58歳で「年収800万円」ですが、定年後も“再雇用”で働く予定です。給料がかなり下がると聞きますが、平均でどの程度下がるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月10日 5時0分
定年後も再雇用で働こうと思う一方で、給料が下がると聞くと不安になる人もいるかもしれません。実際にどれだけ年収が下がるのか、下がった場合に収入を補填(ほてん)する方法はあるのか知りたいという人もいるでしょう。 そこで本記事では、再雇用になった後の年収について解説するとともに、収入の補填として活用できる「高年齢雇用継続給付」についても説明します。
再雇用になったら、年収は平均してどのくらい下がる?
再雇用後の年収の変化について、リクルートが2023年に60~74歳を対象に実施した「シニア層の就業実態・意識調査」を参考に見ていきましょう。現在の給料の変化を定年前の給料を100としたときと比べ、変化の割合について調査した結果は図表1のとおりです。
図表1
25%未満 | 25~50%未満 | 50~75%未満 | 75~100%未満 | 100%以上 | |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 5.0% | 21.4% | 43.3% | 16.3% | 14.1% |
男性 | 3.6% | 24.2% | 44.3% | 15.3% | 12.6% |
女性 | 9.1% | 12.5% | 40.3% | 19.3% | 18.8% |
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023 -個人編 60~74歳-を基に筆者作成
図表1で分かるとおり、給与の変化の割合は「50~75%未満」が男女ともに多い結果となりました。
男性の場合は「25~50%未満」、「75~100%未満」と続き、女性は「75~100%未満」と「100%以上」がほぼ同数という結果となっています。再雇用の場合は役職などが変わることで、定年前よりも給与が下がる場合が多いといえるでしょう。
今回の年収800万円の人のケースでは、年収が定年前の50~75%に下がると想定すると、年収は約400~600万円になります。給与が下がるとなると、これまでどおりの生活水準を維持するのは難しい可能性があるため、家計の収支を事前に確認しておくなど、収入が減った場合の生活をシミュレーションしておいたほうがよいでしょう。
定年前後で仕事内容は変わる?
次に、定年前と後で仕事内容に変化があるのかについて独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に発表した「高年齢者の雇用に関する調査」を参考に、全業種の合計をまとめたものが図表2となります。
図表2
業種別 | 定年前とまったく同じ仕事 | 定年前と同じ仕事だが、責任が 軽くなる |
定年前と同じ仕事だが、責任が 重くなる |
定年前と一部 異なる仕事 |
定年前とまったく異なる仕事 |
---|---|---|---|---|---|
合計 | 44.2% | 38.4% | 0.4% | 5.6% | 0.5% |
独立行政法人労働政策研究・研修機構 高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)を基に筆者作成
図表2を見ると、定年前と同じ仕事をしていると答えた人の割合は全体の約83%です。責任の重さが変わる人がいるものの、定年前後で仕事内容に大きな変化がない企業が多いといえます。
再雇用後に減った収入を補填してくれる制度
再雇用後に給与が減額されてしまうことで、今までどおりの生活が送れるかと不安に思う人もいるでしょう。その場合は「高年齢雇用継続給付」の活用を検討してみましょう。
高年齢雇用継続給付とは、再就職手当金などの基本手当を受給していない60歳以上65歳未満の人を対象に、賃金額が60歳時点で支給されていた額の75%未満になった場合に支給される給付金です。
最高で賃金額の15%に相当する額が支給されます。収入が減額した分が全額補填されるわけではありませんが、収入が減って不安に感じる人は利用を検討してみましょう。
再雇用後は給与が減る可能性が高い
定年を迎えた後も再雇用で働く場合、役職の変更によって定年前と比べて給与が現役時代の「50~75%未満」に下がる可能性が高くなります。
再雇用になって給与が下がり生活費に不安を感じる人は、「高年齢雇用継続給付」が利用できる場合があります。生活費の補填として検討してみましょう。
出典
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023 -個人編 60~74歳-
独立行政法人労働政策研究・研修機構 高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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