自転車を「両手放し」で運転していたら違反で罰金対象になりますか?危険行為としてみなされる程度でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月6日 2時0分
自転車の両手放しに走行上のメリットはありませんが、歩道や車道を走るうえで危険な行為である点に間違いはありません。場合によっては車両や歩行者との衝突もあり得るため、非常にリスクが高い走行方法といえるでしょう。 今回は、自転車を両手放ししながら走行するリスクと、自転車運転上の危険行為について解説します。
両手放し運転は安全運転義務違反に問われる可能性がある
結論として、両手を放しながら自転車を運転すると「安全運転の義務」に違反したとして処罰される可能性があります。
道路交通法第70条では「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められており、両手放しの走行は同法に抵触するといえるでしょう。
そもそも道路交通法において自転車は軽車両の1種と定義されており、自転車走行中は歩行者と同一とみなされません。道路交通法では自転車のなかでも一定の基準を満たすものに関しては「普通自転車」として定義され、走行においては同法が適用されます。
例えば飲酒をして、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転した場合、同法第117条の2により5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
同法では片手運転も禁止されています。そのため携帯電話の通話や傘差し運転も、安全運転義務違反の対象です。安全運転義務に違反した場合は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される可能性があります。
自転車の危険行為に潜むリスクは大きい
道路交通法に違反すると懲役や罰金といった刑罰に処されますが、それ以外にも事故のリスクも存在します。例えば両手放しでコントロールを失った自転車が車両と接触事故を起こした場合、車両の運転手と賠償を巡って争う可能性は高いでしょう。
このとき、多くのケースでは事故内容に応じて相手と自分で「過失割合」を決めます。過失割合とは、事故におけるお互いの責任の重さを割合で示したものです。
原則として自転車と車の接触事故は自転車側に有利といわれますが、自転車が危険行為におよんでいる場合はこの限りではありません。車側がドライブレコーダーを搭載しており映像による証拠が提示されれば、自転車側の過失割合は大きくなるでしょう。
また事故相手が車ではなく歩行者の場合は、歩行者側が基本的に有利です。このように、自転車走行の危険行為は、罰則だけでなく事故や賠償のリスクも発生します。
自転車運転で危険行為とみなされる行為
自転車運転において危険行為とみなされる行為は、両手放しや片手運転だけではありません。警視庁によれば、以下の15種類も危険行為とみなされ、それぞれ罰則の対象となります。
・信号無視
・通行禁止違反
・歩行者用道路徐行違反
・通行区分違反
・路側帯進行方法違反
・遮断踏切立入り
・交差点安全進行義務違反等
・交差点優先車妨害等
・環状交差点安全進行義務違反等
・指定場所一時不停止等
・歩道通行時の通行方法違反
・制動装置不良自転車運転
・酒酔い運転
・安全運転義務違反
・妨害運転
なお罰則の内容は危険行為の種類によって異なります。
3年以内に2回以上危険行為(違反行為)や事故を繰り返すと「自転車運転者講習」を受けなければならない
自転車を運転して、前述した15種類の危険行為におよび交通違反として取り締まりを受けたり、交通事故を起こしたりした回数が3年以内に2回以上あると、「自転車運転者講習」を受講しなければなりません。
警視庁によれば、自転車運転者講習は受講命令書が交付された3ヶ月以内に受けなければならず、受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金が科されます。受講時間は3時間で、手数料が6000円かかります。
両手放し運転はデメリットしかない行為
自転車の両手放し運転は道路交通法の安全運転義務違反に該当し、罰則の対象となる可能性があります。昨今は自転車を含めた交通ルールの規制が厳しくなってきており、とくに両手放し運転は危険度が高いため、発見され次第取り締まりを受ける可能性は高いでしょう。
事故防止のためにも、自転車はルールを守って正しく安全に運転しましょう。
出典
e-Govポータル 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第四章 車両等の運転者及び使用者の義務 第一節 運転者の義務 第七十条(安全運転の義務)、第八章 罰則 第百十七条の二
警視庁 自転車運転者講習制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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