、将来受け取れる付加年金はいくらになるのでしょうか。
付加保険料を10年納めると
付加年金の年額は「200円×付加保険料を納付した月数」で計算されます。10年間付加保険料を納めると200円×120月で、付加年金は「年額2万4000円」になります。
繰下げ受給した場合は
付加年金は、老齢基礎年金と一緒に繰下げ受給が可能です。繰下げ増加率は1ヶ月につき0.7%ですから、仮に5年間繰り下げると42%増えることになります。
10年間付加保険料を納めた人の付加年金は2万4000円ですが、さらに5年繰下げをすると3万4080円となります。
年金受取前に死亡したときは
付加保険料を納めていた人が、老齢年金を受け取る前に死亡したらどうなるのでしょうか。
第1号被保険者には「死亡一時金」という制度があります。これは老齢基礎年金や障害基礎年金を受給することなく死亡した人の遺族への一時金です。付加年金を36ヶ月以上納めると、死亡一時金に8500円が加算されます。
付加保険料の手続き方法
付加保険料を納付したいときは、住所地の市区町村役場の国民年金課または年金事務所で手続きをしましょう。マイナポータルで電子申請することもできます。付加保険料の納付を途中でストップしたいときも同様です。
まとめ
付加年金とは、通常の国民年金保険料に加えて付加保険料を納めることで、将来の老齢年金を増やせる制度です。専業主婦で付加保険料を納められるのは、配偶者が自営業・学生・無職などの場合です。配偶者が会社員である専業主婦は付加保険料を納められません。ただし60歳以降に国民年金に任意加入した場合は付加保険料納付の対象となります。
付加保険料は全額が所得控除の対象となるため、節税にもつながります。将来の老齢年金を増やすため、付加保険料の納付を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 付加年金
日本年金機構 付加保険料の納付
日本年金機構 死亡一時金
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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